外交の世界史の再構築

活動報告

2021年2月17日、「英語によるオンライン・プレゼンテーション講習会」 を開催しました。

 アルバ・エデュ代表 竹内明日香さんを講師としてお招きし、大東敬典・松方冬子が練習台となり、松方ゼミのゼミ生の皆さんも参加しました。発声練習や、英語を読み上げるときメリハリのつけ方、オンライン上のプレゼンの留意点やスライドの作成法など、たいへん勉強になりました。英語プレゼンを、学問の一つのカタとして学んでみれば、今後の可能性も広がるのではないかと思います。最後に質疑応答の時間がありましたが、ゼミ生やメンバーから積極的な質問が続き、たいへん頼もしく感じました。

2021年2月17日「英語によるオンライン・プレゼンテーション講習会」

2021年2月17日「英語によるオンライン・プレゼンテーション講習会」


2020年12月25日~26日、オンラインにて、第2回研究会を開催しました。ラインアップは下記の通りです。

(第1部) 「西洋法制史から見た条約・領事(パート1)」
松方冬子「趣旨説明」
大東敬典「ローマ法の基礎的事項の整理」
松本英実「領事裁判と商事裁判 —consular courtをめぐる問題整理―」

西洋法制史から見た条約・領事(パート1)

 西洋古典学の葛西康徳先生、英米法、信託法の溜箭将之先生、イギリス・インド法(18、19世紀)の比嘉義秀先生、東洋史の楊曦晨さんにもご参加いただきました。

(参加記:第1部)
 初日は「西洋法制史から見た条約・領事」と題し、本プロジェクトのメンバーに、法制史の先生方を交えての研究会がオンラインにて行われました。はじめに本ポロジェクトのメンバーである大東氏のご報告「ローマ法の基礎的事項の整理」にて、「ローマ」の法として成文化されたローマ法が、普遍化(学識化)し、地域ごとに異なる形で継受され、最終的に大陸法として体系化されていく一連の流れが概観され、続いて、フランス法制史を専門とされる松本英実先生のご報告「領事裁判と商事裁判-consular courtをめぐる問題整理」では、16世紀半ばに制度化され、現在まで続くフランス特有の商事裁判が取り上げられ、特にこの裁判所の名称Consular Courtが領事裁判所と同じ言葉を使っていることに関して、この二つを分けることに対する意味を問い直し、商法の形成・発達の過程から両者のつながりが示唆されました。

 今回の研究会では、本プロジェクトでは珍しく西洋側の視点を中心に語られたことから、イタリア史を専門とする私にとってなじみのある言葉が多い一方で、地域のみならず、分野ごとにも言葉に対して持つイメージの違いが大きいことを痛感しました。さらには例えばConsulという言葉一つをとっても、言葉の意味やその実態にドイツ史の文脈やフランス史の文脈とは若干のずれがある点も垣間見られたことは、個人的に非常に興味深い発見でした。一方で、議論を深める上では、各地域・各分野の実証研究をただ並べ、違いを指摘するだけではなく、それを説明する新たな上位概念が必要ではないのか、という本プロジェクトを進める上での重要な課題も浮き彫りになったように思います。また何より、西洋史を専門としながらも、今までローマ法と教会法、私法と公法、商法と憲法といった言葉を意識して考えたことがあまりなかったため、今さら聞けなかったようなことにも目からウロコのような新しい発見があり、個人的に大変勉強になりました。松本先生をはじめ、討論にご参加いただきました葛西先生、溜箭先生、比嘉先生、ありがとうございました。

(文責:原田亜希子)

(第2部) 「近世日本対外関係史の最前線を学ぶ」読書会
辻大和「書評:谷本晃久『近世蝦夷地在地社会の研究』第一部を読んで」
木土博成「真栄平房昭『琉球海域史論(上) 貿易・海賊・儀礼』を読む」
松本あづさ「真栄平房昭『琉球海域史論(上)  貿易・海賊・儀礼』を読む」

近世日本対外関係史の最前線を学ぶ
昨日に引き続き、楊さんがご参加くださいました。

(参加記:第2部)
 オンラインにて、谷本晃久『近世蝦夷地在地社会の研究』(山川出版社、2020年)、真栄平房昭『琉球海域史論(上)貿易・海賊・儀礼』(榕樹書林、2020年)の書評会を行いました。

 谷本本の評者辻大和氏からは、アイヌが「国家」を形成しなかったとする見方に対して、周辺諸民族との比較から、「国家」の形成の有無に縛られない多層的な集団の捉え方はできないかとの提言や、ロシアの南下が幕府の異国境(いこくざかい)の認識を促しアイヌへの対応が変化するという点に関して、清露関係での類似例の紹介などがありました。前者に関する議論では、明・清朝が冊封を与えた対象のどこを「国」と認識していたのか、といった観点から同時代的な「国」の意味が問われました。

 真栄平本は、松本あづさ・木土博成両氏が書評を担当されました。「琉球海域史」という用語の問題、琉球の経済的な自立に関する評価、琉球王国の成立にとっての貿易の意味など多様な論点が示されました。とりわけ「異国(域)」に対する幕府法・藩法の適用のあり方は、両氏共に注目されておりましたが、琉球に対する法の発令主体hをぼかす、という幕府・薩摩藩の曖昧な対応が、列強との約定締結を経てどのように変容していくのかという問題は、重要な論点になり得るのではないかと感じました。

 全体討論では、「貢納」と「交易」の関係性、マイノリティの歴史を語る際の現実政治との関係、民族を定義する場合の言語学的な見方と歴史的な見方との相違性など議論百出しました。学ぶ・考える点が多い充実した会でした。個人的には、普段日本近世史のなかの専門領域に閉じこもりがちな自身の姿勢を大いに反省しているところです。

(文責:吉岡誠也)

2020年8月22日、京都大学人文科学研究所現代中国研究センターと共催で、オンラインにて、岩井茂樹著『朝貢・海禁・互市―近世東アジアの貿易と秩序―』(名古屋大学出版会、2020年)の合評会を行いました。

87名の参加者を得て、大変な盛況でした。明清史が半分ぐらい、中国近代史と日本史がほぼ半数ずつくらいの参加だったそうです。本研究グループからも、岡本隆司、川口洋史、木村可奈子、大東敬典、橋本雄、森永貴子、松方冬子が参加しました。人文研の村上衛氏にお世話になりました。報告は、下記3本でした。

城地孝「『朝貢・海禁・互市』簡評」
橋本雄「日明関係史(日本側)の視点から読む試み」
松方冬子「『外交の世界史の構築』の立場から」

 橋本氏の報告は、細かい事実関係に分け入る重厚なものでした。
 松方の報告は、大先生のご大著に言いたいことを言わせていただいたにもかかわらず、「思いもよらないアイディアをたくさんもらいました。有難う。」とのリプライを頂戴し、ホッと胸をなでおろすとともに、さすが大先生の懐の深さを感じました。 

(文責:松方冬子)

2020年7月24日~25日、オンラインにて、第1回研究集会を開催いたしました。報告は下記の通りです。

(24日)
松方冬子 「外交の世界史の再構築」
塩谷哲史「19世紀前半ロシア帝国のアジア外交」 
吉岡誠也「開港場における『条約』の運用」
大東敬典「サファヴィー朝との合意文書から見るオランダ東インド会社の外交」
岡本隆司「世界史と外交」
菊池雄太 「中世~近代ハンザの制度と外交:商館・都市・領事制」
松本あづさ「蝦夷島における交易のための移動と移動制限」

(25日)
彭浩「近世長崎唐人社会の自治形態」
原田亜希子「近世ローマの同郷人コミュニティー」
辻大和「朝鮮時代後期の開市と税」
木村可奈子「東アジアにおける前近代の『外交』をいかに描くことができるか」
川口洋史「現存する17世紀アユタヤ―朝の通商関係文書」
森永貴子「ロシア帝国の『境界』と流通―内陸国家から国際貿易国家への変化」
堀井優「中近世の東地中海=イスラーム圏における条約規範」
木土博成「琉球の主体性をめぐって」

初めての顔合せを兼ねた研究会でしたが、残念ながらオンラインとなりました。短い報告時間ながら、力の籠ったご報告が続き、頼もしく感じました。地域を越えた共通性も見えてきて、今後の研究の進展が楽しみです。

(文責・松方冬子)

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松方 冬子(まつかた ふゆこ) 東京大学 史料編纂所 教授 博士 (文学) Professor,the University of Tokyo Ph.D.(the University of Tokyo, 2008)

インタビュー記事

ブックレット

主要研究業績

販売書籍

  • 一九世紀のオランダ商館 下(東京大学出版会)
  • 一九世紀のオランダ商館 上(東京大学出版会)
  • 国書がむすぶ外交(東京大学出版会)
  • 日蘭関係史をよみとく 上巻:つなぐ人々 下巻:運ばれる情報と物(臨川書店)
  • 別段風説書が語る19世紀 翻訳と研究(東京大学出版会)
  • オランダ風説書「鎖国」日本に語られた「世界」(中央公論新社)
  • オランダ風説書と近世日本(東京大学出版会)

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