グローバル・ヒストリーのための非英語史料編纂所の設立
2022年12月、日本学術会議の求めに応じ、「未来の学術振興構想」策定のための「学術の中長期研究戦略」を提出しました(提案書類の内容はこちら)。
2023年9月26日、「学術の中長期研究戦略」が、日本学術会議の提言「未来の学術振興構想(2023年版)」に掲載されることが、正式に決定されました。
(グランドビジョン③:日本史学を含めた非西洋史学の再構築と国際協働 No.17「グローバル・ヒストリーのための非英語史料編纂所の設立」をご覧ください)
この後、どのような展開が待っているのかわかりませんが、皆様からのご賛同は、きっと大きな力になると思います。ご賛同やご意見をいただける方は、こちらから、お願いいたします。
おかげさまで、2022年12月の提案書提出時点で、東京大学内9部局、16国公立大学、24私立大学など、幅広い分野と世代の研究者82名(2024年6月24日時点では101名)からご賛同をいただいております。
いただいたご意見
このような取り組みが実現したら、大学院生として研究の世界を少しだけのぞかせていただいた身 としても、一日本人としても、大変嬉しく思います。日本史領域でグローバルな規模を意識した活動 には大変興味があるので、実現した際はぜひ参加させていただきたく存じます。
長年、東京大学史料編纂所が積み重ねてきたノウハウを将来、次世代へとつなげ、グローバル・ヒストリーとして新たな広がりを見せる素晴らしい構想であり、賛同・参加したいと考えています。実現することを願ってやみません。
多言語による史料学のネットワーク構築は喫緊の課題です。提案の実現を切望します。
グローバル・ヒストリーの視点に基づく研究や議論は、目下、近代・現代史ばかりでなく、古代史や中世史の分野でも大きく展開している。先史時代のグローバル・ヒストリーさえ研究の対象になっているのが世界の趨勢である。ユーラシア東西の交渉の焦点の一つである「シルクロード」問題に関しても、そのルートが多数に分岐し、最近では北欧との交渉ルートさえ学術研究の主題になり、北欧の地下から発見される遺物の古代絹製品が示すように、ローマ時代以前からの交易活動が、極西ユーラシアとユーラシア東部とを結びつけていたことを示唆している。こうした旧来の歴史像を塗り替えるような発想の転換を、目下のグローバル・ヒストリーは達成しつつあり、先端的な発想に貫かれた新規の研究組織の創設は、今後の日本が担うべき歴史学研究にとって極めて重要な意味があると考える。
「グローバル・ヒストリーのための非英語史料編集所の設立」を拝読し、「人と人のつながり」、「知の手仕事」という言葉が胸に響きました。設立の実現を強く願います。
発想とスケールの大きさ、そしてこのような機関の設立を構想できる日本の学問的なインフラに、素直に感動しました。心より応援致します。
英語圏中心のグローバルヒストリーの持つ根本的欠陥の指摘には強く賛同する。同時に、英語圏のグローバルヒストリー研究を批判するためにも、非英語圏、特に日本の研究者が、英語圏の研究者が論文と認めるような英語で論文を書くように訓練することが不可欠である。この両者は矛盾しないと考える。
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