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研究課題 | 佐賀藩家臣多久家史料の研究 | |||||||
研究期間 | 2014~2015年度 | |||||||
研究経費 |
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研究組織 |
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研究の概要
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【2015年度】
(1)課題の概要 膨大な量の近世大名家史料を研究資源化するにあたっては、その大名の家臣家に伝来した文書群を、並行して整理・分析していく必要がある。とりわけ、国持大名規模の大名家においては、重臣として藩政に深く関与する小大名規模の大身家臣家が多数存在し、それぞれにおいて大量の文書群が存在する。こうした史料群については、近年、史料の整理・分析が進められるとともに、少しずつ当該大名家全体の研究と連関した研究利用が広がりつつある事例もあるが、全体としては、その量の多さに比して、史料1点ごとの年次比定・分析が不十分なままであるのが現状である。 本共同研究では、上記の問題認識から、近年、研究の深化の進みつつある佐賀鍋島藩に関して、その大身家臣である多久家に伝来した史料のうち、近世初期を中心とする部分をデジタル精細画像により撮影し、データを共同研究参加者で共有しつつ、共同作業による分析を行い、その成果を蓄積し、公開をはかるものである。 (2)研究の成果 本年度の2回の共同研究会によって、89点分の読み直し作業が終了し、昨年度分と併せて175点分を一応終えたことになる。読みの修正のみならず、年次の確定・修正・絞り込み、作成者・宛名人の居所の特定・登場人物の居所の特定等を進めることができた。これにより、近世前期を中心とする佐賀藩の動向の各局面が、一次史料のより深い分析に基づいて、より深く理解できるようになった。多久で行ったシンポジウム「多久家文書を読みなおす」では、「多久家文書のあらまし」(志佐喜栄)、「佐賀藩における家老の成立」(野口朋隆)、「龍造寺の佐賀城から鍋島氏の佐賀城へ」(大平直子)、「「読み直し」の技法―無年号文書の年次比定―」(本多美穂)、「めでたき春―寛永16年正月勝茂親子の将軍お目見え―」(松田和子)、「焼物師の統制に関する鍋島勝茂書状の年次比定について」(清水雅代)、「鍋島勝茂書状の封式について」(及川亘)、「多久家文書にみる天皇即位と大名の対応」(藤井祐介)、「「御上洛」情報の真偽」(佐藤孝之)、「肥前杵島郡白石地域と鍋島勝茂」(小宮木代良)、「有田における高原市左衞門」(大園隆二郎)の11報告を得たが、様々な場で日常的に佐賀藩関係の史料に接している共同研究員を中心としたメンバーどうしが、多久家史料を結節点とすることで、佐賀藩研究に関わる知見を共有することにより得られた成果の一端である。 |