東京大学史料編纂所

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【海外史料領域】在外日本関係史料の研究資源化

研究課題 ヴァチカン図書館所蔵マリオ・マレガ氏蒐集史料の総合的研究
研究期間 2016~2018年度
研究経費
(2016年度)200万円
(2017年度)200万円
(2018年度)162万円
研究組織  
研究代表者 松井洋子
所内共同研究者 松澤克行・佐藤孝之・杉森玲子・岡美穂子・岡本 真
所外共同研究員 大津祐司(大分県立先哲史料館)・大友一雄(国文学研究資料館)・大橋幸泰(早稲田大学)・岡村一幸(臼杵市教育委員会)・久留島浩(国立歴史民俗博物館)・佐々木直(大分県立先哲史料館)・佐藤晃洋(大分県立高田高等学校)・清水有子(明治大学)・Silvio VITA(京都外国語大学)・村井早苗(日本女子大学名誉教授)
研究の概要
  • 2018年度
  • 2017年度
  • 2016年度
【2018年度】
(1)課題の概要
ヴァチカン図書館には、戦前・戦後を通じて日本に滞在したマリオ・マレガ氏(1902-1978、イタリア人のサレジオ会所属司祭)が蒐集した、豊後地方のキリシタン関係史料(以下マレガ文書)約1万点余りが、未整理のまま所蔵されていた。2013年度に、人間文化研究機構(主幹:国文学研究資料館アーカイブズ系)が日本側代表機関となり、ヴァチカン図書館と協力して、同文書群の整理・撮影・目録化プロジェクト(以下マレガ・プロジェクト)が開始され、史料編纂所も日本側連携機関の一つとして参画している。本共同研究では、プロジェクトに関わる研究者、地元大分の研究者、藩政史・キリシタン史等の専門家が共同し、マレガ氏自身により刊行された『豊後切支丹史料』(正・続)所収史料の再検討を足掛かりに、同氏の蒐集活動、蒐集史料と現地残存史料との関係等に着目しつつ、史料群全体についての総合的研究を進める。

(2)研究の成果
  • マレガ・プロジェクトによる概要調査は、ヴァチカン図書館側から新たに提供されたA22~A23 及びサレジオ大学所蔵マレガ文書の調査を終え、最終的にA25まで、1万4千点余りとなった。目録作成はA17~20 までを終了し、各袋をファイル単位とする概要記述(ISAD)と特徴的な史料の翻刻・一部翻訳を含む日本語版と英語版の報告書として、昨年度暫定版が作成されたA10~A16までを合わせた、『バチカン図書館所蔵マレガ神父蒐集豊後切支丹史料-概要と紹介-』vol.2が刊行された。
  • 『豊後切支丹史料』(正続)収載史料の原文書について、マレガ氏が省略した部分も含めた翻刻を作成し、新訂版の原稿を準備することができた。特に、前書や一部のみが紹介されていた、臼杵藩の正保三年「森村組貴理志旦御改五人組之御帳」・延宝九年「宗門御改御書物御帳(藤ヶ川内組)」、岡藩の元禄元年「耶蘇宗門類族帳(岡領大野郡市萬田組)」などの全文翻刻は、キリシタン統制・類族改の基礎史料として、今後の研究への活用が期待される。史料集は2019年度中に刊行の予定である。
  • 人間文化研究機構・大分県立先哲史料館・臼杵市教育委員会等の機関と連携して大規模な調査、シンポジウム等を行なうことが可能となり、共同研究として行なうことが有効であった。本共同研究は今年度で終了となるが、引き続きマレガ・プロジェクトの協力機関として同文書の目録完成と研究の進展に尽力したい。