東京大学史料編纂所

特定共同研究【中世史料領域】中世大規模・広域史料群の研究資源化

研究課題 薬師寺中世史料の研究
研究期間 2013~2014年度
研究経費
(2013年度)117万円
(2014年度)116.4万円
(2015年度)101.2万円
研究組織  
研究代表者 及川 亘
所内共同研究者 榎原雅治・菊地大樹・前川祐一郎
所外共同研究員 加藤大覺(薬師寺宝物管理研究所)・幡鎌一弘(天理大学おやさと研究所)・山本潤(薬師寺宝物管理研究所)・吉川聡(奈良文化財研究所)
研究の概要
  • 2013年度
  • 2014年度
  • 2015年度
【2015年度】
(1)課題の概要
奈良市所在の法相宗大本山薬師寺の本坊所蔵の史料(文書・記録類、聖教を除く)については、1981年より本所と奈良文化財研究所(奈文研)が共同で本格的な悉皆調査を進めてきた。調査の内容は史料一点ごとの調書作成と撮影が主なものであるが、調書作成についてはほぼ終了しつつあり、奈良文化財研究所の「薬師寺典籍文書データベース」で一部が利用できる環境にある。また、この共同調査の成果をもとに、一部の中世史料は翻刻紹介され、中世後期の研究に活用されている。
しかしながら、史料群全体を見渡した場合、中世史料は様々な箱に分散して残存し、全体としては研究に活用しにくい状況にある。そこで本研究では、それら個別分散的に存在する中世史料の全体像を把握し、中世史研究一般の研究資源として活用の促進を図る。

(2)研究の成果
・中世史料の調書データの原本校正を終了し、「薬師寺中世史料目録」(稿)を作成した。これにより色々な函に分散して所在する中世史料の全体像を把握できるようになった。
・前年度より引き続き第五函・第九函の翻刻の原本校正を行うとともに、それ以外の函の中世史料(文書類)の翻刻・校正、「有法差別等問答集」(第二八函七八号)の紙背文書の翻刻・校正を行った。これにより中世史料のうち記録・引付類を除く文書(各種法会関係の差定類・練行衆交名・世俗支配状などを除いた書状様のもの)全体の翻刻を作成したことになる。
・近世後期に作成された二種類の「記録目録」(第二三函一三七号)・「宝物目録帳」(第二三函一三六号)と現存の文書箱の調査により、近世期における薬師寺の史料保存・管理のあり方を分析した。
・以上の成果は、及川編『薬師寺の中世文書』(東京大学史料編纂所研究成果報告2015-3)として刊行した。
・また、公開研究会「古文書が語る中世の薬師寺」(2015年11月29日、於薬師寺まほろば会館)を開催した。