編纂・研究・公開

特定共同研究【近世史料領域】近世大名家史料の研究資源化

研究課題 史料編纂所所蔵維新関係貴重史料の研究資源化
研究期間 2020~2021年度
研究経費
  • (2020年度)126万円
研究組織 研究代表者 小野将
所内共同研究者 保谷徹・杉本史子・箱石大・水上たかね・立石了
所外共同研究者 麓慎一(佛教大学)・岸本覚(鳥取大学)・谷本晃久(北海道大学)・白石烈(宮内庁書陵部)・梁媛淋(武蔵野学院大学)・福元啓介(尚古集成館)
研究の概要

【2020年度】

(1)課題の概要
本所が特殊蒐書として所蔵する維新関係貴重書史料群は、質量ともに国内有数のコレクションでありながら、一部を除き史料学的調査・研究は着手されたばかりである(デジタルアーカイヴ化も未形成)。本研究では対象史料群のうち、維新史料引継本(約2万冊、戦前期の維新史料編纂会が収集した史料群)・外務省引継書類(約3000冊、政府から移管された江戸幕府の外国方関係史料)・史談会本(約2000冊、旧華族諸家が複製収集した幕末維新史料群)、また、国宝島津家文書や島津家本のうち、幕末維新関係史料を対象とする。当該時期のそれぞれの地域を専門とする共同研究者を募集し、厳密な史料学的検討を加えつつ、各史料の記述内容を確認して解説目録の作成に着手する。明治維新への社会的関心をも見据えて、本研究の成果を公開し、来たるべきデジタルアーカイヴ化に向けての基礎的作業を実施する。

(2)研究の成果
本年度までの成果を受けて、論文を公開した。明治21年(1888)開始の、宮内省による旧藩事蹟取調事業および、それを契機に発足した史談会との関係を検討した白石烈「宮内省の旧藩事蹟取調事業と史談会」(下)(『書陵部紀要』第72号、2021年3月)は、本来密接不可分だった両者収集の史料群が現在、宮内庁書陵部所蔵「旧藩事跡取調掛本」と史料編纂所特殊蒐書の「史談会本」とに分散して伝存されている経緯を解明した上で、旧藩事蹟取調書類の全体像の確定をめざしたものである。ここでは、明治20年代の大名華族それぞれによる、史料保存や編纂事業に対する姿勢の相違や、維新初発以降の動向の変化など、実に興味深い論点が抽出されたといえる。
 また、維新史料引継本のような大規模史料群については、様々な専門的見地を持ち寄ったうえ、多様な視角から検討してゆくことがなおも重要である。他にも成果として、論稿と学会発表を公開した。
 今年度の研究集会では、これまでの史談会本の調査にもとづく白石研究員の報告、幕末北方関係史料の調査にもとづく谷本研究員の報告、日露関係史料の調査にもとづく麓研究員の報告、鳥取藩士安達清風関係史料の調査にもとづく岸本研究員の報告、また尾張藩士鳥居家文書の調査にもとづく梁研究員の報告を受け、活発な討議がおこなわれた。研究のコアとなる有意義な情報をそれぞれ共有することができたが、これを受けて次年度にはいよいよ本共同研究の取りまとめを果たしてゆきたい。引き続き共同研究のメリットを活かし、様々な知見をあわせて総合的に考察することで、史料学的検証への寄与を継続してゆく。