東京大学史料編纂所

45. オーストリア所在日本関係古写真調査

二〇一七年六月二七日から七月六日にかけて、オーストリアへ出張し、オー ストリア所在ガラス原板コレクションの撮影調査と出版打ち合わせをおこ なった。参加者は、保谷 徹、谷 昭佳、高山さやか、鳥海早喜(日本大学 芸術学部専任講師)である。現地では、ペーター・パンツァー氏(ボン大学 名誉教授)、宮田奈奈氏(オーストリア国立科学アカデミー近現代史研究所 客員研究員)、アルフレッド・モーザー氏(史料原蔵者)の御参加・御協力 を得た。

一 バートアウスゼー市カンマーホフ博物館
 ミヒャエル・モーザーのガラス原板ネガについて、高精細カメラ(フェー ズワン)で分割撮影をおこなった。ペーター・グリル(Peter GRILL)カン マーホフ博物館友の会会長のお世話になり、またフランツ・フローシュ市長 (Franz FROSCH)にご挨拶した。これまでの撮影データをヨアヒム・シュ スター事務総長(Joachim SCHUSTER)に引き渡し、画像データの取り扱 いに関する山家浩樹所長との間での覚書を交換した(六月二三日付)。

二 ウィーン市オーストリア国立図書館ほか
 ヴィルヘルム・ブルガーのガラス原板コレクションにつき、分割撮影調査 をおこなった。同館部長ウーヴェ・ショッグル(Uwe SHÖGL)さん、画像 資料グラフィックアート・サービス室長ペーター・プロコップ(Peter PROKOP)さんのお世話になる。また、宿舎でアルフレッド・モーザー氏 の所蔵史料(アルバム、焼付写真類、日本土産の本と新聞記事のスクラップ、 工芸品など)を撮影した。総撮影数は、計一〇三六カット。
 本調査にはNHKの撮影クルーが同行取材した(二〇一八年四月二九日、 NHKスペシャル「大江戸」で放映)。また、スイス・ヌーシャテル市民族誌 博物館のグレゴリー・マヨール学芸員とドイツ出版社が来訪し、谷昭佳技術 専門職員と写真史料集出版の打ち合わせを行っている。
(保谷徹・谷昭佳・高山さやか)


『東京大学史料編纂所報』第53号