
二〇〇七年一〇月五日と六日、岐阜県関市に出張し、史料調査および三五
ミリマイクロフィルムでの写真撮影を行った。貴重な史料の調査・撮影をご
許可いただいたご所蔵者各位に改めて謝意を表する。
一長春寺文書(広見)
臨済宗妙心寺派。天文一三年、武藤秀勝を開基として金竜寺を改めて成立
したという。開山高安瑞登は、東海派祖悟渓宗頓―玉浦宗珉―景総興勗―高
安という法系である。冊子を調査・撮影し、既知の語録のほか、多様な雑録
などを調査・撮影した。目録を掲げる。書目のおおくは仮題である。
高安和尚法語集 一冊
開山高安瑞登の語録、『新修関市史』史料編古代中世近世一に翻刻。
蔭涼和尚語録 一冊
二世蔭涼玄拍の語録。右書に翻刻。
仮名法語書状等雑録 一冊
書状写は署名や宛所の記載少ないが、天文二一年の年記がみえるなど、
中世末のものである可能性が高い。
白雪集(法語等雑録) 一冊
江戸期の長春寺関係の法語・書状を中心とする。
法話等雑録 一冊
開山例派諸縁会諸集 一冊
世代過去造営寄付記録 一冊
祠堂田畑金銭施入帳元禄八年以降 一冊
本堂再建講帳文化一三年 一冊
長春寺詩偈 一冊
無尽藁 一冊
抄物 一冊
大覚禅師弁道清規 一冊
一梅龍寺文書(梅龍寺山)
臨済宗妙心寺派。宝徳二年、春江紹■により創建されたという。春江は龍
泉派祖の景川宗隆の弟子である。所蔵史料を調査の上、版本などを除き、以
下の史料を撮影した。巻子の文書を除き、おおよそ内容の年代順に記す。
梅龍寺世代之伝記(『妙心寺派語録』二所収) 一冊
梅龍開山歴代年譜録 一冊
景川宗隆法語写 明応五年閏二月 一幅
景川宗隆頂相(写?、自賛) 一幅
後柏原院和歌 一幅
阿弥陀如来書付写*永禄四年中夏(享保写) 一通
龍門寺本尊台座裏書写等* 元亀元年 一通
太田小源五判物写* 天正一八年一一月二二日 一通
天猷玄晃(八世)語録下(『妙心寺派語録』二所収) 一冊
天猷玄晃法語 慶長二年九月 一幅
天猷玄晃偈頌仏成道 一幅
天猷大和尚年譜諸記録入続紙 一通
江天玄蒲(一四世)春江像供養法語 享保一二年 一冊
永禄沙汰(昭和写本) 一冊
関梅龍禅寺中興之記(『新修関市史』史料編近世四所収) 続紙一通
韻鑑 一冊
喚応無三偈並序(韻鑑の付託) 延享四年続紙 一通
雲巖祖吟(一七世)語録 一冊
御内意口上覚続紙 一通
羽柴秀吉等連署判物* 六月二四日 一通
遠島・小岸連署書状* 天正一六年一二月一二日 一通
太田小源五書状* 天正一九年一一月四日 一通
石川光吉判物* 慶長二年三月六日 一通
以上四通一巻。
大島光長判物 一一月二九日 一通
大島義重判物* 寛永一七年一一月一三日 一通
大島某判物承 応二年三月七日 一通
大島義世判物 元禄四年二月一四日 一通
以上四通に他の大島氏判物六通、ほか一通を一巻に収める。
*印は、『新修関市史』史料編古代中世近世一、一九六頁以下に収録されて
いる。なお、『梅龍寺史』を拝受し、事前の準備に重宝した。本所書庫に収
める。
(川本慎自・高橋典幸・山家浩樹)
『東京大学史料編纂所報』第43号p.58