東京大学史料編纂所

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知恩院所蔵「天平年間写経生日記」の調査

七月二四・二五日、京都国立博物館(京都府京都市東山区)において、
「天平年間写経生日記」一巻(総本山知恩院所蔵、京都国立博物館寄託)の
原本調査を行った。『日本荘園絵図聚影』釈文編一・古代(二〇〇七年度刊
行)編纂のため、同巻中の「平城京市図」についての調査を行うとともに、
同巻に成巻されている諸文書について『正倉院文書目録』編纂のための調査
を実施した。「平城京市図」の作成時期については、その左に続く文書の年
紀から天平感宝元年六月七日以前と考えられることが多かったが、今回の調
査に当たり、従来の見解とは異なって天平感宝元年六月七日以降と考えるの
が自然であるとの所見を得た。この点については、『日本荘園絵図聚影』釈
文編一・古代に記載したので、参看願いたい。調査に際しては、華頂短期大
学・中野正明師、総本山知恩院・文化財保存局、京都国立博物館・赤尾栄慶
氏に種々便宜を図っていただいた。ここに記して謹んで謝意を表する。

                              (山口英男・稲田奈津子)


『東京大学史料編纂所報』第42号p.112