東京大学史料編纂所

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湊學氏所蔵文書の調査・撮影

二〇〇六年一一月二三日・二四日の両日、千葉県市川市八幡の湊學氏宅に
出張し、同氏所蔵史料の調査およびマイクロフィルムによる撮影を行った。
同文書は戦国時代出羽秋田湊城主であった湊(安東)氏の系譜を引き、近
世においては秋田藩佐竹家に仕えた湊家嫡流に伝来された文書群である。秋
田藩に仕えた湊許季の提出文書は、秋田藩の修史事業の過程で『秋田藩家蔵
文書』(第五一冊)にも収められており、本文書群にそれらの正文が伝わっ
ている。
本所には「湊學氏所蔵文書」の名称ですでにマイクロフィルムが架蔵され
ていたが(架番号一九八四―一二九―二)、これは一九八四年に湊氏が調査
のため来所されたおり、持参された所蔵文書のごく一部を撮影したにとどま
るもので、全体的な調査にもとづくものではなかった。
近年における『青森県史』の編纂調査過程で、湊氏所蔵文書が整理され、
全四一五点のうち中世文書や系図を中心とした六一点が『青森県史』資料編
2(青森県、二〇〇五年)に翻刻収録されたのを機会に、あらためて調査・
撮影を行った。
撮影は『青森県史資料所在目録』(青森県編、一九九九年)にて整理され
た番号順に行った。同目録では、時代別に分けられ、さらに近世史料はカテ
ゴリー別に分類されたうえで全四一五点に通し番号が付けられている。分類
は次のとおりである。
①慶長六年以前関係文書
②慶長七年以降関係文書
 (1)知行地関係
 (2)藩士職制関係
 (3)印可状・秘伝書類
 (4)湊家関係系図・由緒書等
 (5)他家関係系図・由緒書等
 (6)元服・名乗書関係
 (7)書状
 (8)佐竹関係文書の写
 (9)その他文書類
このうち今回は、①全点、②(4)~(8)全点(うち②(4)の一点
(目録番号236)を除く)に加え、②(2)のうち秋田藩修史事業関連文書四
点(目録番号128~131)、②(3)のうち永禄十年五月二十一日秋田政季自筆
「礼法書写」(同149)・「秋田城介実季自筆五常之写」(同196)二点、②(9)
のうち起請文・口上覚二点(同379・383)、以上計二三七点の撮影を行った。
所蔵史料撮影の許可を与えられ、種々便宜をお図りいただいたうえ、撮影
場所もご提供いただいた所蔵者湊學氏に厚く御礼申し上げたい。

                              (遠藤基郎・金子拓・黒嶋敏)


『東京大学史料編纂所報』第42号p.87