東京大学史料編纂所

HOME > 編纂・研究・公開 > 所報 > 『東京大学史料編纂所報』第27号(1992年)

京都大学文学部博物館所蔵勧修寺家旧蔵記録の調査

 一九九二年三月三日から六日まで京都大学に出張し、同大学文学部博物館所蔵の「勧修寺家旧蔵記録文書」の調査(継続)をおこない、勧修寺経慶の日記である「勧慶記」の全冊を調査・撮影した。「勧慶記」は、明暦四年から宝永五年までの、全一二一冊である。但し、最後の一冊は、続日本紀等抜書で日記ではない。
 日記の体裁は、表紙には「勧慶日記」と記し、その冊の主要な記事の目録が示され、次丁には、さらに詳細な記事の細目録が付されており、内題は「日次記」と記されている。一部を除いて現存の多くの冊は、日々つけていた草稿を浄書したものである。
 なお、勧修寺経慶は、正保元年に生まれ、宝永六年に亡くなっている。慶安二年従五位下、寛文二年従四位下蔵人頭、翌三年正四位参議、右大弁、同十年権中納言、延宝五年従二位権大納言に昇り、天和四年辞職。その後、元禄七年正二位、宝永四年には経慶を経敬と改め、翌五年従一位に昇っている。この間、延宝七年八月三十日から元禄七年四月六日まで、議奏を勤めている。日記の記事は詳細であり、十七世紀後半の朝延、および朝幕関係研究の重要な記録である。
                            (藤田 覚・山口和夫)


『東京大学史料編纂所報』第27号p.39