東京大学史料編纂所

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京都大学附属図書館所蔵 二水記の調査

 大日本古記録の建内記の刊行が終了したあとを受けて、鷲尾隆康(一四八五—一五三三)の日記、二水記の刊行が予定されている。二水記の原本は内閣文庫に所蔵されているが、原本の伝わらない部分を写本で補わなくてはならない。兼ねてから良質の写本を探し求めていたが、先年、京都大学附属図書館に一本のあることに気付いた。そこで、昭和六十一年十二月十二日、十三日に改めて調査を行なった。
 京都大学附属図書館には、貴重書として菊亭本が所蔵されているが、この本のカードは一般の図書に混じっていて、全二十二冊(5—04/ニ5)。菊亭章子氏より昭和二十七年三月二十五日に購入した本の中の一部であるという。文亀四年〜享禄五年までを収める。
 二水記の原本は、記主隆康が後年になって整理・浄書したものであるが、諸所に蔵される写本もすべてこの系統のものである。この菊亭本も、勿論、その一本であるが、写本としては、最も広く年代をカバーしている。
                                 (益田 宗)


『東京大学史料編纂所報』第22号p.108