昭和五十六年三月廿五日から廿八日の四日間、昨年に引き続き水戸市水府明徳会彰考館の所蔵史料を調査した。撮影目録は左の通り。
１、（イ）禁腋秘抄／（ロ）日中行事／（ハ）当世故実（寅二四—〇五三一九）（架番号、以下同じ）
合一冊
（イ、奥書）「本云這一冊者借請都督大卿義隆朝臣本於坊〔防〕州山口旅館仰宗祐法師令書写〓／天文第五初冬下旬 黄門郎藤（花押）判形如此」
「這一冊正親町亞槐令書写賜并／禁腋殿舎之圖如指掌深納筐底／勿許外見矣／寛文第九己酉夏五月十有四日／吏部少卿」
（付箋）「天和壬戌之年以今出川家本寫」
（ロ、奥書）「本云這一帖申出 親王御本令書写了／可遂重而校合尤蔵深底耳／左大辯藤判」
「白水本／延寶戊午歳 京師新謄本」
（ハ、付箋）「貞享乙丑十二月以石野八郎衛〇〇（マヽ）蔵本／写之」
２、三箇重事一名代始和抄（寅二四—〇五三二〇） 一冊
（奥書）「依種玉老人厳命聊顕累葉之／家風者也、莫敢外見矣／文明十一年十二月日神 祇長上卜部朝臣判（兼倶）／
件本端後成恩寺禅閤自筆中問答宗祇以他筆書／加之、奥兼倶卿自筆也、美濃紙袋草子紺表紙銘／色紙禅閤筆跡也／
右一冊借請宗祇所持之本燈下卒／尓書写之、以暇日可令清書莫許／他見矣／文明十三年長月不知夜天／龍作藤御判」
（付箋）「元禄庚午夏小野澤助之進寫大禮大祀／記於京師輸上検閲則與此一書而異名／也、但舊本巻末有錯簡以新本訂正改寫／其他小異留盡附傍」
３、達幸故實抄（寅二四—〇五三一七） 一冊
（奥書）「右爲可之事加朱點了／天正四丙子八月日／文章博士大學頭管原（マヽ）朝臣長雅」
「右達幸故實抄一巻以吉益澤右衛門／傳借之本寫焉／延寶九年辛酉春二月」
４、奏事年中例奏諸宣旨目録傳宣艸（寅二四—〇五三二一） 一冊
（奥書）「正保三年 ひのえいぬ 二月十五日初夜寫了／散官正二位藤原實晴」
（付箋）「右綸旨抄元禄乙亥以三宅近江守本寫之」
５、冨家語抜書（寅二四—〇五三二二） 一冊
（付箋）「右冨家語抜書元禄六癸酉之秋小野澤／内記獲之京師寫」
６、（イ）禁中名目（内題「名目鈔」／（ロ）諱訓抄（寅二四—〇五三二三）
合一冊
（イ、奥書）「此鈔東山左府實熙公作也、以自筆之本／誂彼禅息勝南院 法師守譽 寫留之、可秘蔵／者也／（中院）権大納言通秀」（頭書「此跋油小路隆貞蔵本無之」）
「或箱底之秘本以種〓懇望書寫之畢／于時天正十六戊子歳春分日／西洞院平朝臣時慶」（頭書「同上」）
「車具篇／文書篇 兩篇有名不載子細他本ニ可見合也／右一冊不慮披見之間率寫之東山左／府實熙公自筆也、件本草本歟、或有篇目／不載其子細或飜轉之所鈎引之大略／如本寫之少〓又加按重説書損之處（今イ）／處漏之止列見可練習而已／于時明應第九季秋望後一日／羽林藤判姉小路濟繼卿也」
「以松平讃岐守頼常家臣谷將監／家藏本謄寫焉／延寶辛酉孟秋念四日」
「隆貞卿本云這一鈔東山左府公之所作抄也、以自筆正本令書写畢、旨趣見／序文矣、但未全備之條尤有其恨乎、文書篇車馬具篇等巳／胥欠矣、以厥志之不終可謂後生之無念也、時永正戊寅秋七月／下候書／朱點正本無之今私加朱點畢／凡訓讀之字聲ヲ指テ可分明不全備之間未及其儀歟／大府卿菅和長○中略／同上右一冊東坊城以本不顧短毫令書写訖、重而可遂清書者也／慶長十七年霜月念二 為適在判／同上此一冊者以為適卿本令書写畢／寛永十九年霜月初日 隆貞」
（ロ、奥書）「右以兼良公真蹟寫之」
７、（イ）西三秘訣／（ロ）三光院抄（寅二四—〇五三二四） 合一冊
（イ、奥書）「右五十箇條也聞書者西三条實隆公号逍遙院／筆跡也然息公條稱名院被書留之者／也、仍号西三秘决思之西三條家之秘决／之心歟／長亨〔享〕元年十月日 夢庵判」
（ロ、奥書）「此一冊従三光院内府被書遺具房朝／臣北畠者也、以中院入道也足軒自筆／本謄寫之」
「天和第三中秋日 宗恒」
８、（イ）走衆故實／（ロ）同朋故實（寅二四—〇五三二五） 合一冊
（ロ、奥書）「右一冊以伊勢貞春之本写之了／寛政七年乙卯二月八日 近藤守重」
９、（イ）申次故實／（ロ）常照愚草（寅二四—〇五三二七） 合一冊
（ロ、奥書）「右伊勢守貞陸自記也、常照者即貞陸事也／伊勢法眼／供笑」
１０、仙臺藩鑑（丑四七—〇三〇二九） 一冊
（奥書）「文政十一年子二月十六 日 村田正定一閲」
１１、前田創業記（丑四七—〇三〇三〇—三二） 三冊
１２、當道要抄（寅二四—〇五三三三） 一冊
（奥書）「イニ无」（朱書）
「寛文八申年正月廿六日書写之」
（朱書）「天保四年十二月廿二日以高松〓之／家老木村亘理之本校合之 平小山田與清」
１３、故實撰要集上・下（寅二四—〇五三三四） 一冊
（巻上奥書）「老耄殊文盲事候間書違又落字も可／有之候、外見努〓憚入候／大永八年正月日 下総入道七十四歳 宗五在判
此三冊上野故民部大輔信孝所持之本也、種〓／令調法写取之加校合〓、不可他見者也／天正四年四月日 一色中務大輔秋孝在判／上野大和守秀政在判」（巻下奥書 同文）
１４、故實雑集（寅二四—〇五三三五） 一冊
１５、（以下三点ハ目録目次ノミ撮影）近代公實厳秘録上（丑四七—〇三〇三三—三四）
二冊
１６、諸家深秘録一—三（丑四七—〇三〇三五—三七） 三冊
１７、深秘筐底録目録（丑四七—〇三〇三八—五八） 二一冊
１８、多識篇（寅二四—〇五三四三） 一冊
（巻尾跋）「右真相者東山殿之同朋中尾相阿弥之名乗也、此書相阿弥か／所記也、此外ニ東山殿御座敷餝記一巻有之、是又相阿弥之所／記也 明和九年壬辰七月十五日 伊勢平蔵貞丈書」
１９、類聚雑要抄（寅二四—〇五三三九—四二） 四冊
（第一冊奥書）「右以新院御本親長卿筆校合訖、委細記末巻了／寛文第十二季冬十三夜従二位源判／右以中院家本寫之再以菊亭家本校之／天和三年癸亥春二月」
（第二冊奥書）「右以逍遙院筆御本校合了／寛文十二残臘廿二夜 献納逃人花押／右以今出川家本寫之／天和三年二月」
（第三冊奥書）「右以廉〔廣〕光卿筆御本一校了／寛文第十二季冬廿三日 光禄大夫花押／右以今出川家本寫之／天和三年癸亥春二月」
（第四冊奥書）「此抄四巻以新院御本第一親長卿筆第二逍遙院内府第三廣光卿第四宣胤卿書寫校合了、第四自本所持之先考御筆所所祖父相府被加御筆全部数年雖有望不得之、今蒙恩許歡悦無／極深籠箱底不可他見矣／寛文第十三孟春社日 献納散人判／右雑用抄四巻以中院家本寫之以菊亭家本再／校之／天和三年癸亥春二月」
「右類聚雑要抄以堅田〓及屋代弘賢横田袋翁本校正畢」
２０、翁物語（丑四七—〇三〇六〇） 一冊
（序）「予自幼逮壯老常好軍旅之法、故聴人之語／武事退而書紳之、予雖非博識廣才爲子／孫童蒙者集而記之則満巻十矣、故以綺／語飾其文有顕其實〓之者勿以言害心／予師小幡氏景憲老而后門弟平生以翁稱／毎對談説軍事此書間雖有別人之語十／而一也、仍號書題翁物語云爾／于時寛文九歳己酉穐八月江城武人執筆／翁語書紳序 謹畢」
２１、雜筆要集（寅二四—〇五三四五） 一冊
（奥書）「右一冊借請官務忠利投家奴／遂書功急返正本故未校合也／重而可遂校正也／慶安四年八月七日 蔵人頭藤隆貞」
２２、（イ）條條聞書故實撰要鈔異本／（ロ）長禄年中御對面日記并猪子儀（寅二四—〇五三四六）
合一冊
（イ、巻尾付箋）「此書蓋故實撰要集異本也、但其文段或異次第相錯因存両本云／元禄辛未八月／彰考館誌」
（ロ、奥書）「右此 御對面之記録伊勢肥前守盛／正以本書又令校合加筆者也、此奥之／條々前両本ニモ無之、盛正本寫之訖／于時天文十六年□月七日寫之訖、校／合之相手一色式部少輔晴具也／大和刑部少輔／晴完」
（付箋）「右長禄年中御對面日記并猪子儀壹冊元禄／丙子孟夏小野澤助之進京師新寫」
２３、酌并記（寅二六—〇五三六一） 一冊
（巻末奥書）「此酌并記心得かたき事ともあるによりて／父貞益注解を加へ給ひし也、愚もまた／残れるをひろいたらさるを補ひて注解／を増して子孫に授る者也／寳暦九年己卯二月廿五日 伊勢平蔵貞丈判」
２４、酌并記・陪膳記伊勢貞順（寅二六—〇五三六二） 一冊
（奥書）「右一巻或者見及候分或者人之物語ヲ注置候間／定而可為相違候、御用捨肝要候、固不可有他見／候也／天文十五年八月日伊勢六郎左衛門尉貞順判／木村左近大夫殿」
２５、感状寫（丑四七—〇三〇八七） 一冊
２６、大上〓名記（寅二六—〇五三六三） 一冊
（奥書）「依懇望令相傳之者也／天正十七年三月十三日 伊勢因幡入道加賀守実子／如芸在判／伊勢兵部少輔殿」
２７、伊勢常真記古實（寅二六—〇五三六五） 一冊
（奥書）「右壱冊者童蒙依所望大綱を書顕者也、惣而／公界之趣一定一様不究之故偏初心之為候歟／雖然聊以非私曲愚家嫡之傳受世間之不憚／嘲咲任懇望壱巻ニ綴〓、曽以可被停他見而已／「百七代正親町院御宇」（朱書）于時元亀弐年仲春上旬「将軍義昭公代」（朱書） 伊勢氏（朱書）「与一入道」常真在判「因幡守庶子」（朱書）」
（朱書）「安永八十二廿四貞文加朱書」
２８、伊勢国司御系圖并諸侍役付（丑二六—〇一九一八） 一冊
（奥書）「右渡會郡字遅津長峯鈴厳院所蔵書／天明四年甲辰十月写 佐波幹員〈元籌〉」
２９、伊勢氏日記（丑二三—〇一六八九） 一冊
○本書実ハ斎藤親基日記ナリ
（巻尾付箋）「右伊勢氏日記一巻以伊勢友仙本／寫之／延寳九年辛酉夏六月」
３０、伊勢守兵庫頭貞宗記（寅二六—〇五三六六） 一冊
３１、伊勢貞孝朝臣相傳之条〓（寅二六—〇五三六七） 一冊
（見返墨書）「伊勢貞孝朝臣相傳之条〓／急令書写之間相違自然／可在之候也」
３２、伊勢貞助返答記（寅二六—〇五三六八） 一冊
３３、伊勢貞助雑記（寅二六—〇五三六九） 一冊
３４、宗悟抜書（寅二六—〇五三七〇） 一冊
（奥書）「河村誓真自筆之本殆及破損之条令新写之／者也／貞敦写之」
「此書ハ先祖伊勢守貞孝朝臣の家臣河村入道誓／真 俗名権之助正秀 宗五一冊より数ケ条を抜書したる／者也、宗五一冊ハ即条〓聞書之事也 ○中略 明和三年丙戌七月廿五日 伊勢平蔵貞丈書（花押）」
３５、（イ）萬嗜記／（ロ）萬抜書條々／（ハ）豊記抄（寅二六—〇五三六四）合一冊
（ロ、奥書）「右條〓常興被書出所也、従昭光以懇望写置／此内抜書又員与付而不入詞共少〓不加書聊無／相違写也／天正八年九月十七日 武右信景」（イ、ハ、奥書等ナシ）
３６、北上記伊勢貞常（寅二六—〇五三七一） 一冊
（奥書）「右自往古傳書雖不可慢取扱因懇望写進／之候、不可有他見候也／天正十六年十一月五日（加賀守子一節因州養子ニ成） 伊勢因幡入道貞常如玄在判／伊勢兵部少輔殿」
３７、大内義興問答数返答（寅二六—〇五三七二） 一冊
（イ、内題）「大内左京兆義興朝臣以龍崎中務丞飯田大炊助両人被相尋返答の事」
（イ、奥書）「永正六年九月三日 貞在判 「伊勢守貞陸ナリ」／龍崎中務丞殿／飯田大炊助殿」
「此一巻筆者貞久法名道照調進也、然に彼中書令所（ナカカキ）／望数年所望處豊後大友修理太夫殿義鑑内衆臼（ウス）／杵（キネ）四郎左衛門尉在京之刻難去懇望之間遣之訖、俄写置／候条定可在誤者歟／貞助「伊勢加賀守」」
（ロ、内題）「杉兵庫助弘中小太郎相尋返答の事」
（ハ、内題）「木上弥太郎相尋返答の事」
（ハ、奥書）「此一巻大内殿御在京之時木上弥太郎と申仁勝蓮院／殿貞陸へ（伊勢守）御礼申得御意時ノ御下書也尋申一ツ書ノハ／巽阿ニかゝ（沢巽阿弥、同朋也）せらるゝあい（間）のことはりハ貞陸御（ミチ）自筆也／右此本渕田和泉・横山書物請取写置者也、（伊勢守家人）（同上横雅楽助）十ケ條勝蓮院殿御自筆本也（伊勢守貞陸）、長頼持参也」
（ニ、内題）「永正十一年三月七日就大内義興被相尋候貞久弘中（伊勢六郎左衛門尉）／越後守所へ貞陸為（伊勢守）使罷越御返事申条〓事」
（巻尾）「右四品古来之本及破損候条今更再写訖、誠可為亀鏡者也 貞丈写」
「寳暦十一辛巳年八月十一日写 平貞敦（伊勢登）（花押）」
「右朱ヲ以テ校正之且少〓愚意令加筆〓／己八月十二日 貞丈」
「右一帖此度仍御懇望免傳写候／可為後来之亀鑑者也／寛政六年甲寅閏十一月晦日 貞春（伊勢万助）（花押）／近藤十蔵殿参」
３８、立齋舊聞記乾坤（丑四八—〇三一〇〇—〇一） 二冊
（坤巻奥書）「立花家士所持之書也／元禄貳己〔巳〕己歳十二月於武府写之／竹森傳右衛門尉次行」
３９、佐竹七冊（丑四九—〇三一〇三） 一冊
（奥書）「右以佐竹右京大夫義處家人等世〓所蔵之／文書所抄略也／元禄十四年己三月廿九日／此七冊ハ故有りて御勘定所之真書を彰考／館にて写し取り給ひし真跡を以て文政十／丁亥歳十二月七日武江小石川邸内臺の／入角ミなる御長屋におひて筆を立て同／廿日功を終ふ後世戸外に出すへからす／八十四叟 逸斎高倉胤明誌」
「文政十一年子六月 村田正定一閲」
４０、嫁娶壻入之書（寅二六—〇五三八五） 一冊
（奥書）「右八冊之書者雖為當流秘事多年／不浅御懇望候条令相傳者也／貞享四丁卯年大呂吉日 粟屋瀬兵衛（花押）○コノ花押、印章一顆捺シタル上ニ署ス、 ／市川善大夫殿」
４１、理慶尼記（丑四九—〇三一〇六） 一冊
（奥書）「文政戊子九月桑名藩関翠軒手寫贈来／二本松藩友鴎収蔵」
「右理慶尼記島友鴎ヨリ借リ寫ス○中略文政十二年己丑二月廿三日小宮山昌秀識」
「文政十二年丑四月廿九日 村田正定一閲」
（小泉宜右・今泉淑夫・酒井信彦）
『東京大学史料編纂所報』第16号p.64
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