東京大学史料編纂所

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所報―刊行物紹介

大日本古文書 家わけ第二十 東福寺文書之五

 本冊は、同文書二からひきつづき収録されてきた寺領荘園関係文書をおさめ、本冊をもってその項を終了する。採録された史料は天正十年七月日の「東福寺門前入組田畠指出写」以下、寛文年間までの帳簿類十七点で、東福寺周辺の寺領の指出・検地帳・名寄帳などの類である。これら史料の内容については、それ自体として特記すべきほどのことはない。しかし東福寺文書には二百点に及ぶ寺領荘園関係文書があり、とくに近世に入ってもひきつづき東福寺領としてその財政を支えてきた横大寺村については、太閤検地の前後にわたって、かなり多数の土地・年貢関係史料が残存している。これを「東福寺文書」四所収の「横大寺村絵図」と対照すれば、これらの史料にのっている田畠の一筆づつの所在も確認できる点で、社会経済史研究の上に好個の材料を提供するものといえる。また山城の太閤検地の研究の上でも、「大徳寺文書」と並んで数々の問題を提供するものと考えられる。
(目次二頁、本文四三一頁)
担当者 稲垣泰彦


『東京大学史料編纂所報』第7号p.40