朱印船のアジア史的研究

科学研究費補助金 基盤研究(B)2015~2018年度 課題番号:15H03236
朱印船のアジア史的研究:16~17世紀、日本往来の「国書」と外交使節

鹿島学術振興財団研究助成 2015~2016年度
朱印船のアジア史的研究:16~17世紀、日本往来の「国書」と外交使節

三菱財団人文科学研究助成 2017年10月~2019年3月
朱印船のアジア史的研究:16~17世紀、日本往来の「国書」と外交使節

本研究の趣旨

 本研究は、16~17世紀に東・東南アジア諸国やヨーロッパ勢力と日本(足利政権、戦国大名、豊臣政権、徳川政権)との間で交わされた「国書」と通航証(朱印状など)の分析を目的とします。「国書」の往復による王権間の関係(外交)が朱印船の前提として必要であったと考えるからです。

 「国書」という言葉は歴史の教科書や概説書にはよく出てきますが、学問的に研究されたことはほとんどなく、きちんと定義されたこともありません。本研究では「国書」とは何かという具体的な考察から出発します。従来さまざまな議論がある(異国渡海・渡航許可)朱印状についても、概念の再検討・再定義を試みたいと思っています。

 そして、明の衰退やヨーロッパ船の来航によって近世的な「通信・通商体制(仮)」が生まれてくる過渡期における、航海の安全保障と貿易の信用付与をする通航証システムとしての「朱印(船)」を考察します。つまり、朱印船の経済活動ではなく、外交関係に着目する試みです。

 その際、朱印船を受け入れた王権(具体的にはトンキン、コーチシナ、カンボジア、シャム)を視点にしてみた場合どのように見えるのかも合わせて考えます。安易な日本中心主義、中国中心主義に堕することなく、同時期の環シナ海の国家間関係の束として外交や通航管理の問題を捉えることを目標としています。

 これは、単に日本史の研究ではなく、前近代の外交から見た世界史を構築する試みの第一歩でもあります。「主権国家体制」「西洋国際秩序」「華夷秩序」「朝貢システム」といった概念からではなく、具体的な外交のやり方から検討を試みようとしており、海外への発信も考慮しています。

代表者 松方冬子

参考文献

松方冬子「一七世紀中葉、ヨーロッパ勢力の日本遣使と『国書』」松方冬子編『日蘭関係史をよみとく (上) つなぐ人々』臨川書店、2015年6月
松方冬子「特別展『品川から世界へ サムライ海を渡る―幕末明治の日本と外交使節団―』を見て」『品川歴史館紀要』30号、2015年3月

メンバー

研究代表者

松方 冬子 (日本近世史)

研究分担者

岡本 真 (日本中世史)、橋本 雄 (日本中世史)、蓮田 隆志 (ベトナム史)、彭 浩 (日本近世史)

研究協力者

川口 洋史 (タイ史)、木村 可奈子 (東アジア史)、清水 有子 (日本近世史)、原田 亜希子 (教皇庁史)

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