共同利用・共同研究拠点の活動について
東京大学史料編纂所は、前近代を中心とする多くの日本史史料を収集し、影写本や写真帳の形で、また、『大日本史料』や『大日本古文書』などの史料集の編纂・刊行を通じて、さらに近年ではさまざまなデータベースを開発することによって、これらを研究資源として多くの研究者の利用に供してきました。 こうした基盤のもとに、本所は2009年6月、文部科学大臣より「日本史史料の研究資源化に関する研究拠点」として認定され、2010年度より活動を開始いたしました。
この拠点は、研究資源とその利用手段のさらなる充実による日本史研究の発展を願う研究者コミュニティの要望にこたえるべく、これまでに蓄積してきた研究資源をもとに、国内外に存在する日本関係史料について、多くの研究者と連携して共同調査・共同研究をおこない、全体的・系統的な研究資源の蓄積と共同利用を促進し、史料学研究・日本史研究の質の向上を目指すことを目的とするものです。
特定共同研究の共同研究員・一般共同研究の課題については、毎年公募を行ない、東京大学史料編纂所協議会の審議を経て、採択決定します。共同研究のご希望をお持ちの研究者は、ぜひご検討ください。
これまでに実施された特定共同研究・一般共同研究の研究課題とその成果については、こちらをご覧ください。
2024年度の拠点の事業として、東京大学史料編纂所協議会の審議に基づき、以下の共同研究を採択決定し、活動を開始しました。
2024年度特定共同研究課題一覧
古代史料・中世史料・近世史料・海外史料・複合史料の各領域について、本所で設定した共同研究の柱および研究課題のもとに、所外から公募した共同研究員とともに研究を進めるものです。
【領域】 | テーマ | 研究期間 | 所内共同研究者 | 所外共同研究員(所属) | 所要経費 |
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【古代史料領域】 | 史料編纂所「正倉院文書調査関係資料」の整理と研究資源化 |
2024~2025年度 (2年間) |
稲田奈津子 (代表者) 遠藤基郎 新井重行 黒須友里江 小塩 慶 | 飯田剛彦(宮内庁正倉院事務所) 小倉慈司(国立歴史民俗博物館) 佐々田悠(宮内庁正倉院事務所) 杉本一樹(宮内庁正倉院事務所) 田島公(元史料編纂所) 三野拓也(宮内庁正倉院事務所) 矢越葉子(明治大学) 山口英男(元史料編纂所) | 135万円 |
【中世史料領域】 | 賀茂別雷神社文書・社家文書の調査・研究 |
2022~2024年度 (3年間) |
金子 拓 (代表者) 遠藤基郎 遠藤珠紀 木下竜馬 川本慎自 林 晃弘 石津裕之 | 伊藤真昭(京都西山短期大学) 宇野日出生(同志社大学) 加瀬直弥(國學院大學) 久留島典子(神奈川大学) 黄霄龍(東洋文化研究所) 五島邦治 三光寺由実子(SBI大学院大学) 志賀節子 高橋敏子 竹田和夫(新潟大学) 辰田芳雄(岡山県立岡山朝日高校) 谷 徹也(立命館大学) 谷口 央(東京都立大学) 中川 学(東北大学) 野田泰三(京都橘大学) 東昇(京都府立大学) 藤田恒春(賀茂別雷神社) 三枝暁子(東京大学人文社会系研究科) 山本宗尚(宇宙航空研究開発機構) 橫井靖仁(関西大学) 若山憲昭(岐阜関ケ原古戦場記念館) | 155万円 |
【近世史料領域】 | 近世大名家臣家史料の「読み直し」と研究資源化 |
2023~2024年度 (2年間) |
小宮木代良 (代表者) 及川 亘 石津裕之 | 阿部大地(佐賀県立図書館) 伊藤昭弘(佐賀大学) 大平直子(佐賀市) 佐藤孝之(中央大学) 清水雅代(佐賀県立図書館) 田久保佳寛(小城市教育委員会) 田畑春香(佐賀県立図書館) 野下俊樹(佐賀県立佐賀城本丸歴史館) 本多美穂(佐賀県立図書館) 松田和子(佐賀県立図書館) | 120万円 |
【海外史料領域】 | 本所所蔵在外日本関係史料の多角的利用のための翻訳研究 |
2022~2025年度 (4年間) |
松方冬子 (代表者) 岡 美穂子 大東敬典 | 大野晃嗣(東北大学) 久礼克季(川村学園女子大学) イザベル田中ファンダーレン 冨田 暁(岡山大学) 中砂明徳(京都大学) 野澤丈二(早稲田大学) フォスティーヌ・ペイセレ 真下裕之(神戸大学) 森田由紀 | 200万円 |
【複合史料領域】 | 荘園絵図調査方法論の高度化と調査関連情報の学術資源化に関する研究 |
2022~2024年度 (3年間) |
井上 聡 (代表者) 藤原重雄 黒嶋 敏 小瀬玄士 畑山周平 中村 覚 海上貴彦 | 海野 聡(東京大学工学系研究科) 榎原雅治(地震予知総合研究振興会) 大邑潤三(東京大学地震研究所) 坂本亮太(和歌山県立博物館) 清水 亮(埼玉大学) 高田祐一(奈良文化財研究所) 髙橋 傑(慶應義塾高等学校) 田中水萌(神戸大学) 額田雅裕(関西大学) 堀本一繁(福岡市博物館) 守田逸人(香川大学) | 180万円 |
合計 | 790万円 |
2024年度一般共同研究課題一覧
所外の研究者(1名あるいは数名のグループ)から、共同研究の課題を公募し、本所の研究者と協力して研究を進めるものです。
No. | 課題名 | 共同研究員 (○は研究代表者) | 所内共同研究者 (○は所内担当者) | 所要経費(円) |
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1 | 史料編纂所所蔵明清中国公文書関係史料の比較研究 |
○渡辺美季(東京大学総合文化研究科) 荒木和憲(九州大学) 辻 大和(横浜国立大学) 劉序楓(台湾中央研究院) 林慶俊(韓国東国大学校) |
○黒嶋 敏 須田牧子 岡本 真 | 500,000 |
2 | 智感版大般若経の研究資源化を通じた中世後期東国宗教文化の研究:慶珊寺本を中心に |
○梅沢恵(神奈川県立金沢文庫) 近藤祐介(鶴見大学) 櫻井唯(神奈川県立金沢文庫) 白川宗源(広福寺) 西尾知己(関東学院大学) 貫井裕恵(神奈川県立金沢文庫) 三輪眞嗣(神奈川県立金沢文庫) |
○林 遼 川本 慎自 堀川 康史 山家 浩樹 | 330,000 |
3 | 泉涌寺所蔵の近世後期史料に関する基礎的研究 |
○佐藤雄介(学習院大学) 西谷功(花園大学) 佐藤一希(大阪大学) 桑原優子(泉涌寺宝物館) 高山結衣(泉涌寺宝物館) 池上宥昭(今熊野観音寺) |
○山口和夫 林 晃弘 | 500,000 |
4 | 近江国惣村文書を対象とした横断的原本研究の試み |
○宇佐見隆之(滋賀大学) 青柳周一(滋賀大学) 水野章二(滋賀県立大学名誉教授) 大河内勇介(福井県立歴史博物館) 松井直人(京都大学) |
○末柄豊 井上 聡 高島晶彦 渋谷綾子 | 500,000 |
5 | 紅葉山文庫旧蔵「国書」の復元的研究 |
○木土博成(九州大学) 木村可奈子(滋賀県立大学) 古川祐貴(弘前大学) |
○岡本真 | 500,000 |
6 | 熊本藩士上田久兵衛の総合的研究と関係史料の学術資源化 |
○今村直樹(熊本大学) 白石烈(宮内庁) |
○箱石大 菊地智博 | 500,000 |
7 | 「中井家文書」を用いた大工組織の業務復元に関する基礎的研究 |
○角田真弓(東京大学工学系研究科) 藤井恵介(東京大学名誉教授) 海野聡(東京大学工学系研究科) 登谷伸宏(京都工芸繊維大学) 岸泰子(京都府立大学) 野村玄(大阪大学) 佐藤一希(大阪大学) |
○新井重行 | 450,000 |
8 | 古代・中世法制史料の英訳とグロッサリー研究 |
○David Eason(関西外国語大学) Christoffer Bovbjerg(カリフォルニア州立大学) Joan Piggott(南カリフォルニア大学) Matthieu Felt(フロリダ大学) Nadia Kanagawa(ファーマン大学) Polina Barducci(東京大学経済学研究科) 黄霄龍(東京大学東洋文化研究所) 佐藤雄基(立教大学) 山口えり(広島市立大学) |
○ 菊地大樹 遠藤基郎 小塩 慶 西田友広 堀川康史 | 500,000 |
9 | 東日本の中近世文書の形態・料紙に関する科学研究 |
○柳原敏昭(東北大学) 天野真志(国立歴史民俗博物館) 野村朋弘(京都芸術大学) 高橋修(茨城大学) 大山恒(茂木町教育委員会) 阿部哲人(米沢市上杉博物館) 高橋和孝(奥州市教育委員会) 泉田邦彦(石巻市博物館) 名和知彦(陽明文庫) |
○金子拓 尾上陽介 山田太造 小瀬玄士 渋谷綾子 高島晶彦 | 500,000 |
10 | 中世神道資料を中心とした高野山子院伝来資料の研究資源化 |
○藤本孝一(龍谷大学) 伊藤聡(茨城大学) 岡田莊司(國學院大學名誉教授) 桐田貴史(石水博物館) 小林雄一(京都先端科学大学) 坂口太郎(高野山大学) 大東敬明(國學院大學) 高橋悠介(慶應義塾大学) 土居夏樹(高野山大学) 花田卓司(帝塚山大学) 舩田淳一(金城学院大学) 山本みなみ(鎌倉国宝館) |
○渡邉正男 高橋慎一朗 | 500,000 |
11 | 吉野地域中世史料の調査と研究資源化 |
○坂本亮太(和歌山県立博物館) 榎原雅治(地震予知総合研究振興会) 服部光真(元興寺文化財研究所) 松田度(大淀町教育委員会) 三宅徹誠(元興寺文化財研究所) |
○海上 貴彦 堀川康史 高島晶彦 | 500,000 |
12 | 陽明文庫所蔵「一般文書目録」史料の調査・研究 |
○名和知彦(陽明文庫) 藤井讓治(京都大学名誉教授) |
○尾上陽介 遠藤珠紀 林 晃弘 | 450,000 |
13 | 幕末外交研究の高度化と関連史料の資源化および展示公開 |
○福岡万里子(国立歴史民俗博物館) 吉﨑雅規(横浜開港資料館) |
○小野将 立石 了 水上たかね | 500,000 |
14 | 対馬の外交僧による日朝通交システム関係文書の基礎研究 |
○顧明源(九州大学) 伊藤幸司(九州大学) 柳原敏昭(東北大学) 程永超(東北大学) 山口華代(長崎県対馬歴史研究センター) |
○川本慎自 須田牧子 岡本 真 | 500,000 |
15 | 播磨新宮池田家記録から見る幕末期江戸町奉行池田頼方の政治行動の研究 |
○渡辺浩一(国文学研究資料館) 横山伊徳(東京大学名誉教授) 髙山慶子(宇都宮大学) |
○立石了 菊地智博 | 500,000 |
16 | 近世琉球における文書料紙の科学研究 |
○前村佳幸(琉球大学) 伊集守道(那覇市歴史博物館) 平澤加奈子(京都芸術大学) |
○中村覚 黒嶋 敏 山本一夫 渋谷綾子 高島晶彦 山口悟史 | 450,000 |
17 | 戦功覚書の研究資源化に向けた調査・研究―東京大学史料編纂所所蔵2040.5番台謄写本を中心として― |
○堀智博(東京都立大学) 福田千鶴(九州大学) 越坂裕太(学習院大学) |
○松澤克行 林晃弘 | 500,000 |
18 | 小値賀町善福寺所蔵大般若経ならびに関連史料の調査・研究 |
○平田賢明(小値賀町教育委員会) 木村直樹(長崎大学) |
○須田牧子 井上 聡 岡本 真 谷 昭佳 桑田恵里 | 500,000 |
19 | 萩原寺所蔵地蔵院聖教調査の成果の共有化 |
○厚谷和雄(元東京大学史料編纂所) 伴瀬明美(大阪大学教授) 守田逸人(香川大学教授) 山口英男(元史料編纂所) |
○井上聡 遠藤珠紀 末柄 豊 畑山周平 | 500,000 |
20 | 「池田茂政関係史料群」の形成過程の解明と研究資源化 |
○東野将伸(岡山大学) 上村和史(高梁市教育委員会) 澤村怜薫(行田市郷土博物館) 杉本史子(元史料編纂所) 世川祐多(フランス国立東アジア文明研究所) |
○菊地智博 箱石 大 | 500,000 |
21 | 東寺旧蔵文書群の復元的研究 |
○富田正弘(富山大学名誉教授) 小倉嘉夫(大阪青山歴史文学博物館) 小森浩一(京都府立京都学・歴彩館) 高橋敏子(元史料編纂所) 西尾知己(関東学院大学) 貫井裕恵(神奈川県立金沢文庫) 松井直人(京都大学) |
○遠藤基郎 木下竜馬 | 500,000 |
22 | 勝尾寺文書の全体像の解明および研究資源化 |
○小野塚航一(国立歴史民俗博物館) 市澤 哲(神戸大学) 大田壮一郎(立命館大学) 伴瀬明美(大阪大学) 前田英之(梅花女子大学) 三好英樹(大阪府教育庁) 横内裕人(京都府立大学) |
○小瀬玄士 末柄 豊 村井祐樹 | 500,000 |
23 | 新潟県村上市「漆園」板垣家所蔵文書の調査と研究 |
○浅倉有子(上越教育大学) 高橋一樹(明治大学) 工藤航平(国立歴史民俗博物館) |
○山本一夫 井上 聡 松澤克行 | 450,000 |
24 | 益田家伝来品の伝来・伝世に関する文書の調査研究 |
○角野広海(島根県芸術文化センター) 小山弓弦葉(東京国立博物館) 重田麻紀(須佐歴史民俗資料館) 中司健一(益田市歴史文化研究センター) 森 道彦(京都国立博物館) |
○西田友広 | 450,000 |
25 | AI技術を用いた像内納入文書の研究資源化および史料学的研究 |
○横内裕人(京都府立大学) 井上大樹(文化庁) 川瀬由照(早稲田大学) 永村眞(日本女子大学名誉教授) 西岡芳文(上智大学) 貫井裕恵(神奈川県立金沢文庫) 服部光真(元興寺文化財研究所) 伴瀬明美(大阪大学) 三好英樹(大阪府教育庁) 三輪眞嗣(神奈川県立金沢文庫) |
○堀川康史 海上貴彦 遠藤珠紀 中村 覚 | 500,000 |
合計 | 12,080,000 |
これまでに実施された特定共同研究・一般共同研究の活動
これまでに実施された特定共同研究・一般共同研究の研究課題とその成果については、 こちらをご覧ください。