二〇二〇年一〇月一九日から二一日まで、および二〇二一年三月八日から一〇日まで、総本山仁和寺（京都市右京区御室大内）を訪れ、同寺所蔵史料のうち御経蔵第百七箱から第百九箱までと、塔中蔵第百四十九箱一号「仁和寺御日次記」について調査を行い、デジタルカメラによる全文撮影を行った。採訪の実施にあたっては仁和寺管財課朝川美幸氏にご高配を賜った。記して御礼申し上げる。
　左に御経蔵第百八箱の撮影目録を掲げる。史料に同梱されている「奈良国立文化財研究所作成目録」を参照し、奥書・印記等をなるべく追加した。この奈文研目録では、五四号が二点あるため以下では番号がずれるが、現在のラベル番号に従った。朱書は『　』、大型の額型印「仁和寺」は額印（墨か藍色か判別は不確かであるが藍で便宜統一）とした。法量は縦×横センチメートル。なお、第百七箱については、重要文化財「紺表紙小双紙」であり、第百六箱とあわせて別途掲載する予定である。また、第百九箱については撮影途中であり、箱全体が撮影終了した段階で次号以降に掲載する。
御経蔵百八箱（灌頂一）
一　灌頂集記〈胎蔵界〉　一巻　巻子
　（奥書）「文治四年九月十三日、草之、／金剛乗老比丘興ー（然）本
　　　建仁二年四月九日、於勧修寺慈尊院書写了、／青龍末葉寛写之了、
　　　嘉禎三年四月九日、於慈雲寺書写之了、／求法弟子静瑜
　　　元徳弐年六月六日書写之、／金剛末資奝遍
　　　宝永元年九月廿四日、於真乗院書写之、青龍末資亮隆法印（以上本奥書）
　　　　右以本、享保六年七月廿七日書写之、」
　（印記）複郭長方墨印「石山寺／円乗院／尊珉」
　（備考）天二本地一本墨界・縦罫。巻頭に余白あり、複数巻の一部か。朱書、朱書点・仮名。倚子・曼荼羅等の略図あり。裏書あり。
〔二～四　一括〕
　（包紙）「声明箱結縁灌頂声明〈両界〉　一巻〈外ニ後（覚道）禅河院御添書　一紙〉」
　（印記）藍額印
二　結縁灌頂声明〈両界〉　一巻　巻子
　（銀切箔散らし表紙後筆外題）「結縁灌頂声則〈両界□□〉」
　（内題）「結縁灌頂三昧耶戒作法　〈金剛界〉」
　（奥書）「結縁灌頂声明奥書云、結縁灌頂声明一巻悉受訓説了、手自／書校之、諸説雖多、代々常令用給之様、／以墨付博士、其上説々之中猶一定可依／用之様、又以朱加合点、以之可知也、　法ー助
　　　建長七年五月十四日、於大聖院禅房書之了、／沙門法ー助
　　　　　　『同十八日加点了、』
　　　正嘉元年十一月十五日、於鳴瀧房、午刻許付博士／了、以両三之本校勘之後、所令移之也、／沙門法ー助〈生年／卅一〉
　　　同十二月四日申刻、重直博士、又付異説畢、此様常時／可用定也、
　　　同廿二日重再治畢、
　　　文和元年季秋之比、以准（法助）后御自筆、大阿／闍梨声明之本〈新秘〉付博士・口伝等、於乞戒／者、以所伝兼什法印之本、〈御流乞戒〉博士・口決等／悉移之而已、／沙門法守
　　　乞戒奥書云、朱〈開（法助）田院准后御本〉・墨〈蓮（道尊）華光院大僧正本〉
　　　文和元年十月廿二日、大阿サリ乞戒等博士・口伝等、手自／数返校合了、　沙門（花押）
　　　『（茶）同廿三日、以信助僧正本、付博士并仮名等、是併所伝前大僧正／也、仍為才学注之、悉以燕脂付之、』
　　　同二年四月十一日、以禅覚僧都本并佐法印〈寛（寛耀）〉私口等／注節口伝等、「（擦消）□□□阿闍梨声明也」
　　　同十三日、以高（性仁）雄御室御筆本、付博士注口伝耳、」
　（印記）朱額印
　（備考）極めて上質な料紙。次第・声明譜と料紙を異にし切継ぐ。墨・朱・緑・茶色の詳細な点。裏書あり。八二箱（声明）一八号他、参照。
三　灌頂作法覚　一紙一通　
　（端裏）「『水丁古箱』／行遍僧正承御説記之、」
　（袖下識語）「建暦三年三月廿三日、結縁／灌頂作法　宮（道助）御方有御沙汰、其次／承御説者也、行遍」
　（印記）朱額印
　（備考）三〇・六×五〇・五。指図あり、動線を加える。
四　〔結縁灌頂声明〕添書　一紙一通
　（端書）「惣者常（寛性）瑜伽院御所御筆歟、／黄色墨博士小書等禅（法守）河院御筆也、」
　（識語）「永正十七年庚申八月廿八日記之、沙門覚道（花押）廿一才」
　（印記）朱額印
　（備考）二八・三×三六・〇。宥助法印が東寺にて感得など。二号の添書。
　〔五～九　一括〕
五　菩提院流印可作法　三紙一通
　（端裏）「印可作法〈菩提院流〉　「（抹消）甲第卅一箱」」
　（奥書）「伝受行宴了、
　御本云、以北（ 守覚）院御室御自筆御本書写了、／禅ー助
　本云、嘉暦三年三月二日伝受之了、則／賜御本手自書写了、／金剛仏子信ー助
　前大僧正御房御自筆也、御本ノ折紙、普通ノ檀紙ノ高也、計無之、／追可書直也、
　建武二年六月二日、賜菩提院／御本書写畢、／法印了ー賢
　暦応三年十二月廿九日伝受之了、／則御本書写了、／権律師禅尊（以上本奥書）」
六　五智山沙門〈道空〉灌頂表白　一通
　（包紙）「享保灌頂／表白　如幻師自筆也、」
　（包紙・本紙印記）複郭長方朱印「仁和寺／真乗院」
　（識語）「享保十一年丙午之歳／三月、五智山沙門道空／謹草并書」
七　西院流伝法灌頂作法　三巻　巻子
　（包紙）「西院流伝法灌頂式　三巻」
（一）
　（外題）「伝法灌頂三昧耶戒作法〈西〉」
　（内題）「伝法灌頂三昧耶戒作法」
　（奥書）「此三巻作法者、是広沢西院流式也、／以当寺心蓮院蔵〈法住庵印玄法印自筆〉本令謄／写之訖、／天明八年三月廿八日　金剛末資禅證」
（二）
　（外題）「金剛界伝法灌頂作法〈西〉」
　（内題）「金剛界伝法灌頂作法」
　（奥書）「久安元年八月六日、兼賜御本奉書写畢、／金剛最尊
　　　　　　　　以西院御本重校勘之、
　　　建永二年六月十七日、右筆終功、第十八日一校、同二十／日移点、第廿二日又比校耳、　金剛資禅ー遍
　　　寛元五年正月晦日、於相州松室坊書写畢、／金剛資円祐
　　　正応五年八月廿二日、於相州真言院書写畢、／金剛資玄海
　　　　　『重加一校畢、　玄海』 （以上本奥書）
　　　天明八年三月廿四日、以印玄法印自筆本写／校了、　金剛仏子禅證」
（三）
　（外題）「胎蔵界伝法灌頂作法〈西〉」
　（内題）「胎蔵界伝法灌頂作法」
　（奥書）「久安元年八月三日、兼賜御本奉写功畢、／金剛最尊
　　　　　　　以西院御本重校勘之、
　　　建永二年六月十六日、終書写功、同十八日校合、／同二十日移点、第二十二日又更比校矣、　金剛資禅ー遍
　　　寛元五年正月廿九日、於相州松室坊書写畢、／金剛資円ー祐
　　　正応五年八月廿一日、於相州二階堂谷真言院／書写交点遂其功畢、　金剛資玄海
　　　『重加一校了、　玄海』 （以上本奥書）
　　　天明八年三月十八日、以心蓮院蔵印玄法印自筆本／書写校合了、　金剛仏子禅證」
　（印記）複郭長方朱印「仁和寺／真乗院」（三巻とも）
八　諸流灌頂作法次第抄　二通（三紙・二紙）
　（包紙）「諸次第〈甲下〉／阿闍梨位　顕證上人筆《七八月一度之事》　一紙〈今一紙欠、可吟味、〉」
　（包紙印記）複郭長方朱印「仁和寺／真乗院」
　（一：文中識語）「寛文八年七月十六日抄之了、／金剛資顕證」
九　灌頂諸流印信　一巻　巻子
　（後補表紙に貼紙旧外題）「〈行法〉諸流印信〈広小〉」　
　（表紙追記）「此印信之内有疑、／真偽可尋決之、」
　（表紙見返）「秘密伝法灌頂秘印／大阿闍梨云灌頂有多種普通大門徒之様／外縛五個胎估印」
　（印記）藍額印（後補表紙とまたぐ）
　（備考）前欠。年紀のあるものを列挙すると、小野として貞応二年十月廿五日賢性授快賢の印明・紹文・教戒、高野西南院。広沢として寛元五年二月十三日道範授快賢の印明・血脈・紹文、同日、即身成仏義言二通、正智院、讃岐国善通寺にて伝授。寛喜二年九月三日快苑授快賢の血脈・教戒、高野山日輪寺にて伝授。寛元五年二月十八日道範授快賢の印明・印信。建長三年閏九月十七日道範授快賢の紹文・印明・血脈、光明峯寺にて伝授。醍醐流血脈、寛元五年二月十八日、讃岐国善通寺にて伝授。建長四年卯月印明、授二品親王〈泉殿〉・寂忍。寛元五年二月十八日、道範印明。建長四年卯月道範授快賢の血脈、高野山正智院にて伝授。建長四年十（七）月廿一日明澄授快賢印明・紹文、龍光院。裏書「中院流事」。
〔一〇～一六　一括〕
　（包紙）「記六水丁筥伝法灌頂師資相承〈端欠／部類〉三巻〈内一巻別本／外二紙可勘有〉」
　（印記）藍額印
一〇　灌頂記（前欠）　一巻　　巻子
　（内容）第一紙、（道尊付法）教俊阿闍梨（建保六年二月廿八日）を含む。第二紙以下、（同前）良瑜権大僧都（貞応二年二月九日）より、覚教付法十五名、行守付法実助、教源付法四名、真恵付法七名、末尾は頼誉（嘉禎元年十二月十二日）で余白あり。
　（備考）十九紙。第一紙（残欠）、二九・六×二七・〇。天地墨界各一本、界高二六・三。第二紙、横四四・〇。奥に白紙一紙あり。全紙紙背に書状あり（第一紙のみ天地逆）。
一一　伝法灌頂部類記第九　一巻　巻子
　（表紙）「伝法灌頂部類記第九〈御布施目録　竹／大阿闍梨　色衆等〉」、素紙、折り返しあり。二九・七×二一・五。
　（内容）前欠。（道法の付法）道寛（元久元年十月廿一日）より。良恵を「良ー法印」と表記。十四代仁隆とその付法三人の記述が重複し、前者では付法二人目の静遍の注記を余白とし、後者には記事があり、三人目を前者は禅覚、後者は隆昭とする。親覚付法四名、良遍付法十六名、有尊付法六名、練性付法一名、定毫付法十名、末尾は定舜（寛喜元年十二月十日）で余白あり。
　（備考）天地各一本墨界、界高二六・四。全紙紙背は書状、霊鷲寺御房・卿律師御房充てあり。
一二　伝法灌頂部類記第六　一巻　巻子
　（表紙）「伝法灌頂部類記第六〈真光院　堂上／三昧耶戒〉」
　（表紙見返し）「宮　有助僧正／成助僧正　実弘僧正／禅重法印　兼什法印／了禅ヽヽ　禅良ヽヽ／見塔上人／已上記、管見分載之、自余所見不祥〔詳〕、仍略之、」本文とは対応せず。
　（内容）（任覚付法）任暁（同〔承安〕三年正月十七日）、寛伝（治承二年四月十七日）、印寛（治承四年三月二十六日）より。覚性付法四名、禎喜付法七名、覚成付法九名、仁証付法四名、兼毫付法二名、隆暁付法五名、俊証付法七名、二品親王（守覚）付法四名、尊実付法一名、任付法二名、公賢付法四名、勝遍付法一名、延杲付法五名、印性付法八名、覚舜付法一名、行宴付法四名、寛瑜付法十名、隆遍付法四名で、末尾は賢隆（元久元年四月廿二日）まで。横山和弘・佐藤愛弓編『仁和寺資料　第四集　記録篇　真言伝法潅頂師資相承血脈』（名古屋大学比較人文学研究年報、二〇〇三年）で翻刻するのは、黒塗手箱甲下段二の上下二巻で、末尾は行宴付法の理深（建久七年正月日）まで。 これより行宴付法の快苑以下、寛瑜付法・隆遍付法の部分が多い。師の配列も異なる。
　（備考）前欠。界線なし。全紙紙背は書状、十月廿九日長門守光□の蔵人進士充ほか、公家関係のもの。
一三　伝法灌頂部類記（断簡）　二紙
　（内容）第一紙、（道助付法のうち）隆助法眼（文暦元年十二月十八日）、尊有阿闍梨（延応二年三月九日）、道勝法印権大僧都（仁治元年八月廿八日）の部分。第二紙、法印賢隆の付法、親誉阿闍梨（寛喜二年八月十八日）、行瑜阿闍梨（天福二年四月七日）、定敒阿闍梨（嘉禎三年十二月十三日、後欠）。
　（備考）天地界各一本あり。界高二六・四。全紙紙背は書状。後筆で外題「巻十」。
一四　伝法灌頂〈初台／後金〉　一巻　巻子
　（書出）「伝法灌頂〈初台／後金〉仁和寺」（天長八年六月七日印信）
　（備考）天二本地一本墨界。「仰曰」に朱書「正月十日」「十三日」「廿一日」「廿五日」などと注記、末尾に朱書「己（建長元）酉年／正月十三日、奉法宣、隆澄／今（文応元年）八十歳也」。朱裏書あり。
一五　仁隆律師灌頂護摩支具案　二紙五通　続紙
　（包紙）「支度符案等〈仁隆律師水丁〉」
　（端裏）「符案等〈仁隆律師灌頂〉」
　（一）護摩一夜支度：元暦元年十月十三日：権少僧都顕耀
　（二）奉送状：元暦元年十月十五日：権律師仁隆
　（三）請文：元暦元年十月十五日：権少僧都顕耀
　（四）奉送状：元暦元年十月十五日
　（五）敬白請諷誦事：元暦元年十月十五日：権律師法橋上人位仁隆
　（備考）三一・八×①五〇・〇＋②四七・三。紙背は十一月十七日泉瑞丸書状、十一月十六日門尓（？）書状（聞月房充）。
一六　灌頂護摩私記　一冊　桝形折本　
　（包紙）「灌頂護摩私記　一帖」
　（印記）複郭長方朱印「仁和寺／皆明寺」
　（奥書）「本云、宝永七〈庚寅〉歳九月八日書写斯了、／金剛資覚心〈三十有五〉享保十〈乙巳〉天夏六月廿六日、以法性闍梨／本書写一交了、『為無上善菩提也、』／金剛資長遍〈二十有八〉
　　　享保十四〈酉〉四月廿二日写功了、／権大僧都孝燿」
〔一七～二七　三初後図等一結〕
　（包紙）「『水丁』三初後図等一結　顕證／第廿六箱
　　『御流』伝法灌頂三昧耶戒初後夜図〈一壇儀〉　一帖／秘密具置様一紙／両壇之時小壇立処事一紙／四摂幡掛様　切紙一枚」
一七　初夜指図〈明暦三年〉　一紙　顕證
一八　秘密具置様　一紙　顕證
　（奥書）「以心蓮院御本写了、／重而可清書者也、／顕證之」
　（印記）複郭長方朱印「法住庵」、単郭長方朱印「仁和寺／尊寿院」
一九　四摂幡懸様　一紙　顕證
　（端裏）「『水丁』十六尊幡懸様事　顕證」
　（印記）複郭長方朱印「仁和寺／尊寿院」
二〇　蓋図様　一紙
　（印記）単郭長方朱印「仁和寺／尊寿院」
二一　両壇之時小具在所事并一壇之時事　一紙　顕證
　（印記）複郭長方墨印「仁和寺／尊寿院」
二二　後夜指図〈明暦三年〉　一紙　顕證
〔二三～二五　一包〕
　（包紙）「『佉甲』／長櫃之中図／調支具図」
二三　調支具図　一紙
二四　長櫃之中図　二紙　※二紙内容同じ。
二五　調支具図　一紙
二六　三初後差図　四枚
　（包紙）「三初後差図〈一壇儀〉」、楽目録を転用。
　（印記）複郭長方朱印「仁和寺／華厳院」
二七　河内国天野山金剛寺金堂差図　一紙　顕證
　（印記）複郭長方墨印「仁和寺／尊寿院」
　（備考）「第廿六箱」
〔二八～三四　一結〕
　（包紙）「手鏡　四冊／香薬等之事　一冊／初後夜法則　二冊」
二八　手鏡　一冊　袋綴
　（見返）「本云、／寛文九年二月八日、以法住庵／本写之、菩提院灌頂之時也、」
　（末尾）「自仁和寺法則集書出之、」
　（奥書）「于時明和七〈庚寅〉年閏六月三日、申請／師主大僧正御本、御殿参番之節於／鳴戸間令校合、所々落字等有之間／書加了、　va jra （梵字：金剛）仏子禅瑜」
二九　手鏡〈水丁〉　一冊　袋綴
　（奥書）「右一帖者、以真乗院御本写功了、／彼御本者、孝源大僧正御自筆也、／于時安永二年正月十三日　金剛資寛證」
三〇　手鏡〈孤〉　一冊　袋綴
　（包紙）「手鏡〈孤〉」
　（末尾）「自仁和寺法則集書出之、」
　（奥書）「真乗院前大僧正孝源御直筆以御本写之、／貞享三〈丙寅〉年三月廿八日　宗見実祐／貞享三〈丙寅〉暦七月十九日写之、／実深」
　（印記）複郭長方朱印「仁和寺／華厳院」
三一　広沢初夜法則　全　一冊　袋綴
　（書出）「初夜胎蔵界　菩提院」
　（奥書）「広沢汀三教手鏡初後法則者、／師主勝鬘僧正慶兆、就真乗院／大僧正有澄保寿院流伝授、某／汀職衆出勤ノ砌、以南勝院禅瑜／御本机写畢、」
三二　廣澤灌頂後夜法則　全　一冊　袋綴
　（書出）「後夜金剛界　菩提院」
　（奥書）「寛永十六年五月朔日／菩提院僧正ノ御本申請写留了、／介子実賀本云、／応永廿三年〈丙申〉二月九日／両壇次第書写之畢、／菩提院御坊御本申出之処也云々、
　　　文安二年〈乙丑〉正月晦日、／被下師範御免御教書之間、習〔翌〕日／自二月一日〈奎宿〉信厳阿闍梨始行／水丁加行畢、仍為授与用意、故法／印永盛授与之時、自菩提院法／務前大僧正御房申出処、書写以／直本、同二月十九日旦〔且〕此一帖書写之、／法印権大僧都仲盛〈六十才〉
　　　寛永十八年十月六日、以／心蓮院仲盛法印御自筆本令校合、／此奥書等添写了、（以上本奥書）
　　　元禄十一〈戊寅〉年五月廿一日仲以御本令／書写了、〈広沢伝流資〉亮深房恩賀」
三三　手鏡　一冊　袋綴
　（奥書）「右此帖、是広沢灌頂之旧／説多端、為才覚令書写、／必非可依用之、雖然古来／之作法異説得其意／則可也、古本皆明寺／禅宥僧正蒙免許畢、／末資可其趣存者也、此内／繁重之文段少々略而／取意而巳、／寛永五年八月初吉／金剛法子恭畏」
三四　手鏡　一冊　袋綴
　（備考）奥書等なし。
〔三五～三九　一結〕
三五　伝法灌頂作法　三冊　袋綴
　（包紙）「伝法灌頂作法　三冊」
（一）伝法灌頂三昧耶戒作法
（二）胎蔵界伝法灌頂作法
　（奥書）「御本云、此本ハ寛智法印申出開田殿御本、以秘本令書写了、」
（三）金剛界伝法灌頂作法
　（奥書）「御本云、此本ハ寛智法印／申出開田殿御本、以之書写之、／別行注ヲ／書事、依注多如此書之、
　　　（綴代）右依仰両巻書之、天正十二〈甲申〉三月／吉日　大僧正頼恵」
　（印記）朱額印（三冊とも）
三六　伝法灌頂私次第　一冊　袋綴
　（奥書）「奥書云、／応安四年四月十九日、初度授与◦時集当院家諸本次第、連／日参真光院御坊尋申不審条間、大概記之、追猶能々可精／研之、（本文中略）
　　　写本云、／至徳四年正月日書写之、／一交了、
　　　□□□□□月廿五日写功了、／　本者真光院禅ー守僧正御／筆也、　金剛乗末子光助〈四十二〉
　　　表書云、細書所用可見者也、　奝怡（以上本奥書）
　　　安永四年三月二日、以心蓮院蔵本令書写訖、／権僧正禅鎮」
　（印記）複郭長方朱印「仁和寺／真光院」
三七　伝法灌頂考録　一冊　袋綴
　（備考）鎌倉期の事例を部類。
三八　伝法灌頂私注〈甲〉　一冊　袋綴
　（印記）複郭朱長方印「仁和寺／真乗院」
三九　注大綱〈正元々〉　一冊　袋綴横小本
　（表紙）左「注大綱〈正元々〉　第廿五箱」右下「尊寿院」
　（印記）単郭長方朱印「仁和寺／尊寿院」を複郭長方墨印「仁和寺／□□院」の上に押す。
　（奥書）「寛文五年春三月、於河内／国天野山金剛寺御影堂／聖蔵拝見候中、此一巻借／出帰洛了、同八月七日、／於尊寿院住房令書写／之了、端一紙闕失了、／可惜々々、／『同月十日一交了、』／金剛乗沙門顕證〈今年六十九〉／余人不有見☒☒」
〔四〇～五一　一結〕
　（包紙）「（細目略）已上十二冊」
四〇　三昧耶戒次第聞書　一冊　袋綴
　（渋横刷毛目表紙墨書外題）「三昧耶戒次第聞書」
　（扉題）「三昧耶戒次第聞書〈私〉」
　（内題）「三昧耶戒次第聞書　菩提院〈信ー助〉御説」
　（奥書）「天保九年閏四月二日書写功了、　大僧都照道」
四一　教授作法聞書　一冊　袋綴
　（渋横刷毛目表紙墨書外題）「教授作法聞書」
　（扉題）「教授作法聞書〈私／三昧耶戒　初後夜〉」
　（内題）「教授作法聞書」
　（奥書）「文和元年十月十三日記之、菩提院／僧正御房〈信ー助〉御口決也、／法印権大僧都了賢、（本奥書）
　　　右心蓮院聖教之内、以彼僧正御自筆之本書功了、／天保九年四月廿九日
　　　　法印大僧都照道」
四二　初夜次第聞書〈復後夜〉　一冊　袋綴
　（渋横刷毛目表紙墨書外題）「初夜次第聞書〈復後夜〉」
　（内題）「初夜次第聞書／暦応四年七月廿二日、於南坊奉面受之、」
　（奥書）「本云、已上初後次第口伝、対宝（了賢）光院法印御房面受口決了、文字／等散々也、追静可清書之、／暦応四年七月廿五日記之、　権律師禅尊
　　　応永卅四年十一月十八日書写之了、無左右不可及外見之／由雖承、菩提院法流◦大事悉イ以伝授之由緒、申請宝光院法印御房、／慶深書写之、秘中至極イ秘也、／権律師仲盛〈歳／四十二〉（以上本奥書）
　　　右、以心蓮院経蔵仲盛法印自筆之本書写、件本者各巻本今以予／意楽如是作之了、／天保九戊戌年後四月五日亥半許於灯下閣禿毫了、　照道」
四三　教授作法　一冊　袋綴
　（渋横刷毛目表紙墨書外題）「教授作法」
　（扉題）「教授作法〈三昧　初　後／付護摩〉」
　（内題）「三昧耶戒教授作法」
　（奥書）「御本云、／建久五年三月十八日申出御本書写／了、　尋海本／一校了、
　　　裏云、備後阿闍梨賢誉〈改尋海、〉池上覚尋僧都付法、伝法院座主也、／已上顕證上人書也、（以上本奥書）
　　　右以心本謄写了、件御本巻物也、　沙門照道」
四四　調支具等聞書　一冊　袋綴
　（渋横刷毛目表紙墨書外題）「調支具等聞書」
　（扉題）「調支具等聞書／『内題云、／調支具作法等聞書〈私〉』」
　（見返し）目録あり、末尾『右目録御本無之、私書之了、　顕證』。
　（内題）「調支具等聞書」
　（奥書）「元弘元年十月十五日記之、是／菩提院〈信ー助〉御口伝也、／法印権大僧都了賢
　　　寛永十二年九月廿二日、以了賢僧正御自筆之本／書写了、次日以半切一本令校合之、相違之処等少々／書加了、イ本ト書是也、　顕證（以上本奥書）
　　　天保九年夏四月十八日、於灯下以尊寿院密蔵一音坊／自筆之本書写之、件本者巻本也、以予意楽為策本者也、／法印権大僧都照道〈廿又五〉」
四五　灌頂最秘決　一冊　袋綴
　（渋横刷毛目表紙墨書外題）「灌頂最秘決」
　（扉題）「灌頂最秘決〈厶抄之〉」
　（内題一）「左繞登高座事〈故（覚性）御室賜禅信法橋本写之、〉」
　（本奥書一）「寿永元年六月六日、以賜禅信法橋故／御室御筆本写之、　金剛仏子行宴
　　　嘉元四年二月廿四日、以故法眼御房御自／筆本写之、　金剛仏子了厳
　　　元和九年九月七日、以了厳僧正御自筆／本写之、今年又此一帖写◦入之了、／金剛仏子顕證」
　（文中識語）「寛文四年冬十一月日　　顕證」
　（奥書）「右、顕證書類聚也、自筆本披覧之次、書留之了、／天保九年仲呂念四月廿七日七照道」
四六　灌頂事　一冊　袋綴
　（渋横刷毛目表紙墨書外題）「灌頂事〈広〉」
　（扉題）「灌頂事〈広　先師上人御聞書〉」
　（内題）「灌頂事」
　（奥書）「裏曰、／寛永十七年春求得之了、従／南京辺出来云々、
　　　　　　　／已上一音坊顕證之自筆也、珍重々々、（本奥書）
　　　右以件本書写之、心蔵〔蓮〕院甲第廿六之箱之本也、／天保五年冬十二月六日〈依灯下功了、〉　西流末枝照道」
四七　伝法灌頂私記聞書〈広西〉／湏口〈見説〉　一冊　袋綴
　（渋横刷毛目表紙墨書外題）「伝法灌頂私記聞書〈広西〉／湏口〈見説〉」
　（扉題一）「伝法灌頂私記聞書〈広西〉」
　（内題一）「伝法灌頂私記聞書〈広沢西院〉」
　（奥書一）「本云、此抄物者、以河内国観心寺地蔵院〈源守〉自筆写書之、／彼源守高野山宝性院宥快法印弟子也、然間彼／口決歟、追而可尋之矣、／永正三年〈丙寅〉正月十三日、於同国小吹村五智院書之、／権大僧都竺誉〈五十五衰之、〉
　　　一、高野山宝性院在之御流伝来之事、宝性院〈仟遍〉云従／栂尾山報恩院〈山本坊〉流伝〈云々、〉
　　　　開田准后〈法助〉　山本坊弁恵　宝性院玄海法印
　　　　　享禄二年正月十四日、以竺誉本写之、権律師奝怡（花押影）／
　　　　　同十五日一交了、（以上本奥書）
　　　右伝法水丁私記聞書一冊、以当山心蓮院経蔵〈甲廿六筥〉／奝怡法印自筆之本拝覧之暇、早々拝書之、／偏恐魯実之誤、後覧者推看之矣、／天保四癸巳年八月尽〈亥半剋計〉　少僧都照道」
　（扉題二）「湏口〈見説〉」、同ウ「銘曰灌決　覚／〈表紙内ニ予出蒙覚成注之、〉」
　（内題二）「灌頂胎蔵次第不審事〈付通両界事等〉」
　（奥書二）「右以当山心蓮院経庫甲第三十九筥之本拝見之暇、／於灯下馳禿毫了、穴賢々々、／龍集癸巳年天保第四九月十四日〈巳剋許〉　非人照道」
四八　水丁秘口人〈三初後〉　一冊　袋綴
　（渋横刷毛目表紙墨書外題）「水丁秘口人」
　（扉題）「水丁秘口人〈三初後〉」
　（内題）「伝法灌頂三摩耶戒聞書」
　（奥書）「本云、已上初後次第口伝、対宝（了賢）光院法印御房面受／口決了、文字等散々也、追静可清書之、／暦応四年七月廿五日記之、／権律師禅尊
　　　『本云、』応永卅四年十一月十八日書写之了、無左右不／可及外見之由雖承、菩提院法流大事悉／以伝授之由緒、申請宝光院法印御房、慶深／書写之、秘中極秘也、／権律師仲盛〈歳四十二〉
　　　　如此応永三十四暦中冬十八日雖写置、巻物者／用段為引見有其煩之間、且者清書分／重而書写畢、来月十一日印盛入壇、為授与／連日披見之次也、曽以不可外見之耳、／文安五年〈戊辰〉二月晦日終書写之功畢、／法印権大僧都仲『心蓮院』
盛／六十三（以上本奥書）
　　　天保第四龍集癸巳夏六月十七日書写功畢、／則仲盛法印自毫之本也、誠秘中秘本也、／猥不可許他見者歟、『則遂一校了、』／広沢西院末資照道」
　（備考）四二号参照。　　　
四九　白拂・歯木抄・投華抄　一冊　袋綴
　（渋横刷毛目表紙墨書外題）「白拂／歯木抄／投華抄」
　（扉題一）「白拂〈複金草〉」
　（奥書一）「清書待病隙耳、　顕證（本奥書）
　　　披覧之次、写留之了、　照道」
　（扉題二）「歯木抄〈同門学者令再治清書之、〉」、尺図あり。
　（奥書二）「慶安三年初夏入安居日、／於高山寺草庵書之、偏為補／愚廃忘也、　金剛仏子顕證〈五十四〉（本奥書）
　　　枝通作支、作枝非、
　　　天保九年夏四月廿日、以尊寿密蔵顕上人／類聚草本書留之了、〈今日加茂神事、勅使持（基政）明院／中将也、申下刻計雨却〔脚〕雷電、〉／『一交了、』　大僧都照道〈二十五〉」
　（扉題三）「投華抄」
　（内題）「投花得佛〈『極秘』〉」
　（奥書三）「此一巻輙不令見之、深可秘之、／雖抄之不及清書、後生門葉譲之、　顕證（本奥書）
　　　此一巻拝覧之次、遂書写了、／天保九戊戌年四月廿一夜、於灯下閣禿毫了、　『校了、』大僧都照道」
五〇　線索集　一冊　袋綴
　（渋横刷毛目表紙墨書外題）「線索集」
　（扉題）「線索集」
　（奥書）「寛文十二年三月十五日清書之了、／今日安（性演）井大僧正東寺拝堂有之云々、（本奥書）
　　　此線索集者、一音坊顕證之所類聚也、／披見之砌写留之者也、／天保七年十月廿四日　大僧都照道」
五一　水丁供養法口　一冊　袋綴
　（素紙表紙墨書）左「水丁供養法口　　第廿五箱」、右下「顕證」
　（水丁供養法口奥書）「已上広沢大事〈実叡口伝〉／高山寺石水院宀経蔵真第九箱／深勝房自筆十四紙之内也、」
　（護摩口伝奥書）「寛永十二年六月下旬、高山寺経蔵／虫払之間書抜之了、顕證」
　（同裏書奥書）「寛文元年閏八月廿一日、御所御本之内切紙有之、写之了、／顕證」
　（印記）複郭長方朱印「法住庵」の上に複郭長方墨印「仁和寺／尊寿院」を押す。
　（備考）四〇号以下の一結のうち、本冊は顕證自筆。
〔五二～五四　一結〕
　（包紙）「安永御水丁／誦経導師次第　一帖〈故僧正御筆〉／同　一冊」
五二　灌頂誦経導師作法　一冊　桝形折本
　（紺表紙金泥外題）「灌頂誦経導師作法」
　（奥書）「享保三戊戌年十一月五日書之、右艸二十六載／春艸之、／河南九華山開址沙門安流嫡資蓮體〈五十六載、夏三十、〉（朱方印「蔵」）／『西京書林家ニテ／求之、』」
　（印記）複郭長方朱印「河南九華山蔵書」
　（備考）博士あり。
〔五三・五四　一結〕
　（包紙）「灌頂誦経導師次第　二帖」
五三　伝法灌頂誦経導師次第　一冊　桝形折本
　（墨流表紙墨書外題）「伝法灌頂誦経導師次第」
　（奥書）「今茲十一月十日、菩提院僧都／良助於真光院道場両部／灌頂稟受之事有之、于時／深融僧都為誦経導師／之仁、予欲往而観聴其儀、／因預借前大僧正壮年書／写之本以写了、畢竟／禅暇之弄筆而已、不敢／為正本、／文化八年〈歳辛未〉／冬
（ 十一月）黄鐘／初八日／済仁」
　（印記）単郭朱方印「済仁／親王」
五四　灌頂誦経導師次第　一冊　桝形折本
　（素紙表紙墨書外題）「灌頂誦経導師次第」
　（奥書）「安永二年十一月十二日書功了、／ v （梵字：金剛） a jra 寛證」
※以下、奈文研目録とは番号がずれる。ラベル番号に従う。
五五　誦経導師次第〈安永四三月／御水丁〉　一冊　桝形折本
　（素紙表紙墨書外題）左「誦経導師次第〈安永四三月／御水丁〉」、右下「寛證」
　（奥書）「安永四年三月八日書之了、／来十日　長吏親王御灌頂／〈予〉誦経導師奉仕之間、／用意之、　僧正寛證
　　　　右誦経草者、東（益長）坊城少／納言大内記」
五六　伝法灌頂三昧耶戒作法　一冊　縦長折本（両面書き）
　（表紙墨書外題）伝法灌頂三昧耶戒作法　第十七箱
　（表紙見返し墨書）「仁和寺／尊寿院」
　（後ろ表紙墨書外題）「伝法灌頂作法」
　（奥書）「寛文十二年四月四日、以御経蔵之／本令書写之了、　顕證」
　（印記）単郭長方朱印「仁和寺／尊寿院」
〔五七～五九　一結〕
　（包紙）「隆證大僧正　尊寿院蔵／伝受記〈三冊〉／他見不許」
五七　広流伝受日記　一冊　袋綴
　（素紙表紙墨書）「広流伝受日記」
　（書出）「延宝八年〈庚申〉師主孝源権僧正於室伝受／卯月廿七日、本経ノ内、」
　（末尾）「保寿院八結〈并〉新抄四度次第／当五月従九日伝受初、七月廿四日／又伝受、八月八日伝受畢、法印光遍〈卅六〉／師主真乗院僧正孝源也、／天和三年八月八日」
五八　伝法院伝流抄伝受記　一冊　袋綴
　（素紙表紙墨書）「伝法院伝流抄伝受記」
　（書出）「伝法院方伝授日記／元禄五年〈壬申〉三月廿日、師主真乗院前大僧正／受者　僧正隆證／従今日当御室御流御伝受師主同人／予華厳院少僧都依御縁座毎日伝受」
　（末尾）「元禄五年〈壬申〉三月廿日ヨリ同年六月二日迄ニ／伝流抄伝受了、」
五九　広御流真秘伝受記　一冊　横帳
　（素紙表紙墨書）「〈広〉御流真禾専受己／貞享四年〈丙（丁ヲ重ネ書キ）卯〉五月廿三日　金剛仏子光遍」
　（表紙見返し）「貞享二年十一月廿五日御流印可／大阿闍梨真乗院前大僧正法務孝源／奉受／受者尊寿院権僧正法印光遍
　　　同四年〈丁卯〉五月（徒ヲ抹消）廿三日御流真秘奉伝／受／大阿闍梨真乗院法務前大僧正孝源／受者尊寿院権僧正光遍
　（末尾）貞享四年十月五日、真秘伝受／不残成就了、／師主法務前大僧正孝源／受者尊寿院権僧正光遍」
〔六〇～六二　一結〕
　（包紙）「広伝／『佉甲』三〈教〉　一帖／初〈教〉　一帖／後〈教〉　一帖／『右三帖、以法住庵上人自筆本令入比交、朱筆等悉書加之了、天保八年十一月三夜』／教授頸次第　一帖／初夜後夜教授用意　一帖」「天保五〈甲午〉年冬十一月四日／書功畢、／押紙等悉一校了、／西院未資仏子照道／『原本者心蔵也、』」
六〇　三初後教授用意　三冊　桝形折本
（一）三〈教〉
　（茶表紙貼紙外題）「三〈教〉」、右上『広伝』
　（奥書）「右、備後阿闍梨尋海書『自筆』写本以写之了、（本奥書）
　　　『右、法住庵上人以自筆本令交合了、／件朱書等、顕證私註而已、可秘可貴ー、／末弟兼賀』
　　　天和二年〈壬戌〉秋比功了、」
　（裏書奥書）「天和二年〈戌〉十月十四日、於灯下夜半比一交／裏書等了、」
（二）初〈教〉
　（茶表紙貼紙外題）「初〈教〉」
　（奥書）「天和二年十月廿七日、校合点了、／亮☒書之、」
（三）後〈教〉
　（茶表紙貼紙外題）「後〈教〉」
　（奥書）「天和二年〈壬戌〉十月十日、於灯下功了、／同夜子刻計一交了、」
　（印記）三帖とも長方朱印「釈氏／湜眼」
六一　初・後夜教授用意　二冊　桝形折本
（一）初〈教〉
　（素紙表紙墨書外題）「初〈教〉」、左上「広伝第一筥」
　（奥書）「延宝七〈己未〉年七月十三日、師『法住庵顕證』主上人以御『第廿六箱』本校合了、并／師主口伝等微細書入者也、卒爾不可露顕者也、／〈末弟〉良純」
（二）後〈教〉　
　（素紙表紙墨書外題）「後〈教〉」、左上「広伝第一」
　（印記）二帖とも複郭長方朱印「貧士／空真」、朱方印「☒☒」
六二　吉慶譛〈梵漢〉　一冊　折本（極小）
〔六三～六五　一結〕
　（包紙）「水丁甲／印可次第　二帖／両部合行　一紙」
六三　印可次第〈広沢〉　一冊　桝形折本
　（素紙表紙墨書外題）「印可次第〈広沢〉」
　（印記）単郭長方朱印「石山寺／密蔵院」
六四　西可図　一枚　
　（印記）単郭長方朱印「石山寺／法輪院」
六五　印可次第　一冊　桝形折本
　（奥書）「于時元禄六年〈酉〉九月日、以／前法務大僧正孝源御本遂／写功了、　末資源尋」
六六　調支具私次第　二冊　桝形粘葉装
　（包紙）「保寿院／調支具私次第　二帖」
（一：素紙表紙墨書外題）「調支具〈私　『保』〉」
（二：素紙表紙墨書外題）「調支具私次第」
（二：奥書）「右次第、保寿院八結之秘作法也、為用意／抜書之者也、今度於宝性院頼遍大僧正／被行伝法灌頂砌也、／元禄拾〈丁丑〉載三月廿一日法印su bam （梵字）判（本奥書）
　　　茲尊師権僧正被行伝法水丁、〈予〉令勤教授、／仍為用意此次第書写之、／寛政元酉歳九月十日／金剛仏子範斉」
〔六七～六八　一結〕
　（包紙）「灌頂道具記／二部　二帖」
六七　伝法灌頂用意　一冊　袋綴
　（茶表紙貼紙外題）「□□□頂道□□道具用意（伝法灌頂道幡方道具用意）」
　（内題）「伝法灌頂用意」
　（印記）複郭長方朱印「仁和寺／華厳院」
六八　灌頂道具　一冊　横帳
　（書出）「灌頂道具」
　（奥書）「右之外、新調道具目録／内庫目録有別書、」
　（印記）複郭長方朱印「仁和寺／華厳院」
〔六九～七二　一結〕
　（包紙）「四箱／阿闍梨大曼荼羅灌頂儀軌　一帖／胎蔵界伝法灌頂作法　一帖／金剛界伝法灌頂作法　一帖／神供壇図〈私〉　一帖」
　（印記）藍額印
六九　金剛界伝法灌頂作法　一冊　桝形折本
　　 （赤褐色砂子散表紙墨書外題）左「阿闍梨大曼荼攞灌頂儀軌」、右下「（梵字） ye srum」、右上『一』
　（内題）「阿闍梨大曼荼羅灌頂儀軌」
　（奥書）「久安元年八月九日、兼賜御本、於宝荘／厳院僧房奉書訖、／金剛最尊之本
　　　応保二年十月十日〈癸酉奎宿／日曜蜜日〉始自今日迄／于同十五日、已上四帖奉伝受大阿闍梨西（仁覚）／院僧都御房畢、于時二条万里小路／御壇所、／資金剛隆ー（仁）
　　　　以西院御本重校勘之、墨点等是也〈矣、〉
　　　建永二年丁卯五月廿七日壬寅〈觜宿／日曜〉於南／岳房旧室奉伝受三昧耶戒作法、於現前／大阿闍梨慈（最寛）尊院法印御房、同廿八日奉受／胎蔵界作法、同廿九日奉受金剛界作法及儀／軌、即賜御本畢、
　　　同六月十四日書写終功、第十九日校合、第／廿一日移点、同廿二日又比校矣、／金剛仏子禅遍〈生年廿四〉
　　　元久元年〈歳次／甲子〉九月十四日癸酉〈胃ー／金ー〉於金剛峯／寺往生院道場、先就于略儀遂入壇之時、雖／伝受本書不令書写之、於私記等者皆／以書写了、又於本書有沙汰事、別紙物等／悉書写之、於本書者伝受已畢、両界等重／受尊法等伝受、先被終篇事、尤以可然歟、／本書々写不可忩也云々、仍任教命不書写之、／建暦元年〈歳次／辛未〉参籠之時、此本書四帖令／随身者也、六月十一日相具本書、令往生院申／出彼本校合之処、般若寺之方全分同之、／一字一点一切不違、仍校合之不書写耳、
　　　建長七年〈歳次／乙卯〉四月廿四日庚寅〈奎宿／月曜〉於無量／寿寺南廊、以色衆六口、堂上儀遂入壇畢、／其後灌頂之大事等連々奉伝受之、仍同／五月十五日庚戌〈箕ー／日ー〉於現前阿（宏教、本名禅遍）闍梨御房、／此本書等四帖終之、早速書写可終功之由／蒙厳命、然依給仕之事無隙之間、同廿日浄／心信敬、先儀軌一帖奉書写畢、同廿一日校／合畢、同日移点、同年八月択良震美景、始／自初三日至于同五日、已上四帖奉伝受了、／金剛仏子成遍〈生年／廿八〉
　　　弘安七年正月七日、於相州永福寺真／言院令書写畢、　金剛資幸禅〈生年／卅一〉（以上本奥書）」
　（印記）朱額印
七〇　胎蔵界伝法灌頂作法　一冊　桝形折本
　（赤褐色砂子散表紙墨書外題）左「胎蔵界伝法灌頂作法」、左下欠損、右上『三』
　（内題）「胎蔵界伝法灌頂作□」
　（奥書）「久安元年八月三日、兼賜御本写功畢、／金剛最尊
　　　　　　　　以西院御本重校勘之、
　　　建永二年六月十六日、終書写功、同十／八日校合、同二十日移点、第［　　　／交比校矣、／金剛［
　　　建長七年五月廿三日、書□〔写〕［　　　　／校合畢、同日移点、同八月［　　　　／金剛次〔資〕成遍
　　　弘安六年十二月廿六日、於相州二階堂／真言院書写畢、／金剛幸禅
　　　正中三年〈丙寅〉三月八日、於橘樹寺賜師主／御本書写了、　金剛資定心〈生卌七／通廿五〉／同十六日伝受了、（以上本奥書）」
　（印記）朱額印
七一　金剛界伝法灌頂作法　一冊　桝形折本
　（赤褐色砂子散表紙墨書外題）左「金剛界伝法灌頂作法」、左下「ye（梵字） □」、右上『一』
　（内題）「金剛界伝法灌頂作法」
　（奥書）「久安元年八月六日、兼賜御本奉書写了、／金剛最尊
　　　　　　　　以西院御本重校勘之、　　　　
　　　建永二年六月十七日、右筆終功、第十八／日一校、同二十日移点、第二十二日又比校了、／金剛資禅遍
　　　建長七年五月廿四日、深心堅信敬奉［　　　　／同廿五日移点畢、同日校合畢、同八月［　　　／奉伝受金剛界作法及儀軌了、
　　　弘安六年十二月廿九日、於相州二階堂／真言院書写了、／金剛資幸禅
　　　　次年正月八日夜、以子刻校点了、
　　　正中三年〈丙寅〉三月九日、於橘樹寺賜／師主御本書写了、　金剛資定心〈生卌七／通廿五〉／同十七日伝受了、（以上本奥書）」
　（印記）朱額印
七二　神供壇図〈私〉　一帖　桝形折本
　（赤褐色砂子散表紙墨書外題）左「神供壇図〈私〉」、右下「ye（梵字） srum」
　（奥書）「英春〈了忍房〉」
　（印記）朱額印
〔七三～七五　一括〕
　（包紙）「両部合行次第　二帖」
　（印記）藍額印
七三　両界合行次第　一帖　桝形折本
　（表紙墨書外題）「上　両界合行次第」
　（内題）「両界合行次第」
　（奥書）「永正十八年五月十四日書之、」に重ね書き「以或本書了、」
　（印記）朱額印
七四　両部合行〈深秘〉金　一帖　桝形折本
　（内題）「両部合行〈深秘〉　金〈『胎』〉」
　（印記）複郭長方朱印「仁和寺／華厳院」　
七五　両部合行〈深秘〉金　一帖　桝形折本
　（表紙墨書外題）「両部合行」
　（内題）「両部合行〈深秘〉　金〈『胎』〉」
七六　印可略授作法〈最秘／湏訶〉〈私〉　一帖　桝形折本
　（包紙）「印可略授作法　一帖」
　（表紙）左「印可略授作法〈最秘／湏訶〉〈私〉」、右上『西』
　（内題）「印可略授作法〈私加〉」
　（奥書）「建保三年〈歳次／乙亥〉七月三日、依師頸次／第私書加口決了、聊可有用意、乍／憚記而已、／金剛末資禅遍〈生年／卅二〉
　　　元文五年〈歳次／庚申〉九月四日、因古次第〈並〉／加師説右点之也、且為自行而已、勿／令有他見、／真乗末資宥ー〈生年廿六〉（本奥書）」
　（裏書奥書）「天明六〈歳次／丙午〉年五月廿七日、以師主御本／令書写之訖、　金剛仏子禅證〈春秋／卅六〉」
　（印記）複郭長方朱印「仁和寺／真光院」
〔七七～八〇　一括〕
　（包紙）「広西／印可略授作法　一帖」
　（印記）複郭長方朱印「仁和寺／真光院」
七七　印可次第〈広沢〉　一帖　桝形折本
　（表紙貼紙外題）「印可次第〈広沢〉」
　（内題）「印可次第〈広沢〉」
　（奥書）「明和五年四月廿九日、師主御本／申出、雖為悪筆令書写之了、／金剛仏子禅證〈十八／才〉」
　（印記）複郭長方朱印「真光院」
〔七八～八〇〕
　（包紙）「印可前行表白／同加行大師所作」
七八　印可前行表白　折紙一紙、切紙一紙
　（印記）複郭長方朱印「仁和寺／華厳院」
七九　十八道加行所作〈道俊〉　折紙一紙
八〇　祈願加句〈道俊〉　切紙一紙
八一　御受者御用意　一帖　枡形折本
　（包紙）「水丁記六箱／御受者御用意」
　（包紙・本紙印記）藍額印
　（表紙墨書外題）「御受者御用意」
八二　湏要掌中抄〈初、後、三〉　三帖　桝形折本
　（包紙）「灌頂要掌仲抄／仁山〈不出〉」
（一）
　（表紙墨書外題）「初湏要掌中抄〈一二口決十六巻対照〉」
　（奥書）「右於真乗院御臺書之者也、／摩尼珠院忠俊（本奥書）
　　　元禄六八月七日　一交了、」
（二）
　（表紙墨書外題）「後湏要掌中抄〈一二口決第十六巻〉」
（奥書）「写本云、／嘉元四年之暦暮春中間之候、儲／人定於燈下記、／南无遍照金剛照知給、／金剛資亮禅
　　　于時、／元徳三年〈辛未〉二月一日、／於東寺御坊書写、／同日西院重受蒙印可了、／惣忩急事之間筆跡狼藉也、／金剛資能海
　　　裏書云、（中略）
　　　『応仁二年十月日、遍照院御本申請書写了、』
　　　右写本、真乗院累代以本写之、／御本焼之間、徒雖イ為悪筆頼恵僧正／法流預之間、為後日如此畢、／摩尼珠院忠俊（以上本奥書）
　　　元禄六年九月十四日、於池上成願寺、／以東寺宝菩提院根本御本一交了、／末資忍賀」
（三）
　（表紙墨書外題）左「三湏要掌中抄」、右上「広西」
　（内題）「三昧耶戒作法〈平座〉」
　（奥書）「本云、真乗院御堂ニテ書之、／摩尼珠院忠俊〈五三〉（本奥書）
　　　元禄六秋八月六日、東寺宝菩提院以御本／一交了、并走筆了、　亮深」
〔八三～九〇　一結〕
　（包紙）「湏用諸次第／入道場作法一、護摩次第一／神供次第三、（抹消）「鎮守読経一」／汲閼伽水事一」
八三　入道場作法　一帖　桝形折本
　（表紙外題）「入道場作法」
　（内題）入道場作法〈私〉
八四　伝法灌頂護摩私次第　一帖　桝形折本
　（表紙外題・内題）「伝法灌頂護摩私次第」
八五　西院流灌頂汲閼伽水事　折紙一紙
　（外題）「西院流／灌頂汲閼伽水事」
　（奥書）「文政九八三記之、　　知足庵」
八六　伝法灌頂神供次第〈私〉　一帖　桝形折本
　（表紙外題）「伝法灌頂神供次第〈私〉」
　（奥書）「天文廿年十二月、真光院水丁写之、／摩尼珠院
　　　『右之次第者、覚遍・宥證両師灌頂之時ノ／次第也、本紙者師主大僧正御本申出書写者也、／朱書者御本ニ無之、私加少々文言、　　書（アキマヽ）／写スル者也、此次第必後世人不可用私次第也、／明和五〈星次／戊子〉天仲冬初六日　禅瑜』（以上本奥書）
　　　今度高野山寿福院源雅灌頂／於真乗院道場、　一（深仁）品親王／令授与給、〈予〉勤神供、仍此一帖／以南勝院本書写了、／享和改元二月廿七日／少僧都壱阿」
八七　八名三昧　切紙一紙・短冊一紙
八八　四声手相　切紙一紙
　（印記）複郭長方朱印「仁和寺／華厳院」
　（備考）四声・ヲコト点図と両掌の部位名称図。
八九　伝法灌頂神供私作法　一帖　桝形折本
　（外題・内題）「伝法灌頂神供私作法」
九〇　伝法灌頂神供次第　一帖　桝形折本
　（包紙）「佉汀神供次第」
　（外題）「佉汀神供次第」
　（内題）「伝法灌頂神供私作法」
　（文中奥書）「右、以正本写之、／寛永五〈戊辰〉三月五日　禅宥僧正〈六十二〉」（本奥書）
　（奥書）「天文廿年十二月、真光院水丁写之、／摩尼珠院
　　　此一帖誂宥延令書写了、／権僧正宥證
　　　宝暦二年初夏日（以上本奥書）
　　　明和五年四月晦日、師主御本／申出書写了、　大僧正禅證
　　　『廿天真言不審之間、勘或次第／以末示之訖、　禅證』」
　（印記）単郭朱方印「仁和寺／華蔵院」
九一　伝法灌頂法則〈初夜、後夜〉　二帖　桝形折本
　（包紙）「『佉甲』／伝法灌頂〈初夜／後夜〉法則　二帖」、裏に識語『嘉永四八月、就此本今開壇授与了、権僧正（花押）』、天保五年六月能州石動山天平寺巻数を転用。
（一）初夜法則
　（奥書）「御本云、正応五年十一月十二日、長位於／菩提院入壇、予供養法勤之、仍／賜御本書写之、　禅ー
　　　永仁二年三月廿八日、於北院／授顕誉之時用此次第畢云々、
　　　文保元年二月十四日、賜御本／書写之、　定助
　　　『右朱書之分、御流御次第校之、／書加了、』（以上本奥書）」
（二）後夜法則
　（奥書）「正応五年十一月十二日、長位於／菩提院入壇之時、予勤教授并供／養法之間、賜菩提院御本書／写之、　禅ー
　　　永仁二年三月廿八日、於北院／初授職位於顕誉之時、用此／次第了云々、
　　　文保元年二月十三日、賜此御／本書写之畢、　定助
　　　『右朱書之分、御流御次第校之、／書加了、』（以上本奥書）
　　　貞享三年八月廿二日校合了、／来十月為花厳院実深灌頂／令書写之者也、／孝源〈四十九歳〉」
　（備考）昭和十三年臘月の新帙。
九二　同右　二帖　桝形折本
　（包紙）「〈時用方〉伝法灌頂初後夜／法則二帖」
（一）初夜法則（表紙貼紙）
　（奥書）九一号と同じ。
（二）後夜法則（表紙貼紙）
　（奥書）九一号と同じ。
　（印記）二帖とも複郭長方朱印「真光院」
（木下竜馬・小瀬玄士・林　晃弘・藤原重雄・川本慎自）