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所報 - 刊行物紹介

大日本古文書 家わけ第十七 大徳寺文書別集 真珠庵文書之八

本冊は、大徳寺文書別集 真珠庵文書之八として、「別置軸装分」「重書大長持」「壁書」「過去帳」「校割帳」の順に収録した。
 まず一〇四八号より一一〇二号におさめた「別置軸装分」とは軸装の上に、箪笥などにおさめて什物番号を付して、真珠庵の蔵に別置されている文書である。これらの文書については、文書名行の行末に什物番号を付した。その内容はおもに開祖一休宗純以下、歴代の真珠庵住持にかかわる偈頌、諸文書を中心とする。ただし、そのほか、大徳寺開山宗峰妙超にかかわる諸文書、一休の師匠・華叟宗曇にかかわる諸文書などは特筆すべきものである。また双幅の祠堂過去牌は濟嶽紹派の作成にかかるもので、後の過去帳とあわせて真珠庵の寺史を研究する上で大きな位置をもつ。
 次に、一一〇三号文書より一一一〇号文書におさめた「重書大長持」とは、真珠庵の蔵に存在する幾つかの大長持のうち、諸々の重書をおさめたものをいう。このうちでは、永享八年の宗峰妙超百年忌法会にかかわる文書は大徳寺史および真珠庵史にとって特筆すべきものである。
 また「壁書」(一一一一号)、「過去帳」(一一一二・一一一三号)、「校割帳」(一一一四号より一一二三号)などは、住職の常用の下に置かれていた、あるいはおかれているもので、今回、それらをまとめて編纂した。おのおのの収蔵状態については例言を参照されたい。真珠庵の過去帳の存在はよく知られており、また史料編纂所架蔵の写真帳に収録されて利用可能になっていたが、一部破損により状態のよくない部分や筆跡の異同、表裏の関係などに不分明なところがあった。今回の編纂によって利用しやすくなったものと思われる。また校割帳のうち、一一一四号の真珠庵校割帳、は前欠ではあるが、濟嶽紹派の筆にかかるものであり、禅宗寺院の校割帳として内容の豊かなものである。
(例言二頁、目次八頁、本文三九四頁、花押印章等一覧一〇丁、本体価格九、六〇〇円)
担当者 保立道久

『東京大学史料編纂所報』第48号 p.38-39