モンスーン・プロジェクト

活動報告

2021年3月13日、オンラインで、第4回研究会を開催しました。

ラインアップは下記の通りです。会計史、東洋史、日本史、政治思想史、オランダ史の専門家が、「オランダ語史料」を共通項に一同に会しました。おかげさまで、重厚かつ熱のこもった、「攻め」の報告が続きました。

ラインアップは下記のとおりです。
 橋本武久「会計史研究と17世紀オランダ:Simon Stevin,Huis Oranje-Nassau,そして,VOC」
 冨田暁「18世紀西ボルネオの社会と王権:港市国家ポンティアナックを中心に」
 イサベル・田中・ファンダーレン「オランダ通詞のオランダ語を読む」
 大久保健晴「徳川日本における自由とナポレオン―グローバル知性史の試み―」
 安平弦司「オランダ改革派の偶像崇拝言説:
  ヨハネス・ホールンベーク(1617-1666年)におけるカトリシズムと日本仏教」

(参加記)
 第4回研究会は会計史、東南アジア史、日蘭交流史、政治思想史、宗教史に関する研究発表から構成され、午前の部では(1)17世紀ネーデルラント本国とVOC在外商館における会計システムの特徴、(2)18世紀西ボルネオにおける港市国家ポンティアナックの成立と王権・権威のあり方について、午後の部を通じては(3)出島関連史料に見られるオランダ通詞のオランダ語能力の特徴と変遷、(4)幕末期におけるナポレオン情報および「フレーヘード」(vrijheid, 自由)概念の受容とその背後にあるヨーロッパ政治思想、(5)17世紀オランダ改革派の著述における日本の偶像崇拝言説とイエズス会布教史関係記述の性格などについて、研究史の歩みと最新の研究成果を共有する機会となりました。各報告とも、長期的な時間軸で、もしくは広く他地域との関連のなかでテーマが追究されていたように思います。また私自身の研究対象(17世紀イエズス会アジア布教史)との関わりから特に新鮮であったのは、研究報告(5)で紹介されたイエズス会の日本宣教に対するプロテスタント側の描き方や評価の諸事例で、これは情報史研究の文脈からも興味深い事象でした。
 質疑応答では地域比較的、あるいは比較文献的観点によるディスカッションに発展することもあり、モンスーン・プロジェクトの趣旨説明にあるとおり、「共通のテーマについて専門を異にする研究者が密接な討論を行う」場となりました。研究会終了後のオンライン懇親会でもさらなる意見交換が行われ、またコロナ災禍における海外調査・研究の状況に関する情報提供もあり、こちらも研究会同様に実りのあるものでした。
 初回以降、これまで計3回オブザーバーとして参加する機会をいただきましたが、いずれの研究会を通じても、東西の諸言語史料と多様なアプローチによる地域横断的な共同研究の意義と可能性を改めて実感し、同時に自身の研究関心を拡げていくうえでの示唆と新たな手がかりも得られたように思います。

(文責:阿久根 晋)

2020年10月17日、東京大学史料編纂所研究発表会と共催で、モンスーンPJ第3回研究会をオンラインで行いました。報告は以下の通りです。

大東敬典「オランダ東インド会社と外交―オランダ国立文書館所蔵Contractboekenについて―」


2020年9月19日、入門書内覧検討会をオンラインで行いました。松方執筆分(途中)と組見本について、ほかの執筆者の皆さんから意見をいただきました。

入門書内覧検討会


2020年9月12日、オンラインで、第2回研究会を開催しました。

ラインアップは下記のとおりです。
 久礼克季「17世紀ジャワ北岸地域の華人とマタラム王国―1630~1680年―」
 真下裕之「ムガル帝国に関する新出のポルトガル語史料について:
  ジャハーンギール時代(1605-1627)のイエズス会第3次宣教団の記録」
 澤村るり子「16、17世紀フィリピンのトンドと華人」
 野澤丈二「オランダ東インド会社における食料の調達と供給:現状と課題」
 川西孝男「Avila Girón(-1619)による「Relación del Reino de Nippon a que llaman
  corruptamente Jappon」写本第2版を中心とした日本における「聖杯」の研究―「天文」、
  天正、慶長そして「令和」における遣欧者の視点、あるいは史料編纂学、グローバル歴史地理学、
  キリスト教神秘主義的考察―」


2020年3月6日~7日に第2回の研究会を予定していましたが、コロナウィルス感染拡大を防ぐため中止しました。


2020年3月16日~23日、大久保健晴、大東敬典と松方冬子が合衆国ボストン市に出張し、葛西康徳、Robert Hellyer, Joshua Battsの各氏とともに、AAS年次総会(Association for Asian Studies Annual Conference)において、パネル報告 “Trading Papers: New Insights on Early Modern Diplomatic Documents & Practices in Coastal Asia”を行う予定でしたが、残念ながらコロナウィルスの件で、AAS年次総会は中止となりました。関係者の皆様、ご協力をどうも有難うございました。


2020年3月6日 AASのための準備報告会を行いました(報告者:大東敬典、報告タイトル「オランダ東インド会社と外交―オランダ国立文書館所蔵Contractboekenについて―」)。


2020年2月23日~3月1日、大東敬典がオランダに出張し、デン・ハーグの国立中央文書館にてVOC文書に含まれるContract boekenの調査をするとともに、ライデン大学Colonial and Global History Seminarで口頭報告’Managing Diplomacy: VOC Agreements as Seen through the Company’s “Contract-books”’を行いました。オランダ人の研究者から貴重なコメントを得ることができました。また、Leonard Blussé, Jos Gommans, Alicia Schrikker, Lennart Besの各氏らと研究交流をしました。

ライデン大学 Colonial and Global History Seminar


2019年12月27日、京都大学文学部にて、岡美穂子、野澤丈二、真下裕之、中砂明徳が、南欧語史料の検討会を行いました。


2019年12月19日~2020年1月6日、川西孝男がイタリア、スペイン、ポルトガルに出張し、アンジェリカ図書館、イタリア国立ローマ中央図書館、同フィレンツェ中央図書館、エル・エスコリアル・サン・ロレンソ修道院図書館、スペイン国立図書館、トルレ・ド・トンボ文書館、ポルトガル国立図書館等において史料調査を実施し、あわせて天正・慶長遣欧使節や聖杯騎士伝説に関する史跡調査を行いました。

ポルトガルのトルレ・ド・トンボ文書館
↑ポルトガルのトルレ・ド・トンボ文書館

スペインの王立エル・エスコリアル・サン・ロレンソ修道院図書館
↑スペインの王立エル・エスコリアル・サン・ロレンソ修道院図書館


2019年12月27日、京都大学文学部にて、岡美穂子、野澤丈二、真下裕之、中砂明徳が、南欧語史料の検討会を行いました。


2019年11月13日~20日、松方冬子と水上たかねがオランダに出張し、デン・ハーグの国立中央文書館にてNederlandse Factorij Canton(広東商館文書)および植民省文書の調査を行いました。あわせて、文書館の隣にあるオランダ王立図書館、デン・ヘルダーの海軍博物館、アムステルダムの国立博物館Rijksmuseumを見学し、ライデン大学で日本やアジアを専攻する幅広い研究者との交流を行いました。

今回の出張は、イサーク・エイリオン財団からの助成による研究プロジェクトProfiling Leiden Japan Sources in the Global History field: From Bipolar to Multipolar Researchとの協力によって実現したものです。研究代表者であるアイルランド国立大学コーク校のキリ・パラモア教授に感謝したいと思います。
アムステルダムでは、新教会で行われていたスリナム関連展示を見学する機会にも恵まれました。スリナムという国は日本ではほとんど知られていないと思いますし、かつての宗主国であるオランダでさえ、スリナムに注目した展示は非常に珍しいとのことでした。

ライデンの町に入るシンタ・クラースSinterklaas(聖ニコラス)
↑ライデンの町に入るシンタ・クラースSinterklaas(聖ニコラス)

毎年11月半ばに「スペイン」から船でオランダに来て、12月6日にスペインに帰る。帰る前の5日に子供たちにプレゼントをくれる。おなじみのサンタクロース(オランダでは「クリスマスおじさんKerstman」と呼ばれる)は、シンタ・クラースがオランダ移民とともにアメリカにわたって生まれたキャラクターと言われている。近年オランダでは、シンタ・クラースが連れている従者(ズワルト・ピート/黒いピート)が人種差別にあたるかということが国民的な大議論になっており、今年のピートたちは「(煙突を潜り抜けたせいで)煤けた顔」をしていた。


オランダ国立中央文書館所蔵Contract boeken(1.04.02 nos. 4777-4784, 11193-11196)、およびライデン大学図書館所蔵Ordonnantie van Batavia(Special Collections (KL) 1365 F 24)の史料画像を蒐集しました。


2019年4月19日~20日、東京大学史料編纂所大会議室において、第1回の研究会を開催しました。

19日
 書庫と共同研究員室のご案内/趣旨説明/自己紹介
20日
 研究発表 久礼克季「台湾鄭氏と東南アジア―鄭氏最後の生命線」
      大東敬典「砂糖が語るもう一つの世界史
                    ―18世紀ペルシア湾における砂糖貿易―」
ヨーロッパ史料を使ってアジア側のアクターの動きを明らかにするというのが、現在の研究の基調であり、課題でもあることが、再確認されました。


2019年4月8日~14日、大東敬典がオランダに出張し、国立中央文書館にてVOC文書中Contract boekenの調査を行いました。

(本ページの無断転載を禁止します。)

松方 冬子(まつかた ふゆこ) 東京大学 史料編纂所 准教授 博士 (文学) Associate Professor,the University of Tokyo Ph.D.(the University of Tokyo, 2008)

インタビュー記事

ブックレット

主要研究業績

販売書籍

  • 一九世紀のオランダ商館 上(東京大学出版会)
  • 国書がむすぶ外交(東京大学出版会)
  • 日蘭関係史をよみとく 上巻:つなぐ人々 下巻:運ばれる情報と物(臨川書店)
  • オランダ風説書と近世日本(東京大学出版会)
  • 別段風説書が語る19世紀 翻訳と研究(東京大学出版会)
  • オランダ風説書「鎖国」日本に語られた「世界」(中央公論新社)

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