モンスーン・プロジェクトⅡ

活動報告

2022年6月24日、本PJ主催の国際研究集会「17-18世紀のインド洋 ―日本をめぐる海域史研究の広がりのために―(パートⅡ)」を、東京大学HMC、東京大学史料編纂所、維新史料研究国際ハブ拠点と共催で開催しました。

インド洋WS_2

Chaired by Travis Seifman
Introduction : Fuyuko Matsukata
Norifumi Daito “Rethinking the Dutch Decline in the Persian Gulf: An Analysis of VOC Shipping Lists (ペルシア湾におけるオランダの衰退再考:オランダ東インド会社作成船舶リストの分析)”
Discussant : Makoto Okamoto
Martha Chaiklin “Ivory in the Bay of Bengal (ベンガル湾における象牙)”
Discussant: Miki Sakuraba
Closing Remark: Fuyuko Matsukata


 2021年11月26日に開催されたパートⅠに続き、パートⅠと同じくZoomウェビナーによる完全オンライン、同時通訳付きで開催された。事前登録数154名、当日の参加者は88名(うち外国人34名)だった。
 日本史学においては、1980年代以降、14-18世紀の東アジア海域史が盛んになり、漢文史料の本格的な利用が始まった。その流れは田中健夫・村井章介など東京大学史料編纂所の研究者によって牽引され、豊富な成果を上げてきた。しかし、現在では、用いる史料・テーマなどの面で行き詰まり感が指摘されている。
 本研究集会では、東シナ海・南シナ海域(以下、シナ海域)と比較し、シナ海域と連関を明らかにするために、インド洋を視野に入れることを提案した。シナ海域とインド洋は、マラッカ海峡+スンダ海峡によって隔てられているとはいえ、そこで展開された活動は実際のところ互いに連動していた。また、インド洋史研究で行われている問題の立て方や、用いられている史料や手法は、シナ海域研究においても援用可能なものが多いと考えるからである。
 パート1が、法や儀礼など、政治・社会的なテーマに光を当てたのに対し、パート2では船の動き、貿易、消費文化といった経済・社会的な側面を扱った。
松方冬子による趣旨説明・登壇者紹介につづき、大東敬典氏が“Rethinking the Dutch Decline in the Persian Gulf: An Analysis of VOC Shipping Lists”と題して報告を英語で行った。大東報告は、サファヴィー朝衰退によりペルシア湾における砂糖貿易が衰退したとされていた従来の通説を批判し、オランダ東インド会社(VOC)文書「異国船リスト」の分析に基づいて、衰退したのはVOCであって、砂糖貿易ではないことを主張するものであった。それに対し、岡本真氏がコメント・話題提供を行い、日明貿易の研究においても史料を用いる際の注意点など、大東氏の研究との共通点を指摘した。
 休憩をはさんで、Martha Chaiklin氏が、 “Ivory in the Bay of Bengal”と題して、前近代から近代にかけてベンガル湾における象牙の生産と消費のあり方について包括的な展望を示した。それに対し、櫻庭美咲氏が17~18世紀シナ海域における磁器の流通について、詳細な紹介を行った。両氏の報告においては、豊富な図版が提示され、視覚的にも豊かな内容であった。
 最後に、1時間の総合討論が、Q&Aに寄せられた質問を司会のTravis Seifman氏が紹介し、登壇者が答える形で、活発に行われた。
 海外を含めた多くの参加者を得ることができ、新しい一歩を踏み出したという手ごたえを得ることができた。共催をいただいた諸機関にも、この場をお借りしてお礼申し上げる。

(文責:松方冬子)

趣旨とメンバー

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