国際交流
在外日本関係史料の調査・収集
史料編纂所の調査・研究対象には、諸外国に所在する日本関係史料も含まれ、その多くは外国語史料です。1950 年代からは、日本学士院とユネスコ、国際学士院連合などの支援を得て、在外日本関係史料のマイクロフィルムによる収集を進めました。欧米諸国を中心として、各国の外務省史料や東インド会社史料など、国内随一のコレクションです。1999 年からは「東アジアを中心とする前近代日本関係史料の収集事業検討会(東アジアWG)」をもうけ、中華人民共和国・大韓民国・ロシア連邦・東南アジア諸国など欧米以外に所在する日本関係史料の収集や史料目録の作成にも積極的に取り組んできました。
こうした研究の成果は、史料編纂所が刊行する史料集の編纂に反映され、所報や研究紀要に発表されています。また各種の国際研究集会を開催し、国際交流や共同研究も拡大してきました。
ロシア国立歴史文書館・ロシア国立海軍文書館との学術交流
両文書館と学術協力に関する覚書を締結し、2002 年度から「日露関係史料をめぐる国際研究集会」を開催するなど、両館が所蔵する帝政ロシアの日本関係史料の調査研究を続けています。2009 年度には『ロシア国立歴史文書館所蔵日本関係史料解説目録』、2010 年度には『ロシア国立海軍文書館所蔵日本関係史料目録』を共同で刊行しました。
ロシア科学アカデミー東洋古籍文献研究所との学術交流
ロシア科学アカデミー東洋古籍文献研究所との間で共同研究プロジェクトについての覚書を締結し、同研究所が所蔵する19 世紀初頭のサハリンアイヌ交易帳簿と史料編纂所が所蔵する文化年間の北方紛争記録の画像データを交換して、共同研究を進めています。
中国第一歴史档案館・中国国家博物館との学術交流
中国第一歴史档案館は明清時代の皇帝文書を保存する文書館です。史料編纂所では同館との共同研究により、日本関係档案3000 件余をデジタル画像で収集し、2010 年に『中国第一歴史档案館所蔵中日関係史料整理目録』を刊行しました。
また、中国国家博物館が所蔵する「抗倭図巻」と史料編纂所が所蔵する「倭寇図巻」の比較研究に取り組み、同館と協定を結んで倭寇図像の共同研究を行なっています。この成果をもとに2014 年度には史料編纂所編『描かれた倭寇―「倭寇図巻」と「抗倭図巻」―』が刊行されました。
東アジア史料研究編纂機関協議会での学術交流
史料編纂所と韓国国史編纂委員会、中国社会科学院近代史研究所が理事機関となり、日中韓三国における持続的な友好協力関係の基盤を形成するため、各国の史料編纂と歴史研究に関わる学術交流をおこなっています。2014 年には韓国ソウルで第4 回の国際学術会議が開催され、2015 年に共同協定書が結び直されて、原則として2 ~ 3 年ごとに、持ち回りで国際学術会議を開催することになりました。