2008年度 東京女子大学 文理学部史学科
「日本史特論B――中世絵画史料論――」主要参考文献目録
(2008年9月より。初出年は省略。図版を利用したケースは割愛。適当な文献のない場合もあります。)
0:全般
1:導入
- 黒田日出男「絵画史料を読むために」(『姿としぐさの中世史』平凡社、1986年)
- 黒田日出男責任編集『週刊朝日百科日本の歴史別冊 歴史の読み方1 絵画史料の読み方』(朝日新聞社、1988年→『歴史の読み方』全10冊の合冊本、1992年あり)
- 黒田日出男「図像の歴史学」(『増補 姿としぐさの中世史』平凡社ライブラリー、2002年)
- 藤原「中世絵画と歴史学」(石上英一編『日本の時代史 30 歴史と素材』吉川弘文館、2004年)
- 島本浣・岸文和編『絵画の探偵術』(昭和堂、1995年)*以下三点、美術史学からのコミュニケーション論(記号論)的な切り口による教科書
- 島本浣・岸文和編『絵画のメディア学』(昭和堂、1998年)
- 中村興二・岸文和編『日本美術を学ぶ人のために』(世界思想社、2001年)
- マルシア・ポイントン(木下哲夫訳)『はじめての美術史』(スカイドア、1995年)*タイトルどおりの一冊。対象は西洋美術だが、バランス感覚の面から推奨。
- ピーター・バーク(諸川春樹訳)『時代の目撃者−資料としての視覚イメージを利用した歴史研究』(中央公論美術出版、2007年)*欧米の歴史学での全般的な紹介
- 石原千秋ほか『読むための理論−文学・思想・批評』(世織書房、1991年)*批評理論の入門ガイドのひとつとして
- 榊原悟『日本絵画の見方』(角川選書、2004年) *モノとして観る時のポイントや用語について、読みやすいこの二冊。
- 日高薫『日本美術のことば案内』(小学館、2003年)
2:志度寺縁起絵−掛幅縁起絵−
- 東京国立博物館にて第四幅(白杖童子縁起・当願暮当縁起)・第五幅(松竹童子縁起)を展示中(平常展:11月9日まで) *知識も大事ですが、ともかく作品の前に立ってよく見ること。
- 国立能楽堂編『能と縁起絵』(1991年)
*レアなので、展覧会図録の探し方にもチャレンジ! 図録めくった量も勝負です。
- 香川県歴史博物館編『香川の名宝展』(2001年)
- 奈良国立博物館編『国宝・重要文化財仏教美術 四国一』(小学館、1973年)
- 奈良国立博物館編『社寺縁起絵』(角川書店、1975年)
※その他は別ページ参照。
3:洛中洛外図屏風−歴博甲本(町田本)と上杉本−
- 米沢市上杉博物館にて上杉本(10月26日まで)、国立歴史民俗博物館にて歴博甲本(町田本)展示(10月28日〜11月9日)
- 参考文献:入門編(上杉本ですら品切れ本ばかり。図書館と古書店を活用しましょう。)
○図版系
- 『洛中洛外図大観』(小学館) *大型図録。町田本・上杉本・舟木本の詳細な図版。
- 『洛中洛外図 都の形象』(淡交社) *大型図録。東博模本・歴博乙本はこちら。第二定型や扇面・画帖などの図版も豊富。
- 『都の形象』(京都国立博物館) *展覧会図録。個人で持つにはこれ。館では在庫切れですが、比較的入手しやすい。
- 『国宝 上杉本洛中洛外図屏風』、『洛中洛外図−くらし−』(米沢市上杉博物館) *同館で入手可能。安い。
- 『図説 上杉本洛中洛外図屏風を見る』(河出書房新社) *一番見つけやすいが、現在品切れ? 肝心の行列の部分図が入っていないなど、難点もあり。できれば、全体像を客観的に提示する上記図版から入って、自分なりの発見をたくさん作ってください。
○美術史の研究
- 辻惟雄『日本の美術121 洛中洛外図』(至文堂) *古書でたまに見かけます。
- 奥平俊六『新編名宝日本の美術25 洛中洛外図と南蛮屏風』(小学館) *シリーズ揃いでないと入手困難。
- 狩野博幸『狩野永徳の青春時代 洛外名所遊楽図屏風』 (小学館) *新出洛外図の紹介を軸に、永徳個人への焦点化。
- 武田恒夫『日本絵画と歳時』(ぺりかん社) *屏風絵の大きな流れと作品を知るのに。
○歴史学からの研究
- 黒田日出男『謎解き洛中洛外図』(岩波新書) *研究史の現段階。必読。現在品切ですが、重版して古書でも見かけます。
- 今谷明『京都・一五四七年』(平凡社) *平凡社ライブラリー版(2003年)も出ていますが、もとのイメージ・リーディング叢書版の後半の短編が収録されておらず、旧版を参照ください。
- 高橋康夫『洛中洛外』(平凡社) *描かれている都市と建築については、まずこちら。
- 瀬田勝哉『洛中洛外の群像』(平凡社) *日本中世史学が生み出した名著のひとつ。これも品切れ!
- 水藤真『洛中洛外図屏風を読む』(歴博ブックレット11) *歴博甲本に即した本はあまりありません。
※書誌事項やもっと詳しく他の論著は、別ページを手がかりに。
4:洛中洛外図屏風−フロイスの見た京都−
- 松田毅一・川崎桃太訳『フロイス 日本史』三(中央公論社、1978年)
- 川崎桃太『フロイスの見た戦国日本』(中央公論新社、2003年)
- ルイス・フロイス/岡田章雄訳注『ヨーロッパ文化と日本文化』(岩波文庫、1991年)
5:高雄観楓図と一服一銭
- 鈴木廣之『絵は語る8 高雄観楓図屏風―記憶のかたち―』(平凡社、1994年)
- 渡邊雄二「高雄観楓図の一解釈−風俗という表象の文脈−」(『デアルテ』12、1996年)
- 佐藤康宏「高雄観楓図論」(『美術史論叢』16、1999年)
- 馬渕美帆「狩野秀頼筆〈高雄観楓図〉について―先行図様を利用した制作方法と画面構成法の解明―」(『美術史』148、2000年)
- 鈴木廣之「「風俗画」というイデオロギー―佐藤康宏著「高雄観楓図論」への異論として―」(『美術史論叢』17、2001年)
- 馬渕美帆「「高雄観楓図屏風」の制作年代再考−歴博乙本「洛中洛外図」の系列の図様との関わりから−」(河野元昭先生退官記念論文集編集委員会編『美術史家、大いに笑う』ブリュッケ、2006年)
- 『茶の湯絵画資料集成』(平凡社、1992年)
- 今谷明「一服一銭の茶」(『京都・一五四七年』平凡社、1988年)
- 難波田徹「社寺参詣と飲茶風俗」(『中世考古美術と社会』思文閣出版、1991年)
- 丹生谷哲一「一服一銭茶小考」(『日本中世の身分と社会』塙書房、1993年)
- 吉村亨「「一服一銭」と門前の茶屋」「蓼倉の檜垣茶屋」(『中世地域社会の歴史像』阿吽社、1997年)
- 家塚智子「中世茶屋考」(『立命館文学』605、2008年)
6:聖徳太子絵伝(旧絵殿障子絵・献納宝物四幅本)
※他ページ参照。
7:一遍聖絵(巻七)
- 『新版 絵巻物による日本常民生活絵引』(平凡社)
- 黒田日出男編『朝日百科 日本の歴史 別冊 歴史を読みなおす10 中世を旅する人々−「一遍聖絵」とともに−』
- 「e国宝」http://www.emuseum.jp/
東京大学史料編纂所≫古代史料部≫藤原重雄≫出講