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あの投手起用では、ドラゴンズ圧敗もやむを得ないか
日本シリーズの敗因が、何よりもドラゴンズ打線の貧打と福留の拙守にあるのは間違いない。よくジャイアンツの打線が「4番打者を集めた」と揶揄されるのになぞらえれば、「まるで1・2番ばかりを集めたようなラインナップ」が打「線」として機能できず、21イニング連続無得点では勝てるはずもない。レギュラーシーズン中も我慢に我慢を重ねて使ってきた福留のエラーもそうだが、星野監督の構想・展開してきた今季の野球の負の部分がすべて出てしまったシリーズであった。しかし、あまり指摘する人がいないようだが、シリーズの流れをつかむことができなかった要因は、投手起用の誤りにもあるのではないか。
第1戦6回裏のダイエーの攻撃が始まる時、ぜひ先発野口を代えて欲しかった。決して結果論を言っているわけではなく、前の回のピンチを辛うじて切り抜けた時、これ以上続投させるとつかまりそうな雰囲気を漂わせていた上、6回の先頭打者は秋山。1発が心配だと思った数秒後には、先制ホームランを食らっていた。長いシーズンを戦っている間なら、投手の成長を図るために我慢して続投というのもわかるが、舞台は日本シリーズである。短期決戦だということが一番分かっていなかったのは、星野仙一・山田久志の2人ではなかっただろうか。とにかく失点を防ぎ続け、相手の焦りとミスを誘って点をもぎ取ることで、工藤をこの第1戦で倒しておけば、日本一はほぼ確実だったろう。
これと対照的だったのが、ダイエー王監督の早目早目の投手交代である。もちろん、ペナントレース中なら投手の成長の芽を摘み取りかねない采配だが、目先のシリーズを勝つだけなら、最善の策だったと言える。逆に言えば、シリーズ中も投手たちの気持ちを大切にしつつ、彼ら一人一人の進歩を考え続けていたのが、ドラゴンズの投手出身コンビの采配であったのかもしれない。この敗北を無駄にしないためには、リーグ連覇を成し遂げ、再び日本シリーズの舞台に立って、投手たちの成長を実証することが何よりも必要だが、果たして……。
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April 1996, February 2000; nakajima@hi.u-tokyo.ac.jp