of 協調作業環境下での中世文書の網羅的収集による古文書学の再構築プロジェクト

はじめに

 ユニオンカタログとは総合蔵書目録のことでり、本科研の「日本古文書ユニオンカタログ」とは、関ヶ原のあった1600年以前の日本の古文書を網羅する統合的な目録を作成することを目的としている。具体的には、東京大学史料編纂所にこれまで集積された原本・写真帳・影写本・謄写本の古文書の一点目録の統合データベースである。
 一点の史料を例にとっても、様々な形で現在にその内容を伝えている。原本の外に、原本所蔵者から写真をとったもの(→写真帳)、筆跡などを影写したもの(→影写本)、文書を書き写したもの(→謄写本)がある。それらが活字化され、『大日本史料』をはじめとする史料編纂所の刊行物となっている。また編年別の史料集として竹内理三氏が編纂した『寧楽遺文』・『平安遺文』・『鎌倉遺文』や、その事業を引き就いて編纂されている『南北朝遺文』・『戦国遺文』もあり、更には各自治体で編纂された自治体史もある。
 そうした様々なレベルの古文書を網羅的に一つのデータベースにしたものがこの「日本古文書ユニオンカタログ」であり、史料編纂所の構築された他のデータベースのデータも反映し、古文書基本台帳ともいうべきシステムが構築された。このデータベースでは、史料画像と文字情報も調べることが出来る。
 特に注目すべき点は古文書が網羅されているため、古文書が残された家や、収集された文書群の垣根を越えて横断検索が出来ることで、近代に散逸した文書群をカタログ化したり、個別のキーワードの文書のカタログが出来る。

ユーザインターフェイスの説明

 ここでは、ユーザインターフェースについて説明する。図1は、ユニオンカタログの検索画面である。これまで史料編纂所で作成・公開されてきた他のデータベースとは異ならない。
 試しに、キーワードで「花園院」と入力して検索してみよう。(図2)
 検索結果が表示され(図3)、全部で54件の文書が表示された。No1の文書「花園院院宣写」について詳細リンクをクリックすると、その文書の詳細情報が表示される(図4)。
 【架番号(枝番)】の数字は、「史料編纂所の所蔵史料目録データベース」の該当史料にリンクされ(図5)、特に3000番台と2000番台の場合、史料イメージが表示される。この文書では「高野山文書」の影写本に情報が表示される。
 また、図4の詳細画面の文書名の横のイメージボタンは、「高野山文書」の中にある該当文書をイメージ表示する(図6)。
 また、今度はキーワードを「花園天皇」で検索すると、370件の文書が表示された(図7)。そのNo1の文書は、『鎌倉遺文』23640号であり(図8)、文書名の「花園天皇宣命」のリンクを表示すると「鎌倉遺文フルテキストデータベース」の該当文書を表示してくれる(図9)。
 次にNo13の文書「花園天皇宣旨」の詳細情報を見てみたい(図10)。この文書には、先述の【架番号】のリンクの外、刊本の情報が表示されている。史料編纂所の刊行物ではリンクが張られており、そのリンクを表示すると、『大日本古文書 高野山文書』の情報が表示され(図11)、イメージボタンをクリックすると、版面画像が表示される仕組みとなっている(図12)。
 (注)上に説明した機能は、史料編纂所内でアクセスした場合に実現するものであり、所外からアクセスした場合には制限されているものがある。


図1 日本古文書ユニオンカタログの検索画面。

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図2 キーワードで「花園院」と入力して検索する。

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図3 検索結果で54件の文書が表示される。No1の文書をクリックしてみる。

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図4 個別文書の詳細画面。【架番号】の数字リンクをクリックすると図5へ。「イメージボタン」を押すと図6へ。

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図5 所蔵史料目録データベースが表示される。

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図6 「花園院院宣写」の史料イメージが表示される。

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図7 キーワードを「花園天皇」で検索すると、370件の文書が表示される。図3と同じく「詳細」のリンクをクリック。

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図8 文書名の「花園院宣旨」にリンクが張られている。

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図9 「花園天皇宣命」の『鎌倉遺文』フルテキストデータベースの史料文字情報が表示される。

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図10 「花園天皇宣旨」の詳細情報。高野山文書(大日本古文書)のリンクを辿ると図11へ。

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図11 刊本情報が表示イメージボタンをクリックすると図12へ。

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図12 版面画像が表示される。

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日本古文書ユニオンカタログ
東京大学史料編纂所データベース

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