琉球警吏半バ帰国ヲ命ス
　去年三月其元ヘ仏朗西国舩来着異国人一人唐人一人
　残シ置又々大総兵舩可致来着トノ趣故為御用心一組
　之人数差渡被置候処今以大総兵舩モ来着無之何ツ頃
　来着之程モ難計候付別段御吟味之訳有之別紙其方始
　松本十兵衛一列ハ此涯致滞在近藤彦左衛門一列ハ中
　途代（交替ニ関セサル通語）ニテ交代被仰付候間此涯引
　取候様申渡当夏登リ舩々ヨリ繰合罷登候様可取計候
　乍然大総兵舩到来着候歟又ハ近々来着等之模様ニモ
　候ハヽ時宜次第在番奉行ヘモ申談臨機応変之取計可
　致候且又残シ被置候人数ハ長滞在ニモ相成事候付折
　角致和熟謹慎第一之事ニ候且又家来末々之者共万一
　モ唐物又ハ琉球産物等交易（唐物品ヲ当時斯ク唱ヘタ
　リ）等敷儀共有之候テハ决テ不相成事候付稠敷取締可
　申渡候其余之儀在番其外ヘモ申談隠ニ有之候様可取
　計候右旁委細ハ野元一郎ヘ申含越候間承知可有之候
　此段御内用ヲ以申越候以上
　但足軽拾五人（第一着ニ足軽ヲ派出セリ其人員）人柄
　之儀ハ其方見計可残置候
　巳三月　　　　　　　　　　　　　　　調所笑左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　島津石見
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　島津主計
　二階堂右八郎殿
　去年三月其地ヘ異国舩来着ニ付二階堂右八郎其外被
　差渡置候処又々本舩来着モ難計候付右八郎儀此涯致
　滞在候様別紙之通被仰付候付其段申渡追テ返答可申
　越候以上
　三月　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　調所笑左衛門
　平田善太夫殿
　二階堂右八郎
　右者去年三月琉球ヘ異国舩来着異国人等両人残置本
　舩致帰帆又々来着難計候付別段御吟味之訳有之此涯
　琉球ヘ致滞在候様被仰付候条可申渡候
　但引取頃合之儀ハ追テ可申渡候
　三月　　　　　　　　　　　　　　　　主計（島津）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　石見島津
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　笑左衛門（調所）
　滞琉ヲ命シタル人名
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　御目附
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松本十兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　唐舩改
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　御家老座書役
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　野元一郎
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　御代官
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　原田尚助
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　御記録方見習
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　助教勤
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　宮内清之進
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　異国舩掛書役
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　児玉宗八
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　御趣法方書役
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松岡十太夫
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　御用人座書役
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　葛西四郎太
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　唐通事
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　槁口五助
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　御兵具方肝煎
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　川路正右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　右同与力
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　児玉源左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　坂口源七兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　右同足軽
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　拾五人
　右者去年三月琉球ヘ異国舩来着異国人等両人残置本
　舩致帰帆又々来着難計候付別段御吟味之趣有之此涯
　琉球ヘ右之面々ハ致滞在候様被　仰付候条可申渡候
　但引取頃合之儀ハ追テ可申渡候
　三月　　　　　　　　　　　　　　　　　　　主計（同上）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　石見（同上）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　笑左衛門（同上）
　琉球警吏帰国ヲ命シタル報告
　其許ヘ渡海被　仰付置候近藤彦左衛門中途交代之儀
　ハ別紙ヲ以申越候通ニ候然共
　公邉他所向等ヘハ矢張是迄之通リ一組之人数差渡被
　置候姿ニテ無之候テハ不相成事ニテ他所向等ヘ交代
　被仰付候儀共相響候テハ大変之事候付人々其通相心
　得急度不相響様上国之面々ヘ相達シ家来末々ハ勿論
　舩頭等ヘモ急度相達候様可取計候且着舩之上ハ友野
　市助海老原宗之丞方ヘモ届申出候様可申渡候左候ハ
　ヽ猶又両人ヨリ委敷為相達候様可致候此段極御内用
　ヲ以申越候以上
　巳三月　調所笑左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　島津石見
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　島津主計
　二階堂右八郎殿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　近藤彦左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　坂本体左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　安田助左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　川上弥四郎
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　御小姓与
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　岩切英助
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　中村孫次郎
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　山口吉五郎
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　津留八之進
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　西田次郎太
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　野間休之進
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　池上良右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　久保正之進
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　園田彦九郎
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　田中道節
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　唐通事
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　上野泰助
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　御兵具方与力
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　山下清之丞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　篠崎彦兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松脇孫兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　御兵具方
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　足軽三拾人
　右者去年三月琉球ヘ異国舩来着異国人等両人残シ置
　本舩致帰帆又々来着難計候付為御心得琉球ヘ渡海被
　仰付置候得共別段御吟味之訳有之中途代ニテ交代被
　仰付候条此涯引取候様可申渡候
　三月　　　　　　　　　　　　　　　　　　　主計（同上）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　石見（同上）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　笑左衛門（同上）
　右書付七通於御国元取扱相成候付拙者此節出府ニ付
　持越
　少将（斉彬）様達
　御聴帳留為致置候事
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　取扱
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　石見（同上）