第一部 史料・美術展示 (その2)
武家文書の世界
史料編纂所の武家文書では、英訳されて世界中の研究者が日本の封建制研究に用いた入来院家文書のほか、信濃守護家伝来の小笠原文書、信玄、秀吉や家康の自筆書状などが展示されます。なかでも最大のコレクションは島津家文書(重要文化財)でしょう。
島津家文書は鹿児島城内に代々大切に保管され、西南戦争の際にも周囲の必死の働きによって戦火を免れました。島津家の初代が源頼朝から地頭職に任じられて以来、明治維新に至るまでの重代の貴重史料が含まれています。関連する諸家史料とともに、鎌倉幕府、蒙古襲来、南北朝、天下統一など、歴史の節目節目の証言者として選び抜いた史料が並べられます。歴史教科書などでもおなじみの、秀吉の海賊停止令や刀狩令など、お見逃しのないように!
そのほか、史料編纂所の倭寇図巻や鳥居強右衛門の逆磔図(落合左平次背旗)、東京国立博物館の男衾三郎絵詞など、荒々しい兵(つわもの)の世界がヴィジュアルに展開されます。
主な展示品

源頼朝袖判下文〈歴代亀鑑〉 島津家文書(重要文化財)
鎌倉時代・1185年
島津氏初代にあたる惟宗忠久が、頼朝から地頭職に任じられたもの。
「歴代亀鑑」には、最も大事とされた古文書が集められています。
金箔張りの豪華な装丁は、南九州を支配した大名家の
冨と権力を今にうかがわせます。

倭寇図巻 明末清初・17世紀
中国沿岸を荒らしまわった倭寇を中国人画家が描いたものです。
月代(さかやき)を剃った日本人として描かれたこの姿は、
海賊・倭寇のイメージとしてあまりに有名です。
歴史教科書にも登場するこの絵巻をぜひお見逃しなく!
展示予定品リスト(東京大学史料編纂所の分のみ)
◎は重要文化財
◎ 歴代亀鑑一(島津家文書)
吾妻鏡(清原元定筆)
◎ 南無阿弥陀仏作善集
薩摩守護島津忠時書下・薩摩守護島津忠時覆勘状(延時文書)
渋谷定心置文(入来院家文書)
◎ 薩摩国日置北郷下地中分絵図
◎ 薩摩国伊作庄并日置北郷領家雑掌地頭代和与状
高麗牒状不審条々
平忠俊譲状(延時文書)
蒙古合戦勲功賞配分状(入来院家文書)
後醍醐天皇綸旨(益田家文書)
足利尊氏自筆書状・足利直義自筆書状(小笠原文書)
足利義教像
◎ 足利義教自筆御内書(島津家文書・歴代亀鑑二)
観中中諦像
蔭凉軒日録残簡(亀泉集証筆)
海東諸国紀
倭寇図巻
武田晴信誓詞(伝武田晴信筆)
武田勝頼書状
落合左平次道次背旗
織田信長書状 (戦国武将文書)
織田信長朱印状
言継卿記(山科言継筆) 永禄十二年記
言経卿記(山科言経筆) 天正十年春夏秋十月記
豊臣秀吉自筆書状
◎ 上井覚兼日記(上井覚兼筆) 天正十二年正月二月記
◎ 豊臣秀吉法度(海賊停止令、島津家文書)
◎ 豊臣秀吉掟書(刀狩令、島津家文書)
◎ 豊臣秀吉高麗出勢陣立書(島津家文書)
◎ 豊臣秀吉朱印状(島津家文書)
徳川家康自筆年貢皆済状
歴名土代(山科言継筆)
徳川家康黒印状
たはらかさね耕作絵巻
◎ 豊臣秀吉朱印状(検地条々、島津家文書)
津守村内曲村検地帳
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