代表挨拶

代表挨拶

東京大学史料編纂所
所長 尾上陽介

人文学・社会科学の分野は、研究を推進・発展させるとともに、さまざまな調査・研究データを蓄積してきました。2018 年に日本学術振興会(JSPS)の受託事業として始まった人文学・社会科学データインフラストラクチャー構築推進事業は、これらの貴重なデータを共有・利活用するためのインフラストラクチャーを構築し、国内外の研究者の連携の推進を図ってまいりました。そして 2023 年 10 月、構築推進事業の成果を継承し、さらに充実させるべく、東京大学を中核機関とする人文学・社会科学データインフラストラクチャー強化事業が開始の運びとなりました。

中核機関を担うのは、東京大学の附置研究所である史料編纂所と社会科学研究所です。日本史史料データをあつかう史料編纂所と社会調査等のデータをあつかう社会科学研究所は、すでに構築推進事業において、それぞれが拠点機関として参加し、データの共有化・国際化・連結化につとめてきました。強化事業では、両研究所が綿密に連携して、JDCat(人文学・社会科学総合データカタログ)の整備・強化や研究者がデータを共有しあう文化の醸成に向けて、事業全体を牽引する役割を果たします。拠点機関である奈良文化財研究所・神戸大学附属図書館をはじめとして、両分野に関わるデータを所蔵する研究機関、さらにシステム担当機関である国立情報学研究所と協力し、さまざまな知見を共有することによって、分野を超えたシナジー効果が生まれることが期待されます。

人文学・社会科学分野で、長期間にわたって作成されたデータは、多様な背景やスタイルを持っています。それらを統一的な情報基盤に収めるのは簡単ではありませんが、データの発見可能性やアクセス可能性を高めることで、学術のあらたな展開が顕われるはずです。人文学・社会科学が蓄積してきた研究資源を可視化し、国内外の研究者による共同研究を促進し、学術のいっそうの振興を実現するために、力を尽くしたいと考えております。みなさまのご理解とご協力をお願い申し上げます。