通航一覧琉球国部テキスト

重点領域研究「沖縄の歴史情報研究」

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「通航一覧」琉球国部のデータ化について
−このデータは、科学研究費・重点領域研究「沖縄の歴史情報研究」により作成しました。−

 「通航一覧」は、江戸幕府が、欧米諸国接近の圧力を感じるなかで、幕初以来の外国応接の歴史を明らかにするために編纂した大部の外交史料集である。永禄九年(1566)安南船の漂着記事から文政8年(1825)の異国船打ち払い令までを扱った正編は嘉永3年(1850)から同6年にかけて編纂され、巻数は345巻(附録23巻とも)。続いて続輯が編纂され、安政3年(1856)ころ178巻(附録26巻とも)が完成した。編者は、「海口に事有り、急遽応接の際、輙やかに此の編に就き、以てその体例を求むれば、一覧瞭然、遺漏有る靡し、則ち何ぞ唯だ言語文辞の次を失はずに叙するのみならん、実に国体を辱めざる者の存する有るなり(海口有事、急遽応接之際、輙就此編、以求其体例、一覧瞭然、靡有遺漏、則何唯言語文辞之不失次叙也、実有不辱国体者存焉)」(正編序)、「異国の来往其関係する所、実に容易ならず、是本編の在ところなり」(同凡例)と、外国との交渉における典拠史料の重要性を強調している。編纂に際して利用した史料は、おおむねまとめられた史料集や記録に限られている(ただし幕府発給文書については直接控を利用している場合もある)が、史料の取り扱いは概して客観的・実証的とされており、現在でも近世対外関係の基本史料集の一つとして利用されている。
 その構成は、基本的に、編纂作業の結果確定・取捨選択された事実関係を簡略に記した一種の見出しである「本文」と、その典拠史料を掲げた「考証」から成り、場合によっては編纂者の意見を注記した「按注」が加わる構成になっている。なお、「通航一覧」の編纂・成立にかんしては、最近では木崎弘美氏の研究(木崎「『通航一覧』の編纂と伝来に関する考察」〈『海事史研究』47、1991年〉、同「『通航一覧』の書誌学的考察」〈同前49、1992年〉)がある。
 これまで一般に「通航一覧」は、正編については国書刊行会から刊行された活字本(1912〜13年)、続輯については箭内健次氏が校訂した活字本(清文堂、1967年〉が広く利用されている。ただし正編については、刊本の時期が旧いため、誤植と思われる箇所や挿し絵を省略した箇所が少なからず存在する。ここでは、科学研究費−重点領域研究「沖縄の歴史情報研究」により、琉球国部に限ってではあるが、明治初年に外務省が献上本から作成した写本(現在史料編纂所所蔵。正編の底本でもある。)をもとにデータ入力と写真撮影を行い、テキストデータとイメージデータの両方を利用できるようにした。

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