2001年12月15日

石上英一「奄美研究と南島史料」


九州南方の薩南諸島と琉球諸島の間に連なる奄美諸島は喜界島、大島(瀬戸内海峡を挟んで加計呂麻島、与呂島、請島もあります)、徳之島、沖之永良部島、与論島からなります。現在、鹿児島県に属しているのは、1609年(慶長14)に島津軍に占領され近世を通じて統治されてきたからです。その前は、15世紀頃から琉球国に統治されていました。18−19世紀には、サトウキビ生産が行われ薩摩藩の財政を支えたことを忘れてはなりません。太平洋戦争では南方作戦基地となり、敗戦により米軍に占領され、1951年に本土復帰を果たしました。史料編纂所所蔵島津家文書には、島津家の奄美諸島統治を記す史料が残されています。17世紀半ばの奄美諸島を描いた国絵図、大島の民俗を精密に描写した「南島雑話」などです。これらの史料と琉球史料、奄美諸島に今も伝わる史料を交えて、アマミノクロウサギが住み美しい珊瑚礁の海が広がる自然を思い描きながら、地域の歴史を探る方法を考えてみましょう。

[戻る]