ニューマ・ブラン撮影の昭武写真は、新年早々(1月2日)のものが本所蔵と なっている(複写参照)。本領収書はその時のものであろうか。 あるいは、領収書の文面には、「大君肖像写真引伸」とあるので、昭武がフ ランス皇帝ナポレオン三世に贈ったとされる慶喜の写真の引伸代かもしれな い。慶喜の写真は現在フランス国立図書館に所蔵されているという。 写真家ニューマ・ブラン(墨書では「ニマブラン」)は、電灯式写真引伸技 術の開発者として知られている。領収書からは、引伸代1枚100フラン、24枚 で2400フランも払ったことが判る。電信機が6000フランであるから、相当高 価である。 当時は名刺サイズ写真(passepartout 規格品)が一般的で値段 も20フランで済んだ。昭武の写真のような引伸写真は最先端技術商品であった のである。
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