一行は上海出港後、十七日香港に到着。同二十日ラングーン号に乗り換えてマル セーユへ向けて出発した。P&O社は当時世界最大規模を誇るイギリス海運会社であ る。 本来なら、本証は香港からマルセーユまでの荷物預証である。しかし、本証の裏書に 「スヱースよりアレキサンテルヤ迄蒸気車荷物請取切手」と書かれている。このとき まだスエズ運河は開通せず、アジア=ヨーロッパ航路では、スエズ・アレキサンドリ ア間を汽車で連絡するという旅程が採られていた。スエズで下船した際に、汽車の部 分はP&O社の管轄ではないからアレキサンドリアで再度船積みするようにと同社か ら手交されたのかもしれない。
史料編纂所図書室に関するお問合せは、電話 (03)5841-5962(運用掛)までどうぞ。