外270/1/8-3

télégramme pour Berne
ベルン宛電報代領収書

パリ 1867年9月2日


外270/1/8-4

[Voyageur en Wagon Salon]
汽車賃支払いメモ

パリ(カ) 1867年9月2日


外270/1/8-5

「トロワニ而御昼食代諸色〆」

トロワ 1867年9月2日


 昭武一行は、スイス・オランダ・ベルギー歴訪のため、67年9月2日(慶応三年八月
六日)パリを出発する。『渋沢栄一滞仏日記』によれば、一行は当日午前7時に蒸気車
に乗り、11時に昼食をトロアで摂り、午後8時にスイスのバーゼルに到着。ここで一
泊した後、翌日午後にベルンに到着している。

 上記の史料は、出立当日の様々な諸出費に関する領収書・メモ類などを綴ったもの
の一部である。

 ベルン宛電報代領収書は、最初の訪問国であるスイスの首都ベルンへ一行のパリ出
立と到着予定日などを打電した際のものであろう。当時の電報は、汽車より速く遠く
へ情報を伝達するために使われることが多かったが、昭武もそのようなものとして電
報を利用したのである。

 汽車賃支払いメモは、一行のバーゼル(或いはベルン)迄の鉄道運賃であり、サロ
ンカー14名・二等車6名の総計20名であることがわかる。当時の鉄道には王侯貴族専
用車両があり、昭武も当然これを利用したのであろう。

 『滞仏日記』では、トロアがシャンパン酒の名所であり「此日御昼食に右の名酒を
饗せしか其味他方の産に超ること数等なりし」と記載するが、鉛筆で書かれた昼食代
メモの最上段に記されている(Champagne 35)のがそれであろう。35フランの酒なら
当然か。

史料編纂所図書室に関するお問合せは、電話 (03)5841-5962(運用掛)までどうぞ。



June 1996;