YAJカタログ(日本語反訳版)

古典

(B b 1) 聖徳太子の十七条憲法
     1巻

     弘安8年(1286年)に作られた原本の複製。
     巻物の最後に以下の文言が見える。
     「入道大納言家 奉施入 十七條憲法 右文者依為本願聖霊御作 有祈念事開模所施入如件 弘安八年三月日」〔※文化庁国指定文化財等データベースより引用。訳者注〕
     この巻物のもともとの組は奈良の法隆寺に今もなお保管されている。
     聖徳太子の十七条憲法についていくつかの言及が必要であるが、これは日本の政治原則を説明する最初の成文法である。推古天皇12年(604年)に作成された、日本史上もっとも優れた政治憲章の一つである。政治、宗教、倫理思想、すなわちインド、中国、日本の三つの偉大な制度が結合したものである。始めに「和」の重要性の主張、「三宝」を敬うこと、上下和諧すること、善を勧めて悪を正すことが説かれている。最後に、物事を決める際には独断専行は悪であり、皆で論ずべきことが示されている。上記の三宝とは「仏」、「法」、「僧」であり、それらは宇宙の真理と考えられていた。
(B b 2) 天文版論語
     儒教の論語:天文(1532-1554年)版。
     2冊。

     もっとも古く、そして幅広く普及した、中国古典の論語には偉大な聖人の言葉や行動が書かれている。大坂近くの堺の阿佐井野宗瑞の版の再版である。天文の時代(1532―1555年)、当時の著名な儒者である清原宣賢による跋文が書かれている。
(B b 3) 孟子
     1巻から14巻まで。5冊

     室町時代の作品で、そのいくつかの注に1572年以前の日付が書かれている。
     孟子の作品は、孟子の発言を弟子たちが記したものである。孟子は、孔子の最初の弟子で、有名ないわゆる宋学の基盤を築いた人物である。彼の作品は、論語、大学、中庸とともに、中国古典で主要な地位を占める「四書」を成している。これらは早くに日本に紹介され、日本精神に多大なる影響を及ぼした。しかしながら、孟子の作品は、他の三作品とは異なり、孟子の教義にある民主主義的要素のために、好まれなかった。
(B b 4) 中庸
     1冊

     この本は道徳の講話や中庸を説き、中国古代の四書のひとつに数えられる。日本には、儒教の朱子学派の普及したのと同時期に紹介された。
(B b 5) 七書
     7冊。

     1643年、慶長活字で印刷されたもの。
     各本の巻末の文章は、僧侶の元佶によって、慶長11年(1606)に書かれたものであるが、それによれば最初の徳川将軍である家康の命によって出版されたものである。
(B b 6) 六諭衍義
     1721年に印刷された2巻。

     清朝(1616-1912年)の康煕帝による道徳の教えが書かれており、下記の六つに分類される:1、孝順父母;2、尊敬長上;3、和睦郷里;4、教訓子孫;5、各安生理;6、毋作非為。これらの教えは、一般的に、簡単に書かれ、大衆への教育のために、藩校で人気の形式となった。この本の写本は、琉球使節の程順則によってもたらされ、再版された。この写本の一冊が薩摩藩主に贈られ、彼から将軍吉宗に贈与された。
(B b 7) 官刻六諭衍義
     官本:六諭衍義

     室鳩巣によって翻訳がなされ、1722年に出版された。
     八代将軍吉宗の命を受けて、徳川幕府に仕えた著名な儒者室鳩巣によって翻訳された本の写本である。
(B b 8) 前漢書
     (2、5、34、35巻は紛失。)目録(もしくは目次)を含めて51巻。

     寛永版の印刷。
     1628年、11月21日の日付が記されている。
     120巻から成るいわゆる漢書は漢王朝の歴史である。後に、『後漢書』、『史記』、『宋史』が出版された。『漢書』は、『前漢書』の出版を模倣したもの。初期の中国古典の中でもこれらは日本に輸入され、中国古典の教科書として広く読まれた。
(B b 9) 新刊吾妻鏡
     22巻、23巻

     慶長活字で印刷された。
     鎌倉封建政府の公的な日記で、頼朝の1180年から1266年の伊豆国での日々などの主要な出来事を記録し、また、侍階級の作法や組織に関する非常に貴重な情報などがある。家康はこの本の重要性に感銘を受け、慶長10年(1605年)に再版した。
(B b 10) 重撰倭漢皇統編年合運図
     2冊。
     慶長版印刷。

     初代天皇である神武天皇即位の時代から後水尾天皇の統治である16世紀の慶長(1611年)までの、日本と中国の歴史的事件を比較、編年した書物である。
(B b 11) 御成敗式目
     (裁判の書)
     1冊

     北条政権の執権、北条泰時による指導の規則を含む法律の書。法律制定の歴史、特に侍階級の生活や振る舞いを知ることができる重要な書物である。
(B b 12) 群書類従
     29巻、3冊

     盲目の偉大な学者、塙保己一の代表的著作の一部であり、南朝の忠臣北畠親房による『神皇正統記』が含まれている。
(B b 13) 伝教大師将来目録
     1冊。

     文化4年(1804年)、京都の比叡山浄土院で印刷された。日本の偉大な僧侶、伝教大師による仏教書の目録であり、中国での長い滞在の後に持ちかったもの。冒頭に延暦24年(805年)の日付が見える。
(B b 14) 正法山妙心寺宗派図
     1冊。

     万治3年(1660年)、大雄院により再版され、元禄10年(1697年)に序文を道忠が執筆した。
(B b 15) 諸宗仏像図彙
     第1巻から第3巻。1冊。

     元禄3年(1690年)、指月軒義山によって注が書かれた。
     様々な仏陀と様々な仏教宗派の創設者と、儀式に用いるいくつかの道具や器具の図画集である。
(B b 16) 万国人物図
     第1巻、第2巻。2冊。

     著者は長崎の西川淵梅軒。
     序は劉善聡による(1714年)。
     江戸の淵梅軒により1720年に出版。
     中国明朝の説明から始まる、42の国々についての図画。
(B b 17) 重訂解体新書銅版全図
     1枚。

     杉田玄白(オランダ語に精通した著名な医学者)著。
     天真楼翻刻。
     芝蘭堂再鐫。
     千鐘房再版。
     文政9年(1826年)、出版。
     人間の解剖学についてのオランダ語原文の日本語訳。
(B b 18) 古今韻会挙要
     第8巻から第10巻。1冊。

     元代(1281-1368年)の書物形式にならって印刷したもの。応永5年(1398年)3月の日付が書かれている。
     古今の元代の韻文を集め、注がつけられた書。
(B b 19) 精選唐宋千家連珠詩格
     第13巻から第16巻。1冊。

     おそらく寛文期(1661-1673年)に、日本で再版された。
(B b 20) 唐詩選国字解
     第1巻から第11巻。1冊。

     服部南郭注釈。
     林元圭によって書かれた。
     唐詩選は唐代の詩を集めた有名な詩集であり、明の学者李攀竜によるもの。日本語の注釈書は中国古典と詩に精通した荻生徂徠の弟子の服部南郭によるもの。注釈は明快で、語法も簡素だったため、当時大変な人気であった。南郭は1759年、77歳で死去。
(B b 21) 唐詩選掌故
     第1巻から第7巻。2冊。

     葉玄之著。
     明和5年版(1768年)。
     唐詩選の注釈書で、服部南郭による注と荻生徂徠による跋文が含まれている。
(B b 22) 歴代題画詩類抄
     第1巻から第3巻。1冊。

     西島蘭渓著。
     文化14年版(1817年)。
     唐宋代から元明代までの絵巻物に関する数多くの詩的な言葉から選ばれた短詩を含んでいる。たとえば土地、気候、景観など、主題ごとに29の種類に分けられている。
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