東京大学史料編纂所

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研究種目名 基盤研究(C)
研究課題名 中世書状史料論の展開(17K03059)
研究期間 2017年度~2019年度
研究代表者  末柄 豊
研究目的  本研究の目的は、多様な中世文書のなかにあって、史料として利用することが相対的に困難だといえる書状および仮名消息について、史料として活用するための基盤を形成し、その広範な利用をうながすことにある。そのため、文書群・史料群への注目、特定の人物の書状への注目という両様のアプローチによる、活用のための方法論を示すのと同時に、書状を積極的に活用することで、その史料としての可能性の高さをアピールする。あわせて、仮名消息(女房奉書を含む)を中心とする書状を読解するための自習教材の充実につとめ、後進の育成にもつなげたいと考えている。
研究実績の概要
  • 2017年度
【2017年度】
 2017年度における研究の実績は以下のとおりになる。
 ①『実隆公記紙背文書花押署名総覧(僧侶女性編)』の刊行に向けて作業をすすめた。具体的には、東京大学史料編纂所がホームページ上で公開する所蔵史料目録データベースによって検索可能な当該文書群の文書画像と高橋隆三氏の手になる刊本『実隆公記』(続群書類従完成会刊行)との突合をおこない、人物ごとに署名花押の画像を確認し、標本となるものを選定した。今後さらなる整理および検討を加えたうえで、2018年度中に報告書を刊行する目処が立った。
 ②大和文華館所蔵双柏文庫に所収されている2通の三条西実隆の消息(1通は明正天皇の消息とされてきたもの)について、釈文・通釈・解説を含み込んだ論文「双柏文庫の三条西実隆消息二通」を執筆し、『大和文華』誌において公表した。
 ③禁裏文書(東山御文庫所蔵文書のみならず、元来禁裏文書であったが江戸時代に禁裏の外に流出したものを含む)を中心にすえ、後柏原・後奈良・正親町という戦国時代の天皇自身の手になる書状・消息に注目し、戦国時代の天皇のあり方を検討し、リブレット『戦国時代の天皇』(近刊)をまとめた。
 ④三条西本の紙背文書に残されたものを中心として、若狭武田氏や大内氏の被官の手になる書状を探索し、そこからうかがえる戦国武士の文芸活動について検討をすすめた。
備考