46.中国北京市所在日本関係史料調査

二〇一六年四月二八日から三〇日にかけて、中国北京市へ出張した。中国国家博物館との倭寇図像の共同研究において中心的役割を果たした陳履生副館長の退任にともない、今後の日本関係史料調査の方策をさぐる目的であった。
 中国国家博物館では陳副館長と面会して、倭寇図像の共同研究が一段落したことへの謝辞を表し、四月に刊行した研究代表須田牧子編の倭寇論集を手交した。この懇談のなかで、論集の中国語版刊行の構想がまとまり、国家博物館の引き続く後援を得て、陳氏が退任後も編集にあたることとなった。所収論文の中国語翻訳などは海外S科研で負担し、二〇一七年度出版の予定である。
 続いて、中国第一歴史档案館を訪問し、李国栄副館長、王澈編研所長と面会、数年前に中断したかたちになっている日本関係档案調査事業の再開を含め、今後の協力関係のあり方について懇談した。感触は悪くなく、日本側での具体的な体制立て直しが急務かもしれない。
 滞在中は中国科学院大学黄栄光副教授にお世話になった。記して感謝したい。
(保谷 徹・榎原雅治・須田牧子)

『東京大学史料編纂所報』第52号