30.荘園絵図の原本調査

『日本荘園絵図聚影 釈文編』(中世)編纂のため、二〇一四年十月二十七日、十二月十二日の二回にわたって、京都国立博物館において、同館寄託中の以下の荘園絵図の原本調査を行った。特に今回は、デジタルマイクロスコープを用いた反射光による料紙表面紙質の調査・撮影、並びに小型分光器を用いた彩色データの収集と蓄積を試みたが、今後こうした簡易な方法による調査の経験を重ね、データの蓄積をはかって、より精度の高い分析成果を求めてゆきたい。なお、本調査には画像史料解析センター客員教授原田正俊氏(関西大学)が参加された。調査に際してご許可いただいた所蔵者各位と、ご協力いただいた博物館羽田聡氏にお礼申し上げます。
 「山城国嵯峨舎那院領絵図」「山城国嵯峨亀山殿近辺屋敷地指図」「山城国臨川寺領大井郷界畔絵図」「山城国嵯峨諸寺応永鈞命絵図」(以上天龍寺所蔵)、「山城国神護寺領高雄山絵図」「山城国主殿寮領小野山与神護寺領堺相論絵図」「山城国高山寺絵図」(以上神護寺所蔵)、「山城国松尾社境内図」(松尾大社所蔵)。

(林 譲・榎原雅治・村岡ゆかり・西田友広・高橋敏子)

『東京大学史料編纂所報』第50号