7.東京大学総合図書館所蔵貴重書等の調査

大規模な改築工事が予定されている東京大学総合図書館(以下、総図)所蔵の日本中世史関連と思しき貴重書[A00] および一般書庫本の調査を、二〇一四年八月より現在まで進めている。同館所蔵の貴重書全体の目録・解題は今日まで公刊されず、棒目録も一般の閲覧に供されておらず未見である。ごく近年に修補・登録の若干を除き、大多数はOPAC未登録で、震災後に順次刊行の『東京帝国大学和漢図書目録』や大学全体の蔵書の図書カードを参照する必要がある(別に総図所蔵分のみの分類カードがあり、一部ボックスは書庫地下層に置かれていたが、工事のため立ち入り禁止の後、退避となったようであり、事実上、書庫の書目の通覧は困難である)。調査対象とした和漢古書に関係する目録には、一般書庫本を含む『東京大学総合図書館漢籍目録』(一九九五年)、山本仁編『東京大学総合図書館準漢籍目録』(東京堂出版、二〇〇八年)、『南葵文庫蔵書目録』(大空社、一九九八年覆刻版は、総図所蔵分の架番号を増補)があり、それらに著録されたものは書名の下に注記した。なお『南葵文庫蔵書目録』(索引あり)は一九〇八年刊で、第二冊にあたる『南葵文庫図書目録』(一九一三年)は寄託・寄贈の文庫と絵図類を収めて索引がなく、別に特殊文庫目録の編纂が予定されていたので、総図に寄贈された南葵文庫本を網羅するものではない。青洲文庫本については『青洲文庫目録』がカウンター備え付け資料にあるも、請求番号との対照は未了である。また附属図書館「電子版貴重書コレクション」よりマイクロフィルムをデジタル化して全冊公開している場合は、「電子版」と注記した。
また、二〇一五年九月より、国文学研究資料館より架蔵のマイクロフィルムによるデジタル画像が公開されている(国文研Mと略記)。総じて現状においては、史料・図書の所在に気づくことも難しく、書誌学に冥い調査者による誤認・看過含みの倉卒な備忘ながら、手がかり・叩き台としてここに留めて、各専門分野の諸碩学による本格的な調査を俟ちたい。いずれも本所では未撮影。調書整理の都合で調査書目の一部を掲げ、記述も不統一だが、速報として諒とされたい。便宜的に横界を界、縦罫を罫とした。法量の単位は縦
×横センチメートルで、①は第一紙を示す。『 』は朱書、〈 〉は細字、《 》は傍記。総合図書館係員諸氏には、毎度々々の出納にお手間を煩わせたことを深く感謝申し上げる。
(以下、個々の史料内容は略し、書名・請求番号等のみを示す。)


〇古文書 [A00-6018] *青洲文庫本
〇日本紀私抄 [A00-6409]
〇拾芥抄 [A00-6408]
〇大方広仏華厳経 巻第四十三・四十四 [A00-6303] *『漢籍目録』三九〇頁
〇大方広仏華厳経 巻第五十五 [A00-4267] *『漢籍目録』三九〇頁
〇華厳経 巻第二十三 [A00-4024] *『漢籍目録』三九〇頁
〇大般若経残 [A00-4266] *『漢籍目録』三八七頁
〇摩訶般若波羅蜜経残 [A00-6570] *『漢籍目録』三八七頁、『南葵目録』未収、OPACに登録済。
〇大般若経 [A00-4023] *『漢籍目録』三八七頁
〇宋版大蔵経零本 [A00-6036] *『漢籍目録』四一八頁
〇阿弥陀経略記 [A00-5956] *『準漢籍目録』一二九頁、『南葵目録』未収。
〇如法愛染王 [A00-6265] *『漢籍目録』三九七頁
〇科註妙法蓮華経七巻附音釈 [A00-6359] *『漢籍目録』三八九頁
〇法華経物語 [A00-6276]
〇本朝文粋 [A00-5903] *『漢籍目録』・『準漢籍目録』未収、『南葵目録』四七四頁。
〇和漢朗詠集 [A00-4081]
〇和漢朗詠集 [A00-6103] *青洲文庫本
〇今鏡 [A00-6138] *『南葵目録』未収
〇今鏡 [A00-5591] *『南葵目録』未収
〇今鏡 [G24-872] *『南葵目録』未収
〇御成敗式目 [A00-6456]
〇御成敗式目 [A00-4703] *穂積本
〇御成敗式目 [A00-6003] *青洲文庫本

(藤原重雄)

『東京大学史料編纂所報』第50号