8.三重県下中近世史料調査

二〇一四年一月一三日~一七日、三重県下中・近世史料の調査・撮影を
行った。今年度の調査地点は亀山市・伊勢市・鳥羽市である。史料所蔵者各
位および調査に立ち会われた各位、御協力いただいた学習院大学史料館、な
らびに三重県環境生活部文化振興課県史編さん班にあつく御礼を申し上げた
い。以下に調査先および調査・撮影史料の目録を掲げる。
亀山市歴史博物館 亀山市
亀山市歴史博物館所蔵文書
一、(天正一二年)三月一二日 羽柴秀吉書状 (折紙・掛幅装)一通
   ○ 本所影写本「関文書」(三〇七一・七二─九)に写が収録されている。
『三重県史資料叢書6 資料編 中世2 補遺Ⅰ』(二〇一二年)参照。
一、天正二〇年正月一一日   豊臣秀吉朱印状 一通
一、文禄三年九月二一日    豊臣秀吉朱印状 一通
〔打田家文書〕
 亀山藩大庄屋打田家伝来の文書。
一、二月一〇日        某書状 (続紙)一通
   ○ 慶安四年九月吉辰「無名翁由緒書」を貼り継ぎ、裏打紙に正保頃の由緒覚を書す。
一、慶長七年九月二五日    関一政判物写 (続紙・前欠)一通
   ○ 戊戌閏月上旬「奥西宗円由緒書」・八月二五日「瑞光寺隠居二休書状」・宝永元年五月二五日「由緒覚」を貼り継ぐ。
   ○紙継目に「吉住彦兵衛(黒印)」等とあり。
一、元和四年六月       吉日神辺七郷連署証文 (続紙)一通
一、打田系図 一巻
一、打田氏系図写 (横帳)一冊
一念寺 伊勢市
一念寺大般若経
折本装。五九九帖。建暦二(一二一二)年・天福二(一二三四)年の書写
奥書等を有する。概要は三重県教育委員会『三重県文化財要覧(第二輯)』
を参照。全巻の書誌事項調査、表紙・巻首・巻末の撮影を行った。
朝熊町自治会 伊勢市
朝熊町有文書
朝熊町伝来の文書。永正五(一五〇八)年を最古とし、総数は約五万点。
三重県史と伊勢市史との合同調査による『三重県史資料調査報告書二五・伊
勢市史史料調査報告書 三重県伊勢市朝熊町有文書調査報告書 上・下巻』
(二〇一二年三月)が刊行されており、元和期以前の文書は、『三重県史 資
料編 中世2』(二〇〇五年)および『三重県史資料叢書6 資料編 中世
2 補遺Ⅰ』(二〇一二年)に翻刻紹介されている。今年度は史料群の全体
像把握と収納状況の確認を行い、本格的な調査・撮影は次年度以降に行うこ
ととした。
鳥羽市教育委員会 鳥羽市
鳥羽市教育委員会所蔵文書
〔那須家文書〕
鳥羽藩稲垣家家臣那須家旧蔵文書であるが、中世文書は野依村森彦大夫家
関係文書である。伝来の事情は詳らかにし得ない。『三重県史 資料編 近
世1』(一九九三年)および『三重県史資料叢書6 資料編 中世2 補遺
Ⅰ』(二〇一二年)参照。
一、天正一一年一二月二四日 田丸直息判物 (折紙)一通
一、天正一五年八月一日   田丸直息黒印状 (切紙)一通
一、伊勢国度会郡野依村森彦大夫家由緒 一冊
一、過去帳断簡 一枚
〔九鬼守隆書状〕
一、九鬼守隆古文書集 (巻子装)二巻
 上巻
   ○外題「九鬼守隆古文書集 上」(題箋)
  霜月二七日       九鬼守隆書状 (切続紙・前欠)一通
  一二月二九日      九鬼守隆書状 (切続紙)一通
  申ノ刻三月二〇日    柘植左京・九鬼主膳連署書状 (切続紙)一通
  七月二五日       中忠左衛門書状 (切続紙)一通
  一〇月晦日       九鬼守隆書状 (切続紙)一通
  五月二日        九鬼守隆書状 (切続紙)一通
 下巻
   ○外題「九鬼守隆古文書集 下」(題箋)
  三月一〇日       九鬼守隆書状 (切続紙)一通
  (年月日未詳)      九鬼守隆書状 (切続紙・後欠)一通
  五月二八日       九鬼守隆書状 (切続紙)一通
  一一月一一日      九鬼光隆書状 (切続紙)一通
  霜月二一日       九鬼守隆書状 (切紙)一通

(山家浩樹・末柄 豊・渡邉正男)

『東京大学史料編纂所報』第49号