61.地蔵院聖教の調査・撮影

二〇一二年一〇月三日から八日、同一一月一五日から二〇日までの二回に
わたり、巨鼇山地蔵院萩原寺(香川県観音寺市大野原町萩原、古義真言宗大
覚寺派)に出張し、同寺所蔵の「地蔵院聖教類」及び「古文書」等の調査及
びデジタル撮影を行った。本調査は四国史料調査の一環であり、一九八八年
度より継続しており、本年度調査は第二九・三〇回である。「地蔵院聖教」
の中核となるものは萩原寺中興第一世真恵(宝徳元年1449寂)の時代に
蒐集、或いは授受された小野流の報恩院流儀海方・実深方、実賢流覚智方・
同山本方、金剛王院流覚智方、石山流人師方、中院流、さらに広沢流の慈尊
院流・西院流能禅方・華蔵院流などに関する聖教である。
 本年度は、聖教類の再整理作業(編年)とデジタル撮影及び修補作業を
行った。聖教類については南北朝期までの撮影を終え、室町前期聖教類の撮
影に着手した。なお、本年度第一回目には大正大学の坂本正仁氏に調査に参
加していただいた。貴重な所蔵史料の調査を許可された萩原寺住職秋山行徳
師に謝意を表する。

(山口英男・厚谷和雄・遠藤基郎・末柄 豊・及川 亘・伴瀬明美・稲田奈津子・山口悟史)

『東京大学史料編纂所報』第48号