57.ロシア連邦サンクトペテルブルク市所在日本関係史料の調査

二〇一一年九月一八日から二五日にかけて、ロシア連邦サンクトペテルブ
ルク市に出張した。参加者は、保谷徹、小野将、佐藤雄介、新潟大学麓慎一
准教授、北海道大学谷本晃久准教授、北海道開拓記念館東俊佑学芸員、臼杵
市教育委員会神田高士氏の七名である。このうち麓准教授は、学会報告のた
め二一日にハバロフスクへ向かった。現地ではロシア科学アカデミー東洋古
籍文献研究所ワジム・クリモフ上級研究員に調査協力をあおいだ。
1、ロシア科学アカデミー東洋古籍文献研究所
イリナ・ポポワ所長と面会し、サハリンでのアイヌ交易帳簿の原本校正を
おこなった。
2、ロシア国立軍事史博物館
ヴァレリー・クリロフ館長と面会し、フランキ砲二門の実測調査を実施し
た。エフィモフ副館長、マリナ学芸員の協力を得た。さらにもう一門の和式
砲を倉庫で調査した。全長一一二五㎜、口径五八㎜、尾栓ねじが欠落してお
り、砲身のみで附属物は一切残っていなかった。和式の八〇〇目砲か。
3、ロシア国立歴史文書館
九月二〇日、展示会の開会式および日露関係史料をめぐるラウンドテーブ
ルを開催した。文書館側はミュレーチン副館長が対応(ソコロフ館長は病気
欠席)。川端一郎日本総領事・松山副領事、ワジム・クリモフ研究員、チェ
ルニャフスキー海軍文書館長らが参加した。展示会は歴史文書館入口の二階
エレベータホールで行われ、開会式には数十人が参加、サンクトペテルブル
ク国立大学セルゲイ・ブラツェフ講師が司会をつとめた。その後、ラウンド
テーブルを開催、日本側参加者、現地の日本学研究者のほか、ロシア正教会
コンスタンチン司祭、タス通信のコンドラチェンコ記者ほかマスコミも参加
した。チェルニャフスキー海軍文書館長が司会をつとめ、史料編纂所の概
要・歴史・プロジェクトの研究経過などを報告し、展示内容の見どころを紹
介した。参加者からの発言と討論ののち、総括文書を確認して閉会した。
4、ロシア国立海軍文書館
セルゲイ・チェルニャフスキー館長と面会し、来年度の研究集会報告につ
いて相談した。また事前に依頼した史料複製を受理した。

(保谷 徹・小野 将・佐藤雄介)

『東京大学史料編纂所報』第47号