66.ロシア連邦サンクトペテルブルク市所在日本関係史料の調査

二〇一〇年六月二〇日から二七日にかけて、ロシア連邦サンクトペテルブ
ルク市に出張した。参加者は、参加者は、榎原雅治所長、保谷徹(東アジア
科研)、小野将(同)、谷昭佳(古写真研究プロジェクト)、北海道大学谷本
晃久准教授(特定共同研究プロジェクト)、北海道開拓記念館東俊佑研究員
(同)であり、現地で調査研究中の新潟大学麓慎一准教授が合流した。合同
調査チームである。また現地では、ロシア科学アカデミー東洋古籍文献研究
所ワジム・クリモフ上級研究員に調査協力をあおいだ。
1、ロシア国立歴史文書館
アレクサンドル・ソコロフ館長と面会し、依頼した史料複製を受理した。
とくに写真史料を閲覧し、館内見学。
2、ロシア国立海軍文書館
セルゲイ・チェルニャフスキー館長と面会し、依頼した史料複製を受理し
た。また日本関係史料目録の出版について協議し、本年度出版について合意、
細部についてヒペリオン出版社スモリャコフ社長をまじえて打ち合わせた。
3、ロシア科学アカデミー東洋古籍文献研究所
イリナ・ポポワ所長と面談し、サハリンでのアイヌとの交易帳簿二点の原
本調査と必要部分のデジタル撮影を行った。また、寛政期の蝦夷全図を閲覧
調査した(のちに平田篤胤旧蔵の図面と同じものであることが判明)。
4、ロシア科学アカデミー民族学人類学博物館(クンストカーメラ)
ユーリ・チストフ館長、ユリア・クーピナ副館長と面談。アレクサンドル・
シニーツィン上級研究員の案内で日本関係コレクションの収蔵状況を見学
し、フヴォストフ・ダヴィドフによって日本から招来した所蔵品コレクショ
ン・日本関係の古写真コレクションを閲覧調査した。
5、ロシア海軍中央博物館
リャーリン・アンドレイ館長と面談し、日本関係コレクションを見学した。
とくに一九世紀末のアルバム類を中心とした古写真コレクションを閲覧調査
した。また、モジャイスキーの日本関係スケッチ類をデジタル画像で全点収
集した。
6、ロシア国立砲兵(大砲)博物館
セルゲイ・エフィモフ副館長と面談、フヴォストフらによって招来した日
本の大砲二門を調査した。二門はいずれもフランキ砲(子母砲)で、このう
ち一門は表面に刻まれた文様(FRCOの組文字)から一六世紀後半の大友
宗麟所有にかかるものと推定される。
滞在中日本国総領事館を訪問し、川端一郎総領事と面談する機会を得た。
ここに記して感謝の意を表したい。

(保谷 徹・榎原雅治・小野 将・谷 昭佳)

『東京大学史料編纂所報』第46号