7.千秋文庫所蔵史料の調査・撮影

二〇一〇年二月二五日、財団法人千秋文庫(東京都千代田区九段南二―一―三六)に出張し、同館所蔵史料の調査およびデジタルカメラによる撮影を行った。撮影史料は次のとおり。
一、小田原征伐太閤朱印写(千秋文庫整理番号記録九、以下同じ) 一冊
一、古簡 最上義光書(一五) 一冊
一、日本国割並豊臣氏朱印写(二一) 一冊
一、古書付写(九六) 一冊
一、古文書書写(一一三) 七冊
本調査は科学研究費基盤研究(S)「史料デジタル収集の体系化に基づく歴史オントロジー構築の研究」による。秋田県公文書館所蔵「秋田藩家蔵文書」とほぼ同時期に同様の目的で編纂作成された秋田藩採集の文書集である「古文書書写」(別題「御文書」)を、「秋田藩家蔵文書」と同じ条件で撮影することにより、本所所蔵史料目録データベース、日本古文書ユニオンカタログ・データベースでの統一的な検索と画像の表示を実現させるのが目的である(本号採訪報告「秋田県公文書館所蔵史料の調査・撮影」項もあわせて参照されたい)。
「古文書書写」(御文書)が本所架蔵影写本『佐竹文書』の原本であることはすでに知られているが、今回の調査において、右にあげたうち「古簡 最上義光書」は、影写本『最上義光書状』(架番号三〇七一・〇八―三〇、大正七年影写、佐竹某氏所蔵)の原本であることが確認された。
撮影は行わなかったが、右のほか当日閲覧調査した史料は次のとおり。
康応記録(千秋文庫整理番号記録二・三、以下同じ)/太閤秀吉公御葬式御行列(一二)/関原記(一三)/関原始末記(一四)/大坂御戦功覚(一六)/大坂御陣諍合之書付(一七・一八)/大坂役(一九)
研究の主旨をご理解いただき、所蔵史料調査・撮影の許可を与えられ、種々便宜をお図りいただいた千秋文庫、同理事長小林成子氏、同事務長前原鶴吉氏、同学芸員金森陽氏に厚く謝意を表する。

(金子 拓・黒嶋 敏・高橋典幸)

『東京大学史料編纂所報』第45号