1.函館市所在北方関係史料の調査・撮影

六月二四日~二七日、函館市へ出張し、北方歴史資料館が所蔵する高田屋関係史料、函館市立中央図書館の箱館奉行所関係史料などの撮影・調査をおこなった。参加者は、小野将・木村直樹・谷昭佳・保谷徹、外国人研究員ワジム・クリモフ教授(サンクトペテルブルグ国立大学)、札幌から参加した谷本晃久准教授(北海道大学)である。また、北方歴史資料館の高田嘉七館長にも調査立会いのため、東京からお越しいただいた。
 北方歴史資料館では、展示されている高田屋嘉兵衛関係史料を中心に、箱館を拠点とした高田屋関係史料のデジタル撮影をおこなった。今回は所蔵史料九六点を撮影し、その撮影コマ数は三五九六コマであった。この中には、高田屋嘉兵衛がロシアに抑留された事件を取りまとめた一件記録の類や明治期に取りまとめた履歴書などのほか、その後の東蝦夷地エトロフ場所における高田家の活動を示す史料などが多く含まれている。また、文政十一年から明治四年にいたる日記は、箱館戦争の最中も記録され続け、幕末維新期の箱館を知る上で貴重な史料である。資料館には、このほか明治六、七年の日記や諸用留、多様な一紙もの、横帳に綴られた史料群が所蔵され、その全体をデジタル画像で記録したいと考えている。

(小野 将・木村直樹・谷 昭佳・保谷 徹)

『東京大学史料編纂所報』第45号