70 台湾における前近代日本関係史料の調査・蒐集

平成一五年(二〇〇四)一一月一八日から二三日までの六日間、台北市に出張し、中央研究院歴史語言研究所傅斯年図書館、国家図書館、故宮博物院図書文献館が所蔵する前近代日本関係史料の調査と蒐集を行った。
 中央研究院歴史語言研究所傅斯年図書館においては、「内閣大庫档案」及び傅斯年図書館が所蔵する档案・漢籍を調査し、漂流関係・琉球関係の史料を蒐集した。
 国家図書館においては、同館善本室架蔵の文集類を調査し、豊臣秀吉の朝鮮出兵関係史料・琉球関係史料などを蒐集した。
 故宮博物院図書文献館においては、清朝の宮中档案・軍機処档案を調査し、漂流関係・琉球関係の史料を蒐集した。
 また、中央研究院人文社会科学研究中心を訪問して同所の劉序楓副研究員から、台湾における前近代日本関係史料の残存状況と調査・蒐集方法について御教示をいただき、更に同氏が個人的に蒐集された日本人漂流関係史料を御提供いただいた。劉博士から賜った御厚意に対し、特に記して感謝申し上げたい。
 本調査の概容と成果の一部については、平成一七年一月二七日、本所で開催された、「前近代東アジアにおける日本関係史料の研究」(科学研究費補助金基盤研究A‐2、研究代表者 東京大学史料編纂所助教授 保谷徹氏)の研究報告会で、松澤克行「台湾における前近代日本関係史料調査の現状について」、渡辺美季「台湾所在の明代文集および清代档案における日本関係記事について」として速報した。
 なお、調査に際しては、熊本大学教育学部の黨武彦助教授と東京大学大学院人文社会系研究科博士課程学生(当時)の渡辺美季氏から、御協力をいただいている。

(松澤克行)

『東京大学史料編纂所報』第40号