59 吉川史料館・岩国徴古館所蔵史料の調査・撮影

〇四年一〇月二六日~二九日、山口県岩国市の吉川史料館および岩国徴古館を訪問し、それぞれ所蔵史料の調査・撮影を行なった。なお、吉川史料館は一九九五年にオープンした比較的新しい施設で、重要文化財「吉川家文書」など吉川家伝来の文化財は、現在では同館の所蔵となっている。
一 吉川史料館
「吉川家文書」は、「吉川家什書抜萃」などの名のもとに、かなりの部分が写真帳になっているが、一部(『大日本古文書』一一六二号以降)は未撮影のままであった。『大日本史料』第十一編之二十四の編纂を進める過程で、必要とする史料が未撮影分の中にあることがわかり、この機会に未撮影分の全部をマイクロフィルムに収めることにした。今回撮影した史料は、次の通りである(番号は文化庁作成『吉川家文書目録』による)。
第三十七~第八十七
 このうち、第六十「夢想連歌」については、容易に取り扱える形状ではなかったため、史料館からポジフィルムを借用し、当方でその複製を作ることで対応した。
 未撮影分はなお相当量が残っており、次年度に再度訪問して、全部をマイクロフィルムに収める予定である。
二 岩国徴古館
 本所謄写本「岩国藩中諸家古文書纂」は、完全な揃いにはなっておらず、一部に欠けている部分がある。『大日本史料』第十一編之二十四の編纂を進める過程で、必要とする文書が欠けている部分にあることがわかり、徴古館に赴いて原本に当たることにした。ところが、徴古館には謄写本の原本とは別に、もう一組の、より善本と思われる「古文書纂」があることが判明したので、これをすべてマイクロフィルムに収めることにした。時間の制約があったため、撮影できたのは次の通りである(番号は『岩国徴古館資料目録』による)。
第Ⅴ類 第2区 歴史(古記録)
五五 藩中諸家古文書纂   一~五・九・十六
 残る冊については、次年度を期したい。なお、同館には中世文書の原本も、若干ながら収蔵されているとのことである。これについても、次年度に撮影を済ませたい。
 なお、吉川史料館では学芸員の原田史子氏、岩国徴古館では館長の宮田伊津美氏に、それぞれたいへんお世話になった。あらためて厚く御礼申し上げる。

(久留島典子・村井祐樹・黒嶋敏・鴨川達夫)

『東京大学史料編纂所報』第40号