47 東大寺図書館所蔵史料の調査及び東大寺文書の返却

二〇〇五年三月二一日から二五日まで、奈良市東大寺図書館に出張し、同館所蔵の薬師院史料調査を行った。この調査は二〇〇二年度よりの継続である。薬師院史料の未整理分は、一六括にまとめられる。本年度までの調査で、九括分(四一五点)が完了、四括分が途中、そして未着手は残り三括となった。現在の一六括というまとまりは、伝来過程のものではなく、近代以降の整理の結果であると判断される。薬師院史料のうち、古代中世文書と、そして近世の記録類(冊本)はすでに整理が施されているが、今回対象としているものは、本来は、近世の記録類とまとめられて伝来したものが、近代の整理の過程で、分離されたのであろう。薬師院史料の近世記録類のうちには、公務日記としての三綱所日記があり、それとの対照が今後必要になると考えられる。なお目録については、調査完了後に報告の予定である。
 また『大日本古文書東大寺文書之十九』編纂のために借用中の文書の返却をあわせて行った。

(久留島典子・阿部昌彦・伴瀬明美・及川亘・松澤克行・遠藤基郎)

『東京大学史料編纂所報』第40号