22.阿刀家伝世資料の調査・撮影

科学研究費補助金による基盤研究「東寺における寺院統括組織に関する史料の収集とその総合的研究」の一環として、二〇〇三年八月六から八日、および二〇〇四年一月十九日から二十一日までの二回にわたって京都国立博物館において、同館所蔵「阿刀家伝世資料」の調査とマイクロ撮影を行った。この撮影は、前年度に引き続き行ったものであるが、当面の目的を達したので、以下に簡単な撮影史料目録を掲げる。
 「阿刀家伝世資料」は、東寺執行職を相伝した家に伝来した資料であり、一九八三年に阿刀弘文氏より京都国立博物館に寄贈された資料群である。博物館での整理により、資料群のうちの書籍については、「古筆・名跡(B甲657)」「文書(阿刀文書)平安時代(B甲658)」「同鎌倉時代 (B甲659)」「同南北朝時代(B甲660)」「同室町時代(B甲661)」「同戦国時代(B甲662)」「同江戸時代(B甲663)」「同明治・大正時代(B甲664)」「典籍(B甲665)」に分類され表記の整理登録番号が付与されている。総件数二千を超えるが、その中で今度の科研では、主として近世の東寺執行の日記および代々の系譜・職掌が把握できる史料を撮影の対象とした。多数の資料群であり、もとより不備・遺漏があることは否めないが、順を追って調査を深めていきたい。
 目録記載事項は、博物館において前記のように付与された分類ごとの登録番号を頭に付し、次に以前京都(帝国)大学において整理された時に付された旧整理番号を示し、さらに史料名、年月日、員数、の順に記載する。旧整理番号を示すのは、東京大学史料編纂所所蔵影写本の文書にこの番号が付されていることを始めとする、検索の便宜のためである。また、この外に中世史料についても一部撮影を行ったが、阿刀文書の中世部分については、「東寺文書検索システム」データベース(作成委員会代表富山大学富田正弘氏)に目録が登録されているので、ここでは省略した。
 最後に、お忙しい中を厭わず、種々お世話いただいた京都国立博物館の下坂守氏(当時)・羽田聡氏に深謝申し上げます。
(中略)
      (金子 拓・高橋慎一朗・谷 昭佳・中村尚暁・高橋敏子)

『東京大学史料編纂所報』第39号