41.薬師寺所蔵史料の調査

二〇〇二年七月一四日より一八日まで、奈良県奈良市西の京町薬師寺に出張し、奈良文化財研究所との合同事業として、同寺所蔵史料の調査を行った。現在、二九個の木箱に納められた文書については調査を終え、箪笥に納められた寺用日記ほかの記録・文書の調査を行っている。第十一函までの史料情報については、本年度より公開された奈良文化財研究所の薬師寺典籍文書データベースを参照されたい。
 なお、補修のために、二〇〇〇年度に薬師寺より借用した第二八函七八号「有法差別等問答集」(一冊、一〇二紙)は、すべての丁に南北朝期の紙背文書がある。興福寺最勝会、等持寺法華八講などに関連するもので、『大日本史料第六編』に関連する記事が見られるものもあるため、薬師寺、奈良文化財研究所、および本所の図書部長、和田幸大技術官と相談のうえ、史料保存技術室において影写を作成することとした。現在、中世史料部・古文書古記録部の教官数人の協力を得て翻刻を作成しつつ、影写を進めている。

                  (榎原雅治・及川 亘・前川祐一郎)

『東京大学史料編纂所報』第38号