37.東大寺図書館所蔵史料の調査・撮影及び東大寺文書の返却

二〇〇二年三月二五日から二九日まで、奈良市東大寺図書館に出張し、同館所蔵の史料のうち、記録部(一四二・一四三架) について、簡略調書の作成、マイクロフィルム撮影を行った。調書は六四九~八二〇号まで進行。撮影は、一四二架を完了し、一四三架(一~四〇号)を撮影した。一四二架は近世および明治初年の記録類であって、今回対象範囲では、幕府よりの朱印拝領、天皇・上皇・将軍家葬儀への参列、寺領村の家数・人数改め、院家間相論、境内・寺領村火災、戒壇院関連記録、若草山をめぐる興福寺との相論、など様々な種類の近世記録が含まれる。一方、一四三架は、近世の二月堂修二月の交名であり、概ね一九九六年に重要文化財に指定されている。次年度以降も記録部一四三架の撮影を継続する予定。また『大日本古文書 東大寺文書之一八』編纂のために借用した文書の返却もあわせて行った。
    (保立道久・中藤靖之・吉田 成・伴瀬明美・及川 亘・遠藤基郎)

『東京大学史料編纂所報』第37号