京都大学文学部所蔵影写本「西尾種熊氏文書」の調査

一九九九年九月一三・一四日、京都大学文学部日本史研究室所蔵の影写本「西尾種熊氏所蔵文書」の調査を行った。同氏所蔵文書の影写本は二種類存在する。うち一冊は近世文書を主体とし、史料編纂所ではすでに写真帳として入架しているが、今回調査した分は、古代中世文書を主とするものであって、本所にはその複製本はない。ちなみに影写本には昭和二一年六・七月に作成されたものと記される。現在の原本の所在については、現段階においては不明である。
 本影写本所収文書はすでに『平安遺文』『鎌倉遺文』で紹介されているが、いくつか気づいた点もあり、参考までにリストを掲げる。なお「平・鎌」は、『平安遺文』『鎌倉遺文』の略号である。
1 大井庄文書案〔後欠〕
 (1)天平勝宝八年七月十二日 大井庄勅施入文案
 (2)(年月日未詳)  太政官牒案〔後欠〕
   *(2)は、中欠あって、東大寺図書館所蔵未成巻文書一一二五一五一九延久三年六月三十日太政官牒案〔前後欠〕に繋がるものか。検討を要する。

『東京大学史料編纂所報』第35号